白濱亜嵐主演!人気コミックを実写化した映画『10万分の1』が公開
EXILE/GENERATIONSのパフォーマーで、俳優としても絶大な人気を誇る白濱亜嵐と、みずみずしい存在感で数多くの青春映画を彩ってきた平祐奈。この2人が、「このマンガがすごい!WEB」で「今一番泣ける漫画」として話題を読んだ宮坂香帆の人気コミックを実写化した『10万分の1』で共演しました。本作は、難病と純愛をかけ合わせた王道の感涙映画でありつつも、幅広い世代に響く希望の映画でもあります。
主人公は学校一人気者の桐谷蓮(白濱亜嵐)と、同じ高校に通う桜木莉乃(平祐奈)。ある日、ひそかに慕っていた蓮から告白された莉乃が、戸惑いながらもハッピーな交際をスタートさせます。画に描いたような幸せな日々を送っていた2人でしたが、その先には残酷な運命が待ち構えていたようで……。
タイトルの『10万分の1』とは、莉乃を襲ったALS(筋萎縮性側索硬化症)が「10万人に1人の確率でかかる難病」であることから来ています。重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患であるALSと宣告されて、苦悩する莉乃。蓮は彼女をどんなふうに支えていくのでしょうか?
キラキラした青春シーンと逃げないALS難病シーンの対比
まずは、白濱さんと平さん演じる初々しいカップルならではのキラキラ感がハートを鷲づかみします。ケーキを「あ~ん」したり、電車の中で壁ドンしたりと、目と心の保養となるシーンが満載だから、親子で観ればキュンキュンさせられること間違いナシ。
また、莉乃は女子からモテモテの蓮をゲットするので、同級生からはやっかみの対象となりますが、いろいろな嫌がらせにもめげないヒロイン像は、人気コミックの実写映画における鉄板の要素かと。そこは、『植物図鑑運命の恋、ひろいました』(16)や『弱虫ペダル』(20)など、青春映画が十八番である三木康一郎監督ならではの切り取り方で、2人の親友役の優希美青や白洲迅ら脇の若手俳優陣の表情も秀逸です。
そんななか、ALSで段階的に筋力を奪われていく経過も丁寧に追っている点がすばらしい。例えば、松葉杖をつくようになった莉乃が、トイレに間に合わずに涙するという残酷なシーンも敢えて挿入していますが、そこには難病という要素を安易に恋愛映画の道具にしないという監督の誠実さを感じます。
その分、観ているほうは莉乃の痛みだけではなく、彼女を支える蓮や、祖父の春夫の心情にも寄り添っていくように。また、前半のキラキラしたシーンとの対比があるからこそ、中盤からはより一層、心と涙腺を揺さぶられていきます。
ALSの闘病を通して描かれる人と人との助け合い
本作は、“10万分の1”の難病に侵されたヒロインと彼女を支える青年の美談ではありますが、観終わったみると、いろいろなことを考えさせられます。
最初はALSにかかったことを悲観的に捉え、自暴自棄になっていた莉乃ですが、同じALSで闘病している男性に会いにいったことで、そのネガティブ志向は180度転換します。その男性が前向きに生きている姿を見て、希望を見出す莉乃。その時、明るく出迎えてくれた妻の女性(土村芳)が蓮に「この先、ずっと1人で莉乃ちゃんを守ろうとは思っちゃダメよ」とアドバイスをするシーンも印象的でした。
彼女が、家族やヘルパーたちの助けを借りて夫をサポートしていること、そして介護をする側が心の余裕を持つことで、患者自身の心の負担も減ることを、何気なく伝えるシーンとなっています。この夫婦に出会ったことで、伏し目がちだった莉乃も前を向くようになり、もちろん、蓮も改めて彼女を支えようと腹をくくることに。
そして莉乃は、同級生たちのサポートを受けながら高校生活を全うしようとしますが、クライマックスでは感動のビッグウェーブが!
本作で描かれるのは、このコロナ禍で私たちも身にしみる、人と人とのつながりの尊さです。身近な人、あるいは自分が過酷な困難に見舞われた時、それを決して1人で抱え込まないこと。そして甘えるところは甘え、お互いに支え合っていくことで希望が生まれ、きっと人生はもっと豊かになっていくのではないかと。こういう映画こそ、親子で観て、大切なものを受け取ってほしいです。
原作:宮坂香帆『10万分の1』(小学館 フラワーコミックス刊)監督:三木康一郎
出演:出演:白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS from EXILE TRIBE)、平祐奈、優希美青、白洲迅/奥田瑛二…ほか
公式HP:100000-1.com
文/山崎伸子
©宮坂香帆・小学館/2020映画「10万分の1」製作委員会