一度ですべて使いきることがめったにない、にんにく。使いきれなかったにんにくに困る方も多いのではないでしょうか。このページでは、にんにくの冷凍活用術について詳しくご紹介していきます。
にんにくは冷凍保存できる?
にんにくは5〜6月に収穫時期を迎えます。土の中から掘り起こされたにんにくは瑞々しさを保つ特別な味。その反面すぐにカビを発生させてしまうため、収穫後すぐに乾燥の工程へと入ります。私達の手元に届くにんにくは、ほとんどがこの乾燥の工程を経たものです。にんにくの保存には、どんな環境が必要なのでしょうか。
にんにくはチルド室での保存がおすすめ
にんにくは常温で置いておくと1〜2週間で発芽して栄養が吸われてしまい、干からびてしまいます。にんにくに含まれる水分にはカビも生えやすく、保存には低温、低湿の環境が向いています。皮付きのままペーパータオルか新聞紙に包み、冷凍用保存袋に入れてチルド室で1〜2か月ほどの保存がおすすめです。
少量ずつ使いたい時は冷凍保存で長持ち
にんにくはわずかな量があれば足りることがほとんどで、大量を一度に使うことはまずありません。使い切れない時や、あらかじめ刻んで常備しておきたい時などには冷凍保存が便利です。用途別にカットして保存できるので様々な場面で脇役として役立ってくれるでしょう。ただし、風味をそこなわずに保存できるのは6か月ほどです。
冷凍保存の正しい方法のポイント
にんにくはなんといっても特徴的な香りと風味が命。他に代用できる食材がありません。ほんの小量で味をワンランクアップさせるので、いつでも常備しておきたい食材です。冷凍することで手軽に使うことができますが、独特な香りや風味に変化はないのでしょうか。
にんにくの上手な保存の仕方を詳しく見ていきましょう。
にんにくを冷凍すると透明になる
にんにくは糖度が高くて凍りにくいため、丸ごと冷凍しても芯までカチカチに凍り付くことはありません。つまり解凍しなくても柔らかさを保ち、包丁で切る事ができます。固形チョコレートを切る程度の固さでしょうか。
またにんにくが持つ水分が凍ることによって膨張し、細胞膜が破れるため半透明になります。このまま口に入れると水っぽく感じますが、加熱することで解消されるので通常と同じように食べられます。
にんにくの芽もそのまま冷凍
一片ごと冷凍するとにんにくの芽もそのまま残りますが、これは簡単に取り除くことができます。にんにくを半分に切ったあと、包丁の角や薄いスプーンなどを使って固いアイスクリームからすくい取るイメージでやってみましょう。
冷凍すると臭いが減
冷凍する前のにんにくと比べて、冷凍後のものはやや香りが減ります。長期保存中にも少しずつ弱まっていくので、量を多めにすることで調節しましょう。
逆に強烈すぎる臭いを抑え、風味だけを味わいたい時もありますよね。量を調節しやすい冷凍にんにくはそんな時にも役立ちます。
にんにくの冷凍保存のやり方
にんにくの冷凍保存はメリットも多く得られることがわかりました。ここからは具体的な方法を見ていきましょう。
まるごと
にんにくを一片ずつバラバラに分け、一度に使う量を目安に2〜3個を1つにまとめてラップにくるみます。さらに冷凍用保存袋に入れてから冷凍庫へ保存してください。カラカラに乾いた皮ごと冷凍しても、薄皮と一緒にツルンとあっけないほど簡単にむくことができます。
すりおろし
にんにくは小さく刻み、空気に触れる面積が大きくなることで生成される有効成分があります。にんにくが大量にある時にはすりおろして冷凍するのがオススメ!
包丁もしくはフードプロセッサーで刻むほか、強い臭いが気になる方は袋の中に入れて麺棒でたたいても良いでしょう。ペースト状になるまでつぶし、薄く平らな状態で冷凍保存しておくと欲しい時に必要な分だけ割り出すこともできます。
カット・みじん切り
にんにくを薄切り、みじん切りなどの用途に合わせた形に用意します。それぞれ大さじ1程度の、一回で使う量に小分けしラップで包みます。冷凍用保存袋に入れてしっかりと口を閉じることで臭いも放ちません。冷凍庫へ入れて保存しましょう。
半端に余ったにんにくもそのままでは味が落ちていきますが、これで使いやすく保存できますね。
冷凍にんにくを美味しく解凍する方法
冷凍したにんにくを解凍すると「ぶよぶよ」になり、うまみや風味まで流れ出ておいしさを損ないます。冷凍したにんにくは解凍せず、凍ったまま手早く調理しましょう。
丸焼きの場合は解凍する
スタミナをつけたい時や滋養強壮には、にんにくパワーの効果が期待できます。玉のままのにんにくをそのまま焼いた丸焼きは、次の日の臭いさえカバーできればおもいきり食べたい人気のメニューですね。
一片ごとに冷凍したにんにくを焼いてもムラがあって辛味が残ってしまい、ホクホク感もいまいち得られない事があります。冷凍したにんにくを冷凍庫から出して数時間放置すると解凍できるので、それから焼きましょう。
大きい玉のままで焼く時やレンジで加熱して食べる場合は、常温保存のにんにくがおススメです。
生食の場合は新鮮なものを
にんにくを生で食べる機会はすりおろしてドレッシングに加える時や、少量を薄くスライスして薬味に使うことが一般的です。しかし、冷凍したにんにくのスライスは生のままでは食感が悪く、オススメしません。
スライスを生食する場合は新鮮なものを用意しましょう。でも、おいしいからと言って生や丸焼きの食べすぎにはご用心! にんにくの「アリシン」という成分が腸を刺激して下痢や腹痛を起こすこともありますので、にんにくの大量摂取はご注意ください。
にんにくのおすすめ保存食を紹介
にんにくは冷凍の他にも様々な保存方法があります。ここではオイルを使った保存を見ていきましょう。料理の幅が広がりますよ。
ガーリックオイル 加熱編
芽を取りのぞいたにんにくをみじん切りにし、オリーブオイルで炒めます。これを瓶に移し替え、オリーブオイルを足し加えます。フタを開けたまま2時間ほど置けば、ガーリックオイルの完成です。にんにくを炒める際は水分を飛ばす程度にして、焦げないように気をつけましょう。
ガーリックオイル 生編
オリーブオイルの入った瓶に、刻んだにんにくを入れるだけでもおいしいガーリックオイルが作れます。にんにくがオイルに浸った状態であれば1〜2か月保存できます。鷹の爪やローズマリーなどを一緒に入れるのもOK。
パスタはもちろん、ガーリックオイルでご飯を炒めても良いし、パンにのせて焼いただけでもおいしさが楽しめます。
文/もぱ(京都メディアライン)
構成・撮影(一部を除く)/京都メディアライン