保存のきく食材として代表的な玉ねぎ。常温でも冷暗所に置いておけば2ヶ月ほどもちますが、冷凍することで調理時間を短縮するなどのメリットが得られます。あらかじめ切って冷凍した玉ねぎや炒めてから冷凍したあめ色玉ねぎは、さまざまな料理に大活躍。玉ねぎの冷凍保存のコツをまとめました。
玉ねぎを冷凍保存するメリット
まずは玉ねぎを冷凍保存するメリットをお伝えします。
調理時間が短縮できる
保存のきく食材として代表的な玉ねぎ。常温でも冷暗所に置いておけば、2ヶ月ほどもつので、何でわざわざ冷凍するの? って思いますよね。
冷凍することで得られる大きな利点は、時短。調理時間を断然、ショートカットできます! あらかじめ切って冷凍した玉ねぎや炒めてから冷凍したあめ色玉ねぎは、さまざまな料理に大活躍。他にも冷凍することで効果が増す栄養素があるのも魅力です。
冷凍玉ねぎの栄養素は、劣化が少ない
栄養素が多いイメージの玉ねぎですが、「食品成分表」をみるとほぼ水分です。その中で、玉ねぎが生活習慣病に効果があると言われる理由は、硫化アリルとケルセチンの存在。血液サラサラ効果や動脈硬化予防など、さまざまな効果が期待できることで知られています。
硫化アリルは、水溶性ですが切ったり潰すことで効果が強まるといわれているため、薄切りなどが◎。切ったらすぐに急冷しましょう。一方、ケルセチンは脂溶性の栄養素。冷凍しても変化が起きにくいのが、うれしい特徴です。
冷凍玉ねぎの保存期間はどれくらい?
玉ねぎの冷凍保存は、1か月ほど。解凍後は、すぐに加熱処理して食べ切りましょう!
生の玉ねぎの冷凍保存方法
続いて、生のままの玉ねぎを冷凍保存するときの手順やポイントをお伝えします。
使う料理に合わせてカットすると便利
玉ねぎは、作る料理に合わせてあらかじめ切り分けておくと重宝します。薄切りとみじん切りの2種類ほどあると何かと便利。それぞれラップで小分けして冷凍用保存袋に入れます。
あれば、銀製のトレーなどにのせると早く冷凍することができます。
冷凍玉ねぎは匂いがキツくなる!?
玉ねぎの独特な匂い成分は、前出の硫化アリルによるもの。切った断面から飛び出してくるため、なるべく時間をおかずに急冷するのが大切です。
また、水分をペーパータオルなどできちんと吸い、匂い成分を拭いてから小分け冷凍するのもポイント! 切ってから時間が経ったもの(たとえば、切って冷蔵保存しておいた玉ねぎ)を冷凍保存するのはNGです。庫内が玉ねぎの匂いになってしまった…。というトホホなことにもなりかねないので、ご注意を。
生のまま冷凍した玉ねぎの調理方法
加熱せずに生のまま冷凍した玉ねぎは、半解凍で調理するのがおいしく食べるコツ。
冷凍後のデメリットとメリットもチェックしておきましょう!
冷凍玉ねぎはサラダには不向き
解凍後は、どうしてもシャキシャキとした食感が損なわれます。生食で食べるサラダなどは不向きです。
冷凍玉ねぎであめ色も時短に!
冷凍して、ぜひ試して欲しいのが“あめ色玉ねぎ”。通常だと、じっくり煮詰めるまでにかなりの時間を要しますが、冷凍すれば5分ほどで作れます。理由は、冷凍によって細胞内の水分がいったん凍りますが、加熱したと同時にその水分が一気に流失。そのため、水分が飛びやすく簡単にあめ色になるのです。ちょっと料理上手になった気分になります(笑)。
炒めた玉ねぎの冷凍保存方法
先ほど、玉ねぎを冷凍してから炒めた方があめ色玉ねぎが時短になるとお伝えしました。でも、あめ色玉ねぎを先に作ってから冷凍したい場合もあるはず。
ここでは、玉ねぎを炒めてから冷凍保存する方法についてお伝えします。
冷凍保存の手順
玉ねぎは、炒めてから冷凍保存することも。この場合は庫内の匂い移りを気にすることもありません。水分を飛ばすまでじっくり炒めて小分け冷凍をしておきましょう。冷凍の方法は、生のまま冷凍保存する工程と同じです。
炒めてから冷凍した玉ねぎの調理方法
調理に使う場合は、完全に解凍させずに半解凍で加熱が基本です。カレーにはもちろんのこと、オニオンスープもおすすめ! 市販のコンソメスープを入れるだけで、手軽に作れるので忙しい朝などにも便利です。
新玉ねぎを冷凍保存する場合
水分が多く腐りやすい新玉ねぎ。たくさんあって食べきれないときには冷凍保存にすれば1か月ほど長持ちします。スライスした新玉ねぎは、ラップで小分けにしてから冷凍用保存袋に入れておくのがおすすめ!食べるときは自然解凍せずに凍ったままで加熱調理するのがポイントです。
玉ねぎは、料理に旨みと甘みをプラスする名わき役。生活習慣病予防の食材としても注目されていますので、日常的に摂れるように冷凍保存しておくといいですね。
撮影・文/川越光笑(たべごとライター・発酵食スペシャリスト)
冷凍した玉ねぎで作るアレンジレシピ
【1】オニオンソースのやわらか豚肉焼き
子どもが嫌いな野菜として名高い玉ねぎは、煮詰めると甘みが増してグッと食べやすくなります。
◆材料
(大人2人+子ども1人分)
豚ロース肉(生姜焼き用) 250g
玉ねぎ(小) 1/2個
【A】
しょうゆ 大さじ2
みりん 大さじ3
砂糖 小さじ1/2
じゃがいも 2~3個(300g)
水 100ml
バター 小さじ2~3
ごま油 大さじ1
◆作り方
【1】豚肉は筋があれば切り落とし、食べやすい大きさに切ってバットに入れる。すり下ろした玉ねぎと【A】を混ぜて、30分漬けおく。
【2】じゃがいもは洗って皮ごとラップをし、電子レンジに2~3分(600Wの場合)かけてから半分に切る。
【3】フライパンを中火にかけてごま油をなじませ、【1】の肉を焼いて取り出す。
【4】【1】のバットに残ったたれをフライパンに入れて、水、バターを加え、ヘラでなじませながら2~3分煮詰める。
【5】【2】と【3】を、【4】のフライパンに戻して絡め、器に盛って、好みでバター(分量外)をのせる。レタスやミニトマト(各分量外)を添える。
教えてくれたのは
井澤由美子さん
いざわゆみこ/料理家。調理師、国際中医薬膳師、中医師の免許をもち、健やかな体作りをサポートする食レシピを多数考案。旬の食材の効能と素材の味を生かした料理に定評があり、発酵食と身近な薬膳を組み合わせた独自のメソッドが人気。テレビの料理番組、雑誌、書籍、カタログなど幅広く活躍。
『めばえ』2017年3月号
【2】ミートソース
ちょっと多めに作って冷凍も可能。パスタはもちろん、他のおかずにリメイクするのにもぴったりです。
◆材料
(大人4人分+子ども4人分)
合いびき肉 400g
【A】
玉ねぎ 1個
セロリ・にんじん 各1/2本
にんにく 1片
赤ワイン 1/4カップ
オリーブ油 大さじ2
【B】
トマトの水煮(ホール) 1缶
水 大さじ4
顆粒スープの素 小さじ2
【C】
ケチャップ 大さじ2
中濃ソース 小さじ1
塩 小さじ1/2
スパゲッティ 300g
※麺は大人2人分+子ども2人分
◆作り方
【1】【A】はみじん切りにする。
【2】鍋にオリーブ油を熱し、【1】を弱火でじっくりと炒める。玉ねぎが透き通っ てきたらひき肉を加え、ほぐすように炒める。
【3】 肉の色が変わったら赤ワインを注ぎ、アルコール分が飛んだら【B】を加え、ヘラでトマトをつぶしながら中弱火で30分煮る。最後に【C】で味を調える。
【4】スパゲッティをゆでて器に盛り、【3】をかける。
教えてくれたのは
島本美由紀さん
料理研究家・ラク家事アドバイザー。 忙しい主婦に向けて、身近な食材でパパッと作れるおいしい時短レシピを考案。テレビや雑誌を中心に活躍。暮らし全般のハッピーもプロデュース。
『ベビーブック』2017年5月号
【3】さんまのトマトケチャップ煮
トマトはまな板の汁ごと加えて風味よく仕上げましょう。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
さんま 3切れ
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1/2片
トマト 1個
塩・小麦粉 各少々
サラダ油 小さじ2
【A】
トマトケチャップ 大さじ2
酒 大さじ2
水 1/2カップ
砂糖 小さじ2
しょうゆ 小さじ1
◆作り方
【1】さんまは筒切りにして内臓を除き、洗って塩をふり、薄く小麦粉をまぶす。玉ねぎは薄切り、にんにくはみじん切りにする。トマトは角切りにする。
【2】フライパンにサラダ油とにんにくを入れて熱し、玉ねぎを炒め、しんなりしたらトマトをまな板の汁ごと加え、【A】も加えて混ぜる。さんまを入れて落としぶたをし、5分ほど煮る。
*お好みでパセリをふっても。
教えてくれたのは
山本ゆりさん
学生時代から料理ブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」をスタート。『syunkonカフェごはん』などの著書は計350万部の大ヒット中。二人の女の子の母。
『めばえ』2015年9月号
構成・文/HugKum編集部