2017年10月17日、14歳の作家がデビューします。名前は鈴木るりかさん。小学館が主催する小学生限定の「12歳の文学賞」で3年連続大賞受賞という快挙を成し遂げた、平成15年生まれの“スーパー中学生”です。
■小学生ならではのみずみずしい感性にあふれた作品
鈴木さんは、小学4年生で「12歳の文学賞」の大賞を受賞して以降、応募資格のある小学6年生まで、史上初の3年連続での大賞を獲得しました。
鈴木さんの14歳の誕生日でもある10月17日に発売されるデビュー作『さよなら、田中さん』は、これまでの大賞受賞作2作を大幅改稿したほか、3編の書下ろしを加えた連作短編集です。
笑いの絶えない母子家庭の田中さん一家を舞台に、小学6年生の田中花実とお母さんの、笑いあり涙ありの連作になっています。
人気作家、あさのあつこさんや、石田衣良さん、漫画家の西原恵理子さんも、その才能を絶賛しています。単行本のカバーイラストは、なんと西原さんが描いてくれています!
表題作となる『さよなら、田中さん』は中学受験をテーマに、子どもならではの視線で瑞々しく書ききった傑作です。
文学として楽しめることももちろんですが、「子どもたちから見ると世界はこんなふうに見えるのか」、「子どもはこんなふうに考えているのか」という、小学生の気持ちに触れることができる大切な1冊です。
■作者はゲームや料理が大好きな14歳の女の子
作者の鈴木るりかさんは、現在私立学校に通う中学2年生の女の子です。得意科目は「昔から、勉強しなくても点がとれた」という国語で、中学受験の経験も作品にしっかり生かされているようです。
好きな作家は、志賀直哉と吉村昭という鈴木さん。志賀直哉を読んだきっかけは、なんとお寿司だったそうです。
「私はお寿司が好きなので『小僧の神様』から入りました。志賀直哉さんは“小説の神様”なのであやかりたい気持ちはあります。文章のリズムみたいなものは習得したいと思っていますが、あそこまで到達するのは至難の業です」と語っています。分析まで大人びていますね!
趣味はゲームやお菓子作りのほか、最近習い始めたというギターという、中学生らしい一面ももっています。ご両親も鈴木さんの作家活動を応援していて、鈴木さんは「次回作が待たれるような作家になること」を目標に掲げています。「”泉”が尽きない間は書き続けたい」とのことで、デビュー作も大きな話題になりそうです。
■今年で12歳を迎え卒業となる「12歳の文学賞」
鈴木るりかさんが世に出るきっかけとなった「12歳の文学賞」は、小学館が2006年から主催している12歳までを対象とした、公募文学新人賞です。
小説部門とはがき部門があり、毎年たくさんの傑作が生まれてきました。今年12歳を迎えたということで、「12歳の文学賞」自体も“卒業”という形で、最後の募集になりました。
9月30日までに応募のあった作品から、2018年1月に公式サイトなどで一次審査通過者を発表し、3月上旬に小学館の学習雑誌、「12歳の文学賞公式サイト」、読売KODOMO新聞紙上で受賞作を発表します。
これまでの受賞作は、「12歳の文学賞公式サイト」に公開されているので、小学生たちがどんな素晴らしい作品を書いてきたか、ぜひご覧になってみてください。
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