Q . おしっこはトイレでできるのですが、ウンチはパンツでしてしまいます。どうすればトイレでできるようになりますか?
A . あせらず、ゆとりをもって見守って
排泄に関していちばん大切なのは、「自然に出せる」ことです。トイレトレーニングの時期には「どこでするか」ばかり気にしてしまいがちですが、基本的に、ウンチは出れば安心。「出てよかったね!」という気持ちを忘れないようにしましょう。
■「トイレでしたくなる」ように
トイレでウンチができないのは、この時期の子供にとってごく普通のことです。これまでずっとおむつの中に排泄していたのですから、慣れたやり方のほうが安心。急に切り替えるのは難しいのです。パンツにウンチをしてしまうと、においが気になったり、後始末に手間がかかったり……。親はつい、「早くトイレでしてほしい」とあせってしまいます。でも、急ぐのは逆効果。トイレトレーニングは、「トイレでしなければならない」と教えるのではなく、子供自身が「トイレでしたくなる」ようにするのが理想です。そのためには、トイレでできなくても叱らないことが大切です。叱られると子どもはプレッシャーを感じ、緊張してかえってできなくなったり、ウンチを我慢するようになって便秘を引き起こしたりすることもあるからです。
パンツの中にウンチをしてしまうことは、「失敗」ではありません。まずは、「ウンチが出てよかったね!」。その後、「今度はトイレでやってみてほしいでーす」「パンツの中だとおせんべいになっちゃうね。トイレだとロケット発射!ってできるんだよ」などと声をかけてみましょう。楽しげな表情やユーモアのある表現で子供をリラックスさせ、「トイレでしてみようかな?」と思わせるのがポイントです。さらに、親がトイレから出たとき、「スッキリした!」などと言ってみるのも効果的。トイレは気持ちのよいところだと気づくきっかけになるだけでなく、「トイレでウンチをするのはかっこいい」と親にあこがれる気持ちも、「トイレでウンチをしよう」と思う動機になります。
また、子供は便意に気づきにくいこともあります。「おなかがギューッとしたり、おしりがムズムズしたりするのは、ウンチの合図だよ」「ウンチは出ませんか?って、おなかに聞いてみよう」など、体の状態に意識を向けることを促してみてもよいでしょう。
■「今日はおむつで」は避けて!
個人差はありますが、排泄にはタイミングも重要です。子供の場合、「食べれば出る」ことがほとんど。朝食後、「ウンチが出るかどうか、おなかとお話ししてみよう」などと、トイレに誘ってみましょう。出ても出なくても、毎日続けると、子供はトイレでリラックスできるようになります。そして、一度でもウンチをすることができたら、子供と一緒に喜びましょう。ただしトイレでの排泄は、一度できればずっとできる、というものではありません。できたりできなかったりを繰り返すのが普通なので、あせらずに見守ることが大切です。また、トイレトレーニングを始めたら、外出先でもトイレでするのを目標に。出かけたときだけ「おむつにしなさい」などと、大人の都合で言うのは避けましょう。子どもは育ちたがっているもの。前進し始めたら、逆戻りさせてはいけません。
記事監修
乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。