ディズニー映画『ラーヤと龍の王国』の着地点が新しい!子どもに見せたい理由とは?

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ディズニープラスで『ラーヤと龍の王国』の配信がスタート!

3月にディズニープラスのプレミアアクセスと劇場公開という2ウェイで公開された『ラーヤと龍の王国』が、いよいよディズニープラスで、6月4日(金)16時より配信されます。コロナ禍ということで劇場に足を運んだファミリーは少なかったと思いますが、本作は今にふさわしい力強いメッセージが詰まった作品で、レビューでも高い評価を得た感動作です。

龍の王国クマンドラは、かつて聖なる龍たちに守られ、龍と人とが共存する平和な王国でしたが、突如現れた邪悪な魔物ドルーンとの戦いで、すべての龍が犠牲になってしまいます。王国が分断されたなか、聖なる龍の力が宿る<龍の石>の守護者一族の娘であるラーヤが、唯一生き長らえたという“最後の龍”シスーの力を蘇らせ、バラバラになった世界を再び一つに戻そうとします。

一見よくありがちな冒険ファンタジーと思いきや、近年のディズニー映画は一筋縄ではいかない結末を用意しています。正直、本作のラストではいい意味で予想を覆され、非常にすがすがしい気持ちになれました!

悩めるヒロイン・ラーヤの葛藤と、底抜けに明るい龍シスーの名コンビ!

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『アナと雪の女王』のエルサもそうでしたが、ラーヤは王国の未来という重いものを背負っています。ところがあることがきっかけで、人を心底信じることができなくなっていて、半ば心が折れかかってしまいます。つまりラーヤはどこかネガティブですが、その暗部も隠さずに、きちんと描かれている点が今っぽい気がしました。

そこはナウシカなど、絶対的にたくましいヒロインとは一線を画していて、どこか人間くさい部分があるので、その分、感情移入しやすいかもしれません。

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その一方で、龍のシスーがユーモアたっぷりの“陽キャラ”で、見ているだけで楽しくなります。ムーランにおける龍のムーシューもそうでしたが、とことんおちゃめなキャラクターで、きっとお子さんも大好きになりそうです。

この全くタイプが違う凸凹コンビが、共に困難を乗り越えていくという物語なので、互いに気づきがあり、見ているほうもハッとさせられるシーンがいくつかあります。

世界の分断にノー!と突きつけるメッセージが染みる

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ディズニー映画には常に、現実世界における社会問題や政治的背景が、メタファーとして織り込まれていますが、今回も見事でした。本作では「世界の分断なんてノー!」というテーマが、美しい映像美と琴線にふれるストーリーを介して、ひしひしと伝わってきます。

世界中が今、未曾有の危機ともいえるコロナ禍にありますが、そんな非常事態にあっても、あちこちで火種がくすぶっています。では、私たちはどうしたらいいのでしょうか? そういう問題提議を上手にかみくだいて、わかりやすく教えてくれるのが、ディズニー映画の奥深さではないでしょうか。

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ちなみに繰り返して強調しておきますが、私は本作のクライマックスの予想外の展開におののきました。ネタバレは避けますが、最近のディズニー映画は予定調和じゃない着地点が最高で、思わず心のなかで「おお!」と叫んでしまいました(笑)。

もちろん映像のクオリティーも素晴らしく、特に龍たちが舞う神秘的なシーンには吸い込まれそうになります。見ていると、心が洗われていきますし、本当に心からおすすめしたい映画なので、ぜひ、親子で観賞してみてください。

『ラーヤと龍の王国』はディズニープラスで6月4日(金)16時より配信
監督:ドン・ホール、カルロス・ロペス・エストラーダ
声の出演:ケリー・マリー・トラン、オークワフィナ、ジェンマ・チャン…ほか 日本語吹替版の声の出演:吉川愛、高之麗、伊藤静…ほか

文/山崎伸子

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