「RSウイルス感染症」が全国的に流行中!新生児期は特に注意を。コロナとの違いは?受診の目安は?専門医に聞いた

全国的にRSウイルス感染症の流行が拡大しています。大阪では5月末、定点医療機関あたりの報告数がこの10年で最多を記録! 病気というと今は、新型コロナウイルス感染症ばかりに目が行きがちですが、実は子どもにとってはRSウイルス感染症のほうが怖い病気です。RSウイルス感染症の症状や流行について小児の感染症に詳しい、国立成育医療研究センター 感染症科医長・庄司健介先生に教えていただきました。

主な症状は38℃以上の熱、鼻水、咳、息苦しさ

RSウイルス感染症の症状や対処法

RSウイルス感染症は、新生児期から注意が必要な急性呼吸器感染症です。主な症状は38度以上の発熱、鼻水、せき、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」とした息苦しさなどです。

主な感染経路は、鼻水などがついた手で触ったりする接触感染で、せきなどによる飛沫感染もあります。

1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子が感染

感染力が非常に強く、1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子が初感染します。また一度の感染では終生免疫を獲得することができないため、何度か感染する可能性があります。

RSウイルス感染症にかかると、25~40%の乳幼児に気管支炎や肺炎の兆候がみられ、なかには呼吸困難などを起こして入院することも。とくに3カ月未満児や低出生体重児、呼吸器・循環器系に病気がある子は、重症化しやすいので注意が必要です。

特効薬がないため、感染すると鼻水を吸って呼吸をラクにするなどの対処療法が中心になります。

RSウイルス感染症が今、流行している理由

社会活動が活発化すると流行します

RSウイルス感染症は、小児の間で毎年のように流行る感染症ですが、2020年は流行が見られませんでした。理由として考えられるのは、新型コロナウイルス感染症の流行によって、保育園や、幼稚園などが休園し、Stay homeが徹底されるなど、ヒトとヒトとの接触が少なかったためと考えられます。

RSウイルス感染症は、新型コロナウイルス感染症と同じように社会活動が活発化すると流行ります。今、起きている流行は、コロナ禍でも子どもの社会活動が再び活発化してきたためと考えられます。

重症化しやすいのは3か月未満の子。RSウイルス感染症と新型コロナウイルス感染症は見分けにくい

前述の通り、RSウイルス感染症の主な症状は発熱、鼻水、せきです。ひどくなってくるとゼーゼーとした息苦しさを伴います。症状から新型コロナウイルス感染症と見分けるのは難しいです。

もし家族が新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者に該当していたり、子どもが通う園や小学校などで感染者がいる場合は、小児科を受診する前に必ず電話でその旨、伝えましょう。

またRSウイルス感染症は、最初は軽いかぜのような症状ですが、感染後3~5日で重症化することがあります。そのため、気になる症状があるときは早めに小児科へ。

3カ月未満の子はとくに重症化しやすいので、以下の症状がある場合は、夜間でも小児科を受診してください。

①せき込む

②呼吸の状態がいつもと違う

38度以上の熱がある

 

RSウイルス感染症の予防は、手洗いが基本

RSウイルス感染症の予防は、石けんを使った手洗いが基本です。手洗いができる子は、外から帰って来たり、食事の前にはていねいに手洗いをしましょう。アルコール消毒も有効です。赤ちゃんは外から帰って来たら、ママやパパが抱っこして手を洗ってあげるといいでしょう。

またRSウイルス感染症は、幼稚園や保育園などに通っている上の子から、下の子にうつるケースが多いです。そのため上の子がいるご家庭は、園や小学校での流行状況をチェックしておきましょう。

 

記事監修

国立成育医療研究センター 感染症科医長
庄司健介先生

2005年宮崎大学医学部卒。専門分野は、小児科一般、小児感染症、小児臨床薬理学

取材・構成/麻生珠恵

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