今年もインフルエンザの季節がやってきました。かからないための予防と、かかってしまったときに慌てないようにホームケアを万全にしましょう。国立国際医療研究センター感染症対策専門職の堀先生におはなしを伺いました。
幼児のインフルエンザの予防接種の基本
生後6か月~12歳の子どもは2回接種、4週間の間隔を開けて
子どもは1回目から4週間程度の間隔をあけ、11月中には2回目を接種できるように計画を。重度の卵アレルギーの場合は医師に相談しましょう。
家族への感染拡大を防ぐために
座る位置や寝る向きを工夫することが有効
家族の誰かが病気になってしまった場合は、部屋を換気し、大人だけでなく子どももマスクの着用を。咳をしている子どものお世話をするときは、咳を真正面から受けないように、横または斜め45度くらいの位置に座ります。食事のときも向かい合わない位置で食べる、時間をずらすなど、咳の飛沫を吸い込まずにすむ工夫を。
看病する人もマスクと手洗いを
看病する人は念のためマスクを着用し、お世話のあとは手洗いの徹底を。家族が胃腸炎にかかったときは、トイレのタオルの共用は避けましょう。胃腸炎は症状がおさまっても1週間程度、便からウイルスが排出されることがあるため、おむつ交換の後の手洗いは念入りに。
寝室を別にできない場合は、パパが咳をしているなら、パパだけ頭の向きを逆にして寝ると飛沫感染のリスクを減らせます。
インフルエンザにかかったら何日たてば登園できるの?
解熱後3日が基本ルール
インフルエンザにかかった場合は、発症した日を0日と数え、5日を経過し、かつ解熱後3日を過ぎるまで保育園・幼稚園は出席停止となることが学校保健安全法施行規則で定められています。これは、熱が下がっても、この期間はほかの人にうつしてしまう可能性があるためです。
【症状別】インフルエンザの時の幼児へのホームケア
咳が出るとき
本人が楽になる姿勢をとらせて
横になると咳がひどくなるときは、縦向きに抱っこをしたり、頭と背中の下に枕や丸めたバスタオルなどを入れて上体を少し高くしたりして、本人が楽になる姿勢をとらせましょう。咳がひどくて食事が飲み込みにくいときは、のどごしのよいものを与えます。水分は本人が飲みたがるものを少量ずつこまめに飲ませましょう。
熱があるとき
こまめな水分補給を
水・お茶・ジュースなど、本人が飲みたがるものを少量ずつこまめに与えましょう。水分を全く受けつけない場合は、早めの受診を。食事は元気になれば食べられるようになるので、無理に食べさせる必要はありません。食事がとれない場合は、経口補水液を飲ませると水分のほかに塩分や糖分も補うことができます。
汗をかいたら着替える
汗をかいたら濡れタオルで体をふいて、着替えさせましょう。子どもが暑がっているときは、薄着にしてもかまいません。解熱剤を処方されたときは、どのような場合に、1日何回まで使用できるのか、医師によく確認しておきましょう。
おう吐・下痢のとき
吐く前の準備が大切
食欲がなくなるなど胃腸の具合が悪そうな様子が見られたら、子どもがいつ吐いても大丈夫なように準備をしておくことが大切です。牛乳パックにビニール袋をかぶせた「おう吐物入れ」を寝室や通院時に使う車などに用意しておくと、おう吐物をまき散らさずにすみ、おう吐物を見ることでおうちの方の気分が悪くなるのも防げます。おう吐物の処理に使うペーパータオルやビニール手袋も用意しておきましょう。下の図のようにして牛乳パックで処理用のちりとりを作ると役立ちます。
おう吐した場合は
ビニール手袋とマスクを着用し、おう吐物をきれいにふき取ります。
ふき取った雑巾などはビニール袋に密封して捨てます。消毒をする場合は、水ぶきのあと、市販の家庭用消毒剤(ムースタイプのものなど)で消毒を。家庭用消毒剤の購入にあたっては、薬局などで相談しましょう。
吐き気があるときの水分補給は少量から
吐いた直後に水分を飲ませても吐いてしまうので、吐き気が少しおさまってからスプーン1杯程度を飲ませ、吐かなければ少しずつ量を増やしていきましょう。食事は無理に食べさせず、シャーベット、プリン、アイスなど、食べやすいものから少量ずつ与えます。体内から失われる電解質を補うものとしては、経口補水液も市販されています。
牛乳パックちりとりの作り方
牛乳パックとビニール袋におう吐物を入れよう
監修:堀 成美先生
国立国際医療研究センター感染症対策専門職。看護師としての勤務を経て、感染症対策の教育活動に取り組む。1児を育てたママでもある。
イラスト/きつまき 取材・文/安永美穂 構成/童夢 出典/『ベビーブック』