2021年6月、そして7月に、子どもが保育園や小学校の給食で出された「パン」を喉に詰まらせる、ということが起こりました。ミニトマトやぶどう、乾いた豆などは窒息を引き起こす可能性のある食品として知られていますが、日常的に食べる「パン」まで危険だなんて!と驚かれる方も多いかもしれません。しかしパンによる窒息はこれまでにも度々起きているのです。
食べ物による窒息を予防するために
未就学児が気を付けたい事
子どもの成長の中でも、噛む力、飲み込む力は一般的には外からは見えづらい成長なので、保護者や保育者でも判断が難しいところです。そこで普段から意識的に注意して子どもの様子を観察しておくことが大切です。
また、家庭内に異年齢の兄弟がいる場合、食べ物を分けることは大変難しいですが、年長児が年下のきょうだいに自分の食べているものを食べさせてしまうこともあるので、食事やおやつを用意するときは、下の子の分を先に用意し、食べ始めたら上の子の食べ物を出すようにしましょう。
口に入れる大きさ
1,2歳児:ミニトマト1/4の大きさ
3,4,5歳児:ミニトマト1/4の大きさ。よく噛める子は1/2でも可
パンやカステラなどパサパサしたものを食べるとき
1,2歳児:はじめに水分で口を湿らせておく(一口のサイズはミニトマト1/2の大きさを目安に)
3,4,5歳児:はじめに水分で口を湿らせておく(一口のサイズはミニトマト1個分の大きさを目安に)
乾いた豆(ピーナッツなど)や豆が含まれているお菓子など
1,2歳児:食べさせない
3,4,5歳児:食べさせない
興奮した状態やテレビを見ているとき、また歩いたり乗り物に乗っているときに食べてはいけない理由
驚いたり、大声で笑ったり泣き切ってしゃくりあげたりしたときに、大きく息を吸い込みますね。そのときに口の中にあるものが一気に喉の奥に吸い込まれてしまうのでそのような状態では食べさせてはいけないのです。
ただ、飛行機や船など長時間乗らなければいけない場合は、揺れが小さいタイミングを見計らって食べさせるようにしましょう。
こんにゃくゼリー
1,2歳児:食べさせない
3,4,5歳児:食べさせない
フルーツゼリー
1,2歳児:食べさせても良いが、凍らせた状態で食べさせない
3,4,5歳児:食べさせても良いが、凍らせた状態で食べさせない
食べさせるときにやっていはいけないこと
・横になって食べる
・歩きながら食べる
・興奮した状態(泣く、笑う、ふざける、怒る)で食べる
・テレビや映画を観せながら食べる
・周囲がザワザワしたり、トラブルが起きている環境の中で食べる
・乗り物の中で食べる
・食べ物を宙に放り投げて、口で受けるような食べ方をする
「見守り」は窒息の予防にはならない
よく「乳幼児が食べているときはそばで見守りましょう」と言われますが、見守っているだけでは窒息を予防することはできません。まずは子どもの月齢・年齢にあった食べ物を、適切な大きさ、硬さにして食べさせることが大切です。そして、子どもが食べ物を歯でしっかり細かく砕き、唾液と混ぜて喉の奥に送り込むことができているかどうかを確認してください。噛むことも飲み込むことも、一朝一夕にはできません。決して焦らず、無理をせず、子どものペースに合った食べ方を見つけましょう。
本来食事やおやつは楽しいものです。食べることが苦行にならないよう、時には後戻りしながら、少しずつ成長していけるといいですね。
◆小学生
Safe Kids Japanでは、主に小学校低学年の子ども達のために、「窒息予防のは・ひ・ふ・へ・ほ」(動画)を作りました。
食べ方のポイントはこちらです。
は:早食いはしない
ひ:ひと口でほおばらない
ふ:ふざけない
へ:ぺちゃくちゃしゃべらない
ほ:ほうり上げて食べない
楽しい給食で重大な傷害を負うことのないよう、この「は・ひ・ふ・へ・ほ」を守って食べてくださいね。
記事監修
事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人。Safe Kids Worldwideや国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所などと連携して、子どもの傷害予防に関する様々な活動を行う。