デジタル世代の子どもたちは、友だちとどう交流していくべきか?『ロン 僕のポンコツ・ボット』【親子で観たい映画】

ひとりぼっちの少年とイケてないポンコツロボットが心を通わせていくCGアニメーション映画『ロン 僕のポンコツ・ボット』。ネット社会の問題が投影された本作は、家族で観るのにぴったりな感動作です。

孤独な少年とポンコツロボットが育んでいく不器用な友情

©2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

新進気鋭のCGアニメーションスタジオ「ロックスミス・アニメーション」初の劇場長編アニメーション作品『ロン 僕のポンコツ・ボット』が10月22日(金)より公開されました。丸くて白いロボットと少年の交流を描く感動ファンタジーと聞けば、ディズニーアニメーションの『ベイマックス』(14)を彷彿させますが、本作では、今を生きるデジタル世代の子どもたちに向けた課題を提示していて、まさに親子で観てほしい1作となっています。

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劇中に登場するのは、インターネット、写真、通話、テレビ、ゲームなどあらゆるデジタル機能に加え、乗り物としても使用できる最新式ロボット型デバイス「Bボット」。このデバイスは、所有者の趣味や好みを熟知していて、ソーシャルメディアを通じて友だちまで見つけ出してくれるという優れもので、ほとんどの子どもたちは学校にもマイBボットを連れてきています。

主人公のバーニーは友だちのいない孤独な少年ですが、彼も親におねだりして、ようやくBボットのロンを手に入れました。これで学校でも仲間はずれにされないと安心しつつ、ロンを理想の友だちにしようと思ったのもつかのま、なんとロンは、オンラインに接続できない不良品でした!バーニーのリクエストを全く理解できず、空回りしつづけるロン。バーニーは必死に自分が求める友だちの条件をロンに説明し、なんとか友だちを探してもらおうとしていきますが……。

便利すぎるSNSに頼りすぎて陥る罠とは?

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現代社会におけるソーシャルメディアは、親しい友人や家族はもちろん、学校や職場などの知り合いや仲間たちとの便利なコミュニケーションツールですし、自分の趣味や好みなどが共通する顔の見えない相手と「友だち」になることも、もはや当たり前となりました。ただ、SNSなどのグループのリアクションに対して過敏になりすぎたり、SNSに束縛されてうんざりした経験は、多かれ少なかれ、誰にでもあるのではないでしょうか。

バーニーが通う学校の友だちもBボットを活用しまくっていて、みんなに「いいね!」をもらうことに必死です。また、そこで手に入る情報しか必要としないような、非常に効率のいい生活を送っています。でも、本当にそれだけでいいのでしょうか?改めて「友情の定義とは一体何なのか?」と考えさせられそうです。

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監督・脚本・製作総指揮を務めたサラ・スミスは、自分の子どもが帰宅後に「今日は誰とも遊べなかった」と言ってきて、胸を痛めた経験を基にして、本作を手掛けたそうです。バーニーたちのやりとりを見れば、きっとママやパパも大いに共感できるはず。

また、劇中ではさらに、親目線で子どもを心配する感情や、逆に子どもが親を案じるシーンなども丁寧に織り込まれています。子どもは気づかないうちに成長していて、時には自分のことよりも、親の気持ちを優先させることもきっとあるでしょう。いろんな意味で、親子関係においても気づきを与えてくれる1作だと思います。

コロナ禍だからこそ響く、人と人とが織りなすリアルな絆

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世界的なパンデミックとなった今、以前は当たり前だった人づきあいそのものが難しくなりました。そんな中で、確かにソーシャルメディアは、実際に会うことのできない大切な人たちをつないでくれる大切な役割を担っています。でもそのせいで、実際に会って本音をぶつけ合ったり、相手が大笑いしたことにつられて自分も笑ったりといった、本来あるべき形のコミュニケーションに対して消極的になってしまった気もしています。

バーニーは最初、全く役に立ってくれそうにないロンをわずらわしく感じていました。ところが、バーニーに対して真っ直ぐな思いをぶつけてくれるロンと一緒に居続けることで、どんどん距離を縮めていきます。もちろんロン自体はポンコツでも非常に愛嬌があって、その愛らしさにハートをつかまれるという点も大きいのですが。

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ロンは決して思い通りになる優れたロボットではないけど、だからこそバーニーはロンと一緒に過ごしていて楽しいんです。友だち同士の関係性は、必ずしも良い時ばかりではなく、一筋縄ではいかない部分もあるでしょう。でも、自分とは違うところを受け入れて、そのハードルを乗り越えていくからこそ、友だちとの絆が深くなっていくのではないかと。

子ども目線の映画ではありますが、大人たちも人とどう付き合っていくべきか、そしてソーシャルメディアとどう向き合うかという問題をつきつけられる本作。大いに学びがありそうです。

また、折しも芸術の秋ということで、本作には、アニメーションならではの美しいシーンも盛りだくさんに用意されていることも追記しておきます。映画館で観れば、非常に豊かなものを受け取れそうな作品ですので、ぜひ週末にご家族でお出かけください。

『ロン 僕のポンコツ・ボット』は10月22日(金)より全国公開中
監督:ジャン・フィリップ・ヴァイン、サラ・スミス
声の出演:ザック・ガリフィアナキス、ジャック・ディラン・グレイザー、オリヴィア・コールマン…ほか 日本語吹替版の声の出演:関智一、小薬英斗…ほか
公式HP: 20thcenturystudios.jp/movies/ron

文/山崎伸子

©2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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