見応えのある内容で、TVerの見逃し配信数の民放歴代最高記録をマークした菅田将暉主演の月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」(毎週月曜21時~)。毎回、予想外の謎解きや深いドラマに琴線を揺さぶられる同作ですが、惜しまれながらも、遂に第12話で最終回を迎えます。
前11話では、菅田さん演じる久能整(くのう・ととのう)がスポット的な出演に留まり、原作でも人気キャラクターである犬堂我路(永山瑛太)が再登場。また、事件を追う風呂光聖子刑事(伊藤沙莉)に新たな試練が襲いかかります。
特筆すべきは、今回のゲスト俳優となった北村匠海の怪演でした。我路が対峙する相手としてはまさに不足なし!というヒール役で存在感を発揮!毎回実力派俳優の演技対決に大興奮させられますが、北村さんも最終盤となる事件のキーマンとして、視聴者を圧倒しました。
第11話のここにしびれた!
(これより以下、11話のネタバレを含みます)
現在起こっている連続殺人事件が、過去に18件の殺人を犯して以来、姿を消していた羽喰玄斗(千原ジュニア)の事件とつながりました。さらに現在進行中である事件の真犯人が、羽喰玄斗の息子と名乗る羽喰十斗(北村匠海)の仕業だったことが判明!明日の12話で詳細が明かされるようですが、羽喰十斗の残忍さには思わず息を呑みました。
今回は整の代わりに、風呂光と我路が事件に関わっていきます。連続殺人事件の応援要請で、上司の青砥成昭(筒井道隆)から指名されて捜査本部に向かった風呂光。ベテランの備前島操警部(船越英一郎)から言われ、猫田十朱刑事(松本若菜)とタッグを組むことに。
「ミステリと言う勿れ」において最初は女性刑事で一人前に扱われないことに悩んできた風呂光ですが、整と出会ったことで、次第に刑事としてたくましさを見せるようになっていきます。おそらくドラマのなかでの彼女は、実に等身大的な普通の女性というポジションなので、小さな成長さえも頼もしく思えます。
もちろん実際に殺人事件の捜査に関わった時に、自分自身が怖くなったという本音も今回吐露しました。そんな彼女にかつての自分を見いだした先輩刑事の猫田と風呂光とのやりとりには感慨深いものがあります。
女の刑事は使えないといった扱いを受けがちな風呂光ですが、すべての男性上司がそういうわけではなく、上司の青砥も風呂光の頑張りを見込んで今回の現場に送ったと思いますし、備前島警部もベテランならではの良いアドバイスをしてくれました。そこからまた一皮むけていく感じが、彼女の魅力につながっていく気がします。
例えば風呂光は、備前島警部から指摘された“お客様体質”について、誤った理解をしていたようです。風呂光は「指示されるのを待ってるだけで、自分から動かない」と言われたと勘違いしていましたが、猫田によると全くその逆でした。
猫田は風呂光に駆け出しの頃の自分を重ね「私、新人の頃イキがっててさ。女だからって舐められたくなくて、1人で動いたり、無茶なこともしてたんだ」と反省し、その時に警部から「自分の手に負えないことがあったら、人に助けてもらえばいい」とアドバイスを受けたと話してくれました。
風呂光は、大ピンチに陥った時、言われたとおりにちゃんと助けを求めることができましたが、どうやら羽喰十斗のほうが一枚上手だったようです……!ああ、次回が早く観たい!
北村匠海が、好青年、狂気めいた殺人鬼、ツインテールの女を演じ分け
やはり今回の主役は、羽喰十斗役の北村匠海でした。寄木細工のミュージアムの学芸員・辻浩増として登場した時は、見るからに紳士的な好青年でしたが、その後、羽喰十斗としての本性を現し、猫田をナイフで一突きするという凶行に出ました!
このスイッチの切り替えぶりは「さすが」の一言!十斗の「刺した刃物は手首をひねってから抜くと、大量出血する」と言う台詞にはゾクリとさせられました。
また、冒頭に登場したツインテールの女の子の正体も、まさかの羽喰十斗だったようです。北村さんの彫りの深い顔はメイク映えするなとつくづく見入ってしまった人も多かったのでは。
そして「警察は何もわかってない」と、十斗が語った意味深な言葉の意味とは?彼の犯行動機も含め、続く12話で明かされるのでしょうか!?
第12話では、我路が羽喰十斗に、愛珠が死に至った真実を問う
第12話では、無事に美術展を見終わった整は東京へ帰る新幹線に乗車するなかで、隣席に座った美樹谷紘子(関めぐみ)と交流していきます。一方、我路は羽喰十斗こと辻に、妹の愛珠(白石麻衣)が死に至った真相を尋ねますが、どうやらそこでも新たな謎が生まれていくようです。最終回は15分拡大版のスペシャルなので、絶対にお見逃しなく!
「ミステリと言う勿れ」フジテレビ系列 月曜夜9時から放送見逃し配信はFOD、Tverでご覧ください(放送後、最新話が公開されます)
文/山崎伸子
カレー好きで天然パーマの大学生・久能 整(くのうととのう)がある日、
殺人事件の容疑をかけられて…!?整の言葉に、事件の謎も人の心も解きほぐされていく新感覚ミステ
月刊フラワーズ(毎月28日頃発売)にて連載中!
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