「ミステリと言う勿れ」整とライカの別れが切なすぎる!菅田将暉と門脇麦の感情を抑えた熱演が話題!【連載第10回】

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月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」第10話では、菅田将暉演じる久能整に、門脇麦演じるライカが別れを告げました。お互いを思い合い、大切にしているからこそ、静かに運命を受け入れた2人のやりとりを振り返ります。

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

明日、菅田将暉主演の月9ドラマ「ミステリと言う勿れ」(毎週月曜21時~)の第11話が放送されます。前10話では、菅田さん演じる久能整(くのう・ととのう)が、ライカ(門脇麦)と2人で初詣に出かけ、焼肉屋デートをしました。ただし、後日、2人を待っていたのは、悲しくも切ない別れでした。

コミックス6巻より ©田村由美/小学館

私は常々思っていたことですが……と、整的に言えば、「ミステリと言う勿れ」という田村由美の原作コミック及びこのドラマは、サスペンスミステリーの要素をふんだんに盛り込みつつも、一番のテーマは、人の悲しみや苦悩をいかにして気づいていけるか、ということなんだと思います。

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

もちろんミステリー好きだという田村先生だけあり、「ミステリと言う勿れ」とタイトルで宣言しつつも、毎回起こる事件は予断を許さない展開のもので、まったくノーマークだった真犯人の正体や犯行の動機などには、驚嘆させられっぱなしです。

でも、いつも観終わったあとは、謎解きの面白さよりも、人間ドラマとしての余韻が深く残る気がします。10話はその極みでした。

第10話のここにしびれた!

(これより以下、10話のネタバレを含みます)

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

初詣と焼き肉デートという“恋人たちあるある”に心ときめいていた整。ところが入った焼肉屋では、どうやら強盗が立てこもっていたようで、整とライカはいち早くそのことに気づき、店を出てから警察に通報した、という流れにはかなりしびれました。

何か違和感を感じた時、そこを決して見逃さない。それが整とライカのすばらしい能力ですが、本来なら困った人や辛い状況にある人がいれば、誰もがそこに耳を傾けてほしい、2人はそう願っているようです。

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

壮絶な虐待サバイバーである整たち。正確に言えば、ライカは親の虐待に遭っていた千夜子が生み出した別人格ですが、ライカの行動はすべて千夜子のためであっても、そういう過酷な状況にいる人たちをどうにかしたいという思いは整と一致していたのではないかと。

ライカが千夜子について語った内容はかなりヘビーなものでした。今回も親からの壮絶な虐待を語る時のBGMはアヴェ・マリアです。千夜子は父親から日々暴力をふるわれ、サンドバッグ状態になっていて、何度も自殺を図っていたとか。

「私は、千夜子の痛みを引き受けるためだけに生まれて来たんだ」と、ライカが語ったとおり、千夜子は虐待に堪えきれず、解離性同一性障害、いわゆる多重人格となったようです。ライカの「知ってるか?この病になる人間は性的虐待を受けてることが多いそうだ」という台詞にも言葉が出ませんでした。

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

以前、ライカが病院のあちこちに暗号を仕掛けた理由は「違和感に気づいて行動する人。でもそれをすぐ人にしゃべったりしない人。私の代わりに動いてくれる人」を探していたためで、その結果、整に行き着いたようです。そして整は実際に、声を挙げられない人たちの苦悩を察知し、様々な事件に関わっていきました。

ものすごい個人的な解釈となりますが、久能整という名前も、誰かの“苦悩”が整によって“整う”ことから名付けられたのではないかと深読みさえしてしまいます。ライカの存在は、特にそのことをわかりやすく代弁していました。

菅田将暉と門脇麦の抑えた熱演で切なさが二倍増し

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

ライカによると、千夜子が里親に引き取られ、新しい生活を始めることが決まったとのことでしたが、同時にそれは、整との別れも意味していました。

これまで千夜子のためだけに存在してきたライカでしたが、彼女は整と過ごすうちに、ライカ自身としての幸せを見いだし始めたことに気づいたようです。「このままだと、消えたくない、ずっとここにいたい、そう思ってしまう。私がいたら、千夜子は幸せになれないのに」と静かに語るライカ。

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

すべてを悟った整は、ライカの思いをしっかりと受け止め「僕にも傷があります。この傷の痛みは、ライカさんの傷と同じ痛みです」と胸の大きな火傷の痕(あと)を見せます。それを見てライカが「整くんの痛みも、代わってあげられたらよかったな」と語りますが、それを聞いた整の心情を思うと涙を禁じえませんでした。原作でも非常に刺さる台詞です。

また、菅田さんと門脇さんが紡ぎ上げた一連のシーンも非常にエモーショナルでした。ようやくお互いを誰よりもわかりあえた存在に出会えたのに、別れなければいけないなんて……。

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

心のなかでは想像しがたいほどの葛藤と悲しみを抱えつつも、決して感情を荒立たせることなく、淡々と言葉を交わしあったのは、相手の気持ちを痛いほどわかっているから。菅田さんたちの抑えた熱演が涙を誘いました。

第11話では、整が、犬堂我路がらみの事件に巻き込まれる!

©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン
©田村由美/小学館 ©フジテレビジョン

第11話では久しぶりに、犬堂我路(永山瑛太)がらみの事件が描かれていきます。整が、我路から教わった大阪開催の美術展に行きますが、またもやそこで連続殺人事件に巻き込まれていくようです。そして、白石麻衣演じる犬堂愛珠も登場するので、乞うご期待!

「ミステリと言う勿れ」フジテレビ系列 月曜夜9時から放送見逃し配信はFODTverでご覧ください(放送後、最新話が公開されます)

文/山崎伸子

 

田村由美|472円(税込)
『BASARA』『7SEEDS』の田村由美、最新作!
カレー好きで天然パーマの大学生・久能 整(くのうととのう)がある日、
殺人事件の容疑をかけられて…!?整の言葉に、事件の謎も人の心も解きほぐされていく新感覚ミステリ-。
月刊フラワーズ(毎月28日頃発売)にて連載中!

 

 

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