【元小学校教員が教える通知表の読み解き方】大切なのは「よくできる」の数ではないってホント!?

各学期の終わりには通知表が配られます。通知票には学習や生活の様子が、3段階評価や文章で書かれています。

通知票を開くと、ついつい「よくできる」「できる」「もうすこし」の数で成績の良し悪しを判断しがち。しかし実は、見るべきポイントは別にあることをご存知ですか。
今回は元小学校教員である筆者が、通知表を見るときのポイントをご紹介します!お子さんの学校での姿がより鮮明に分かり、ご家庭でのフォローのヒントにもなりますよ。

通知票を見るときの注目ポイントとは?

大切なのは「よくできる」のついた項目

小学校の通知表は基本的に「よくできる」「できる」「もうすこし(がんばろう)」の3段階です。

・その学年の目標をおおむね満たしている場合に「できる」

・その学年の目標よりかなり高い到達度の場合に「よくできる」

・その学年の目標に到達していない場合に「もうすこし(がんばろう)」がつきます。

通知表を読み解くには、まず「よくできる」のついた項目に注目しましょう。
そこに、お子さんの得意分野や学校でのお子さんの様子が表れています。

例えば、国語の「すすんで取り組むことができる(主体的な態度、意欲面)」に「よくできる」がついているなら、「国語の時間、真剣に話を聞いてやっているのかな」「積極的に手を挙げて発言しているのかな」と予測できます。
「よくできる」がついているということは、その学年で目指しているレベルよりも高い能力があるということですから、そこがお子さんの得意分野・強みであると言えます。

「うちの子って学校ではそうなの!?」と違和感を感じる項目は要チェック!

「家ではうるさいくらい歌っているのに、音楽に「もう少し」があるのはどうして?」

「計算の宿題ではめちゃくちゃ間違えていたのに、算数に「よくできる」が多いのが不思議」

これらは、筆者が教員をしていた時に、保護者の方から実際にいただいたご意見です。

 通知表を見るときには、ご家庭でのお子さんの姿と合致していない部分をチェックしましょう。
上の例では、学校では恥ずかしがって大きい声で歌っていない、宿題や復習を頑張ったおかげでテストの結果が良かったなどが予測できます。

家と学校での様子が違う事自体は、悪いことではありません。大人だって、職場では気を張っていても、家ではゆったりしますよね。子どもだって同じです。学校では緊張感をもって過ごしていて、家ではリラックスしているのでしょう。
「うちの子は、オンとオフを切り替えて過ごしているんだな」と分かります。

文章の部分は、先生が特に伝えたいことが凝縮されている

通知票には、文章で書かれた部分もあります。
そこには学校でのお子さんの様子について、先生の伝えたいことがぎゅっと詰まっています
基本的には良いところや成長したところが書かれていますので、通知表を見てお子さんをほめるときは、まずここを読んでみましょう。(後半で詳しく!)

成績はどうやってつけているの?【3段階評価編】

通知票を読んでいると、「どうやって成績を出しているんだろう」「テストの他には何を見て決めているの?」と思うことはありませんか? ここでは、各教科の3段階評価の部分について、解説します。 

「なんか昔の通知票と違う…」 実は2020年から大幅に改訂していた!

小学4年生以上のご兄弟がいるご家庭ではご存知かもしれませんが、実は通知票は、2020年から大きく変わりました
全ての教科が「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に取り組む態度・人間性」の3観点となったのです。

それまでは、例えば国語なら「関心・意欲・態度」「読む」「書く」「話す・聞く」「言語事項」のように、学ぶ内容ごとに分かれていました。
しかし今だと、「ひらがなの正しい形が分かるという“知識”」「すらすらと音読できる“技能”」「先生の話を聞ける“技能”」も全て「知識・技能」に含まれることになります。

先生は何を見て成績をつけているの?

それぞれの項目について、何を見て評価をつけているかご紹介します。

①知識や技能面の評価のポイント:テスト・できあがった作品の出来栄え・教えた技能ができるようになったかどうかなど

②思考力・判断力・表現力のポイント:テスト・発言の内容・発表の様子・ノートやプリントに書いている内容・ひらめきやつぶやきなど

③主体的に取り組む態度:積極性・集中力・真面目に取り組む態度・友だちと協力する様子など

100点をとったのに「よくできる」じゃないのはどうして?

テストで100点をとった教科でも、「よくできる」はつかないことがあります。1つの教科でも1学期に何枚かのテストをしているので、1回100点をとったからといって「よくできる」とはなりません。
全てのテストで高得点をとっていると「よくできる」がつきやすいです。

反対に、テストで50点をとった科目でも「よくできる」がつくこともあります。テストには表面と裏面がありますよね。それぞれ、得点を書くスペースに、「知識・技能」などの項目が書かれています。項目ごとに、全てのテストの点数を合計して、成績を出すこともあります。

成績はどうやってつけているの?【文章評価】

所見には、お子さんの輝く姿が記されている

先生側にとって負担が大きいのは、実は文章で書かれた「所見」と呼ばれる部分です。文章で書かれる部分にも複数あり、学年によって項目が異なります。
低学年ではまだ項目が少ないですが、学年が上がるにつれて教科が増え、通知表の項目も増えていきます。

「総合所見」…学習面と生活面について、総合的に書かれている

「総合的な学習の時間」…総合的な学習の時間での取り組みについて書かれている

「英語」…英語の時間の活動内容や、成長を記載

「道徳」…道徳の時間の様子や成果を記載。

お子さんの様子が最も現れるのが「総合所見」。一般的に、1番文章量の多いところです。

「丁寧にじっくりとひらがなの練習に取り組みました」

「かけっこの練習では、ゴールまで全力で走ることができました」

「休み時間は友だちと外遊びを楽しんでいます」

「掃除の時間には、部屋のすみまで一生懸命きれいにしていました」

など、お子さんの輝く姿が書かれていますよ。

担任の先生が全員分書いているって本当?

基本的には、担任の先生が全ての項目を書きます。ただ、音楽や図工、教科担任制の教科については担当の先生からコメントをもらうこともあります。
あの文章量をクラスの全員分書くと考えると、それなりに大きな仕事量ですよね。毎日授業をしながら、子どもたちが下校した後などに作業していると思われます。

ただ、通知票は、担任の先生一人で作っているわけではありません。

担任の先生が書く ⇒ 学年の先生同士で読み合い、加筆修正 ⇒ 校長先生などの管理職が最終チェック

という流れでチェックし、間違いがないように努めています。通知票に校長先生のハンコが押されているのは「チェックしましたよ!」という意味なのです。

よくないところ、直したほうがいいところがあまり書かれていない気がするけれど…

文章表記のところには、基本的には、良いことを書いています。
お子さんの成長したところ、がんばったところ、すてきな一面をお家の方に知ってほしいからです。

課題となる点はやんわりとした表現で書かれることが多いといえます。「これからも支援していきます」「~については、今頑張っているところです」「~について、ご協力のほど、よろしくお願いいたします」といった表現があったら、「ここが課題なのね」「家で何かフォローできることはあるかな」と考えてみましょう。

通知票は眺めるだけではもったいない! 親にはどんなことができる?

 

通知票を見て、どんな言葉をかけたらいいのか分からない

子どもにとっては一学期最後の日。「明日から夏休みだー!」とウキウキしている子も多い日です。
基本的には、ポジティブな言葉をかけてあげましょう。学校に対して良い印象をもったまま夏休みに突入すると、良いイメージのまま二学期を迎えられますよ

→がんばったことを具体的にほめる。「○○をがんばったんだね」

→学校での姿を認める。「お友だちにこんなことしてあげてるんだね。知らなかったよ!」

→先生との絆を深める。「~~なところ、先生が見ててくれたんだね。」

→学校での様子を話題に挙げる。「算数がよくできたって書いてあるよ。どんなことができたの?」

「もうすこし」があると、つい叱ってしまうのですが…

お子さんもそれなりにショックを受けているはず。ただ、小学校の学習は積み上げ型なので、夏休み中にぜひ復習をしておきましょう。お家で復習するなら、市販のドリルや無料のダウンロード教材がおすすめです。

また、心配な教科については軽く予習をしておくと、2学期の理解度が大きく変わりますかけ算九九に聞き慣れておく(2年生)、漢字ポスターを家に貼っておく(1年生)程度なら、お家の方にとっても負担になりにくいですよ。

「よくできる」が多かったら、ゲームソフトを買う約束は効果的?

約束をしてすぐの時は、「ゲームのためにがんばるぞ!」という気持ちになります。しかし低学年くらいだと、そのやる気はなかなか継続しにくいです。
また、通知表はテスト1枚の点数で決まるものではないので、がんばるポイントがたくさんあります。結果的に、「よくできる」のためにがんばることは難しいといえます。

心理学的に考えると、何かをもらうため、つまり「ご褒美」のために勉強するのはおすすめできません。それを続けていると、「ご褒美」がない状況では意欲がわかなくなるおそれがあります。また、ごほうびや報酬のために行動を起こすクセがついてしまい、「自分自身が楽しいからもっとやりたい」「誰かのために…」という考え方が育ちにくくなります。

筆者が小学校教員をしていたときに出会った男の子を例に挙げてみます。低学年のころは、100点のテスト5枚でゲームソフトを買ってもらえるという約束でした。金額的にも可能な範囲だったので、お家の方も「それで勉強をがんばってくれるなら…」と思っていました。高学年になると、スマホやPCをご褒美に欲しがるようになりました。「それは高価だし、セキュリティの問題もあるからダメ」と断ったら、一気に勉強しなくなったそうです。

これはあくまでも一例ですが、ごほうびの扱いには注意をしましょう。

「これってほんとにうちの子のこと?」と思うような内容があったら?

そうお感じになったことを、個人面談・お電話にて先生に伝えてみることをおすすめします。家と学校での様子に違いがある子もいます。お子さんのどんな様子を見て先生がそのような評価をつけたのか伺い、確認してみましょう

 連絡をするなら、一学期の通知表の相談なら、7月中をおすすめします。先生たちは夏休み中も勤務していますが、研修や出張が多く8月は学校にあまりいないかもしれません。

通知票で、お子さんの成長を読み取ろう

一学期のお子さんの様子がぎゅっと詰まっている「通知票」。通知票を読んでいくと、学校ではどんな風に過ごしているのかが見えてくるはずです。お子さんをより深く知るため、お子さんをほめるためのアイテムとして上手に使っていきましょう。

また、これからの社会では、学校での学習よりもっと幅広い力、もしくは特定の分野に特化した力をもった人間が活躍するとも言われています。
通知票の評価は、学校内で見せるお子さんの姿、つまりお子さんの一面を評価したものですから、あくまでの評価の1つとして捉えてみてくださいね。

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文・構成/yurinako

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