連載1回目は、良かれと始めた読み聞かせがいつのまにか苦行になり出し、自己嫌悪になっている34歳女性からのお悩み相談です。絵本編集者で「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」室長の筆者が考える解決方法と共に、早速ご紹介します。
目次
Q. 読み聞かせの時間をうまく作れません
自分自身も子どもと楽しい時間を過ごしたい、と思って読み聞かせを始めたはずなのに、
「今日もゆっくり読んであげられなかった」
「時間をうまく作れないのは私の要領が悪いせい?」
など、かえって悩みが増えてしまっています。(女性)
A. 読み聞かせには、楽して継続する3つのテクニックがあります
切実なお悩みを伝えていただき、ありがとうございます!
筆者も、現在7歳と5歳の男児の子育てをしているので、お気持ちはよく分かります。子育てをしていると毎日、本当に忙しいですよね。
読み聞かせができなくて、罪悪感を感じたときは…
「読み聞かせはいい」と効果がうたわれているだけあって、取り組まないとまた、罪悪感ももってしまいますよね。
ですが、読み聞かせは親子のコミュニケーションの時間なので、辛い気持ちになってしまうのであれば、無理して読み聞かせをしなくてよいと思います。まず、これは大前提で押さえておきましょう。
読み聞かせの時間も余裕もないときは…
ですが、今回のお悩みは「やってあげたいのに、できない」ことなんですよね。ポイントは、なんといっても「読み聞かせをする時間も余裕も足りない!」という点です。そこで、私が考える読み聞かせを楽して継続する3つのテクニックはこちら。
①忙しい時は、親はラクができ、子どもには効果絶大の絵本を選ぶ
②「読み聞かせ=夜」ではない! 読み聞かせのタイミングを考える
③「読み聞かせ」はなくたっていい!と時には発想の転換を
上記などを試してもらいながら、どうやって読み聞かせにアプローチすべきかをご一緒に考えていきましょう!
①親はラクができ、子どもには効果絶大の絵本はコレ!
今回のご相談には、「読み聞かせをやってあげたい」という強い思いがあります。
ということで、まずは文章量が短くてパパママの負担が少ない、かつお子さんの満足度の高い絵本を読み聞かせすることで、効果絶大を目指しましょう。
『ねこいる!』(作:たなか ひかる ポプラ社)
文章は「ねこいる!」ただそれだけ。そしていたるところから“ねこ”が現れるだけという、シンプルというのかシュールというのか、その訳の分からなさが子どもたちを爆笑させる絵本です。とんでもないところから“ねこ”が飛び出すだけ、ですが、ページをめくるたびに子どもたちがどんどん食いついていく、満足度のたかーい1冊です。
『おおごえずかん おおきなこえであいうえお』(作・絵 新井洋行 コクヨ)
こちらは、小さな子に「あいうえお」を教えながら、パパママのストレス発散にもなるというありがたい1冊です。
「あ」から「ん」まで、ひらがな51音の見開きがありますが、そのシチュエーションがすべて「叫び」なんです。「い」なら「いー!」とお姉ちゃんに文句を言っている絵、「ぬ」なら「ぬおー!」とお父さんが驚いている絵、などなど「あいうえお~」を叫ぶだけで読み聞かせができてしまいます。子どもと一緒に、一日の疲れを叫んでしめくくりましょう!
②「読み聞かせ=夜」じゃなくてもいい!では、いつ?
パパママにとって夜寝る前は、明日の準備ややり残した家事など、けっこう忙しい時間帯ではないでしょうか?
子どものほうも習い事で疲れていたりしますよね。そんな時には夜に読み聞かせをしなくてもよいと筆者は考えます。
朝や休日に変えると、一石二鳥
例えば、寝起きのよいお子さんの場合は、朝の読み聞かせもお互い気持ちもすっきりしていて意外とありです。
また、土日やお休みの日に、まとめて読んでも良いと思います。
休日に図書館や本屋さんに行って一緒に選ぶと、「この本を選んだ」と子どもの気持ちも高まって、読み聞かせの食いつきもよくなり一石二鳥になりますよ。
毎日、絵本に触れさせたいときは
ただ、「いつ読んでもよいけれど、一日にすこしは絵本に触れさせたい」というパパママには、一冊単位にこだわらず、一日一話や1ページくらいで、賞味5分程度の軽めな読み聞かせというのも、オススメです。
『おしゃべりさん』(さいとうしのぶ 作・絵 リーブル)
短いお話が1画面ずつに載っていて1話読んでおしまい、と手軽に読み聞かせができます。「トースト」「ごはんのつぶつぶ」など、身近なものがおしゃべりしていくので、読んだ後、それについて親子でもおしゃべりができ、コミュニケーションにもつながりますよ。
『さがしえ12つき』(なかざわくみこ 作・絵 白泉社)
1月から12月まで、それぞれの月の探し絵ができる絵本です。1月ならお正月にちなんだアイテムを絵の中から探したり、6月なら梅雨の時期のものを探したり、「今日は〇月をやろう」と決めて、あとは子どもに探すのをお任せしてしまえます。行事や季節の知識はいろいろなところで聞かれることがあるので、そうしたベースを培っておくうえでも効果のある一冊です。
③「読み聞かせ」なくたっていいじゃない!
そして、「読み聞かせ」となると、肩に力がはいりがちですが、「本と接する体験をさせてみよう!」という方向で考えてもよいのではないでしょうか?
そう考えると、親が読んであげなくても「一人で」読んでもらうのもありです。
お子さんが一人で読める、おすすめの絵本を紹介します。
『ころりん・ぱ!』(ひらぎみつえ ほるぷ出版)
指で絵本の中のしかけをころころ転がして楽しめ、自分で動かす楽しさがあるので、対象年齢は0.1.2歳とありますが、お座りできるくらいの年からだいぶ大きくなるまで一人であきずに楽しめる絵本です。この絵本は、「あかちゃんがよろこぶしかけえほん」というシリーズに入っており、このシリーズはどの作品も指先を使って楽しめ、発達にも効果大です。
また、もう少し大きい4歳以上の歳の子には、こんな絵本もおすすめです。
『時の迷路』(香川元太郎 PHP出版)
迷路はひたすら頭を使うので、一つクリアするだけでも満足度が高いですし、この香川さんのシリーズは、歴史や昆虫、お化けなど、いろいろな迷路があるので、お子さんの興味のあるジャンルからも選べますよ。脳を使うと子どもは眠くなるので、そういった点でもばっちりです!
忙しい時は、最小時間&満足度が高い、読み聞かせを
今回は、忙しいときに読み聞かせをする方法について、下記2つを押さえた絵本を紹介させていただきました。
・最小時間で!
・親子の満足度が高い!
パパママが辛く思わないために、読み聞かせのその先を見据えて、「どうやったら楽にできるかな?」をご一緒に考えていきましょう。
「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」の続きはこちら
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