「お父さんが私の部屋に来て、すっと20万円が入った封筒を渡してくれました」(あんり)
――「お笑い芸人になりたい」とご家族の方に伝えたときのエピソードを教えてください。
あんり:我が家はヤンキー一家ではあるんですが(笑)、とてもアットホームな家庭なんです。はるちゃんに「お笑い芸人になろう」と誘われたことは、自分の誕生日会で話そうと決めていました。ただ、その時20万円しか貯めていなくて、入学金の40万円まで半分足りない状況だったんです。でも、バイト代で入学しようと決めていたので、家族には「お笑い芸人になろうと思っているから、養成所には自分でお金を貯めて入ります」と伝えたんです。そしたら、お父さんの機嫌が悪くなってしまって…。お笑い芸人になるのは反対なのかな…と思っていたんです。
――お父さんなりの葛藤があったのでしょうか。
あんり:数日後に、お父さんが私の部屋に来て、すっと20万円が入った封筒を渡してくれたんですよ。
――なんと!
あんり:「成長する度に、パパがあんりのためにやれることがどんどん減っていくから、ここでは頼ってほしかった」って言われて。お父さんからもらった大切な20万円を合わせて、NSCに入学しました。お父さんはそれからずっと応援してくれます。
――素敵なご家族ですね。田辺さんはいかがでしたか?
田辺智加(以下田辺):入学金は祖父が出してくれました。私、お金をもらうのがとてもうまいみたいで。
一同:爆笑
――世の孫はその傾向にありますよね(笑)。
田辺:「お笑い芸人になりたい」と言ったら、おじいちゃんがすぐに「俺が入学金を出す!」と言ってくれたんです。NSCに入学すれば、すぐに売れると思っていたようです。
――おじいちゃんからいただいた40万円となると、それは頑張ろうって思いますよね。
田辺:そうなんです。でも、その後もおじいちゃんに「お願いごとがある」と言うと、「なんだ、お金か?」って言われるようになってしまって(笑)。たしかに当時はお金がなかったので、小さくうなずくと「頑張れよ」って言いながらお金をくれました。ちなみにうちのおじいちゃんは、今もすごく元気で、どうやら彼女が6人もいるようです。夜中に彼女から電話がかかってくると「今から行く!」って出かけてしまうくらい元気なんです。
――あはは。今の活躍も、すごく喜んでくれているんですね。
田辺:喜んでいますね。でも、自分よりも稼ぎが上になることが悔しいらしく、たまに怒ってます(笑)。
酒寄希望(以下酒寄):私、田辺さんのおじいさんのデート現場に、2回ほど遭遇したことがあるんですよ。2回とも、違う女性を連れていましたね。
はるか:人生をすごいエンジョイしてる!
「うちの父と、田辺さんのお母さんが毎回ライブのチケットを買ってくれて、隣同士で座って観てくれていました」(酒寄)
――あはは。酒寄さんはいかがでしたか?
酒寄:私は前職で心に大きなダメージを受けていたので、家族には「何か新しいことをしたいから」と、お笑い芸人になりたいという話をしました。すごく喜んでくれましたよ。
田辺:酒寄さんのお父さんは毎週ライブに来てくれたよね。
酒寄:そうそう。うちの父と、田辺さんのお母さんが毎回ライブのチケットを買ってくれて、隣同士で座って観てくれていたよね。
――これもまたいい話ですね。はるちゃんはいかがですか?
はるか:私は父子家庭で育ちました。父親は厳しくて頑固なタイプだったので、「お笑い芸人になりたい」と言ったら何か言われるんじゃないかと思い、正直ビビっていたんですよ。姉には伝えていたので、報告するときは協力してもらいました。
あんり:ナイスアシストだね。
はるか:うん。いい返事をもらえると思ってなかったんですが、「いいじゃないか」って言ってくれて驚きました。「俺は夢がなかったから(やりたいことがあることは)すごくいいことだ」と。さらに「やるからには結果を残せよ」と応援してくれるようになったんです。それから父娘の関係性もグッと良くなりました。今の夢を目指してよかったなと思っています。
お笑い芸人になるという夢に対して、ぼる塾のご家族のみなさん心から応援してくれていた様子。そのエピソードを聞きながら、スタッフたちは思わず涙…。愛情深い親御さんの応援があるからこそ、心温まる、ほっこりした笑いを届けてくれているのかもしれませんね。
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プロフィール
写真/五十嵐美弥 取材・文/吉田可奈