日本一広い平野はどこ? トップ3とあわせて 日本の地形の特徴もおさえよう【親子で学ぶ日本地理】

学校で習った記憶はあっても、日本一広い平野がどこにあるのか、思い出せない人もいるのではないでしょうか? トップ3の平野と、それぞれどのような特徴があるのかを紹介します。日本の地形の特徴についても確認し、地理についての知識を深めていきましょう。

広さが日本一の平野はどこ?

日本にある平野のうち、面積が広い順にトップ3まで挙げ、それぞれの主な特徴とともに紹介します。それぞれどの地域にあって、どのような特徴があるのかを子どもに説明できるようになりましょう。

1位「関東平野」

一都六県にまたがる関東平野。北は西から上毛三山・足尾山地・日光連山・高原山、那須岳、八溝山地・多賀山地に、西は箱根山・関東山地に囲まれ、東は鹿島灘・九十九里浜に、南は房総丘陵・三浦丘陵や東京湾・相模湾に囲まれている。写真は、上毛三山の一つ榛名山。

日本で最も広い平野は、約1万7,000平方kmの面積を持ち、国土の約5%を占める「関東平野」です。

関東平野は、海底や陸地の土砂がたまったり、火山の噴火物が積もったりを繰り返しながら、長い時間をかけて形成されてきました。

東京や横浜など人口が集中している都市が多く、都会的なイメージが強いですが、多種多様な野菜の生産も行われています。野菜畑の広さは、全国の野菜畑の約1/4を占めるほどです。

関東平野の野菜畑は、全国の約四分の一を占めている

都市部から近い場所での農業は「都市近郊農業」と呼ばれ、新鮮な野菜を都市部で暮らす人々にすばやく届けられるというメリットがあります。

2位「石狩平野」

2番目に広いのは北海道の石狩湾に面した「石狩平野」で、その面積は約4,000平方kmです。

北海道の開拓は、明治維新とほぼ同じタイミングの1869年に始まりました。初期に人々が入植した土地の一つが石狩平野です。

もともとは農業に向かない「泥炭地(でいたんち)」でしたが、他の土地から土を運び入れる「客土(きゃくど)」などの土地改良を重ね、米や野菜を育てられる農地に変えたのです。現在は北海道を代表する稲作地帯となっており、酪農も盛んに行われています。

3位「十勝平野」

3番目に広いのは、北海道にある約3,600平方kmの「十勝平野」です。

数万年前は、火山灰による砂漠となっていたと考えられている場所です。都会のように高い建物が少ないため、広大な平野を実感できます。

全国でも有数の畑作地帯で、涼しい気候での栽培に適した小麦・ジャガイモ・大豆・てんさいなどの生産が盛んです。安定した生産を継続するために、1年ごとに畑を変えて作物を育てる「輪作(りんさく)」が行われています。

サトウキビと並ぶ砂糖の主要原料となる「てんさい」の畑

日本一平野部が狭い地域は?

広い平野を予測できた人でも、狭い平野となると思いつかない人もいるのではないでしょうか?  そこで、平野部が最も狭い地域はどこなのかを紹介します。

可住地面積が一番少ないのは高知県

人が住める面積(可住地面積)が約16%と狭さ日本一の高知県

平野部を「可住地面積」と考えると、日本一平野部が狭い地域は高知県になります。

可住地面積とは、人が住める地域の面積のことです。総務省による2020年の統計によると、高知県の可住地面積の割合は、16.3%です。47都道府県の可住地面積の割合を全て足し、47で割って出した平均値が約37.3%であるため、かなり少ないことが分かるでしょう。

ちなみに、2番目に可住地面積が少ないのは18.9%の島根県で、3番目に少ないのは20.8%の岐阜県です。

参考:社会・人口統計体系(B 自然環境 Excel資料)|e-Stat

日本の地形の特徴は?

地形は、気候や産業など人々の暮らしに大きな影響を与えています。日本列島は、どのような地形的特徴があるのでしょうか?  主な特徴を紹介します。

山地が多く平地が少ない

日本の地形の大きな特徴は、山地が多く平地が少ないことです。国土の約70%が山地や丘陵地(きゅうりょうち)で、世界的に見ても山林に恵まれた国といえます。また、国土の約25%は標高が0~100mですが、同じく約25%が標高500m以上に位置しています。

これは、日本が「環太平洋造山帯(かんたいへいようぞうざんたい)」に位置しているためです。造山帯は山や山脈を作る活動が活発な場所のことで、険しい山脈や火山活動が見られるのが特徴です。

山が多い国だからこその農地ができる

日本は山地が多く平地が少ないため、農地を作るのが難しいという現状があります。実際に、農地は国土の約13.5%しかありません。

しかし、山地が多いという特殊な地形を生かした農地を作ることで、米作りなどの農業を発展させてきました。その一つが、山の斜面に作られた田んぼの「棚田(たなだ)」です。小さい規模のものは、古代からあったとされています。

山の斜面を活かした棚田風景。岐阜県恵那市の坂折の棚田。棚田百選にも選ばれている

棚田があることで、洪水などから平野部が守られているというメリットもあります。1999年には、農林水産省が棚田の保全のために、「日本の棚田百選」を認定しました。

列島を縦断するように山脈がある

日本では、本州を横断するように山脈が連なっています。日本海側と太平洋側で大きく気候が異なる要因の一つは、間にまたがった山脈なのです。

また、フォッサマグナを境に東側と西側で地形が異なるのも特徴です。フォッサマグナは日本列島の中央付近にある大きな溝で、日本列島がアジア大陸から分断されたときにできたとされています。

フォッサマグナを境に、東側には険しい山脈が多々あり、ふもとには平野が見られます。一方、西側には険しい山脈や広い平野が、ほとんどありません。

地理の勉強から日本の歴史を知る

日本一広い平野は、都市近郊農業が盛んな関東平野です。次いで広いのは、北海道開拓の歴史を持つ石狩平野や十勝平野になります。

日本の地形は山地が多く平地が少ないのが特徴で、棚田など地形に合った独自の農業スタイルが発展してきました。その他にも、どのような地形的特徴や歴史があるのか、それらがどのように私たちの暮らしに影響しているのかを子どもと一緒に調べてみるのもよいでしょう。

「関東平野」の特徴はこちらでご紹介

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構成・文/HugKum編集部

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