関東平野の特徴とは? 成り立ちや流れている川、産業などをチェック【親子で学ぶ社会科】

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「関東平野」は、日本の地理を学習するときに、必ず登場する地名です。首都圏に居住している人にとっては、仕事や暮らしに直接関係する場所でもあります。成り立ちや主な河川、産業などから、関東平野の特徴を再確認してみましょう。

関東平野の基礎知識

山地が多い日本の中で、関東平野の広さは突出しています。広大な平野は、どのように作られていったのでしょうか。面積や人口などの基礎知識もあわせて見ていきましょう。

関東平野の田園風景。写真中央奥に、日本百名山・筑波山(茨城県)が見える。日本百景でもある。

日本最大の平野

関東平野は、日本で最も広い平野です。面積は約1.7万平方kmで、日本の国土(約38万平方km)の4~5%を占めます。

日本の平野面積を合計すると約9万平方kmとなりますが、およそ19%が関東平野なのです。

関東平野の成り立ち

関東平野は、長い年月をかけ、周辺の火山活動と河川による陸地の浸食などの要因が重なって形成されました。今から10万年ほど前は、関東平野の大部分が浅い海や湿地帯でした。

このころは、富士山や浅間山、赤城山などの火山活動が活発だったので、噴き出した火山灰が、周囲に多く降り注ぎます。海といっても、波の穏やかな湾だったために、火山灰は外海に流れださずに、海底にどんどん積もっていきました。

また、周辺の山から川が流れでることで、陸地だった部分が削られ、多くの土砂が運ばれます。山との境目の陸地には、土砂や火山灰が堆積して台地が作られました。

やがて水が引き、海底に積もった火山灰や土砂が姿を現して、台地とつながり、広大な平野となったのです。

関東平野の人口

関東平野は、世界でも有数の「人口集中エリア」です。日本の総人口の1/3に相当する、約4000万人が暮らしています

昔から、平野部には人が集まりやすく、日本の大きな都市もほとんどが平野にあります。土地が平たんなために、交通網が発達しやすく、人や物資の往来が盛んになるのが、平野部に人口が集中する大きな理由です。日本最大の関東平野に日本の人口が集中しているのも、当然の結果といえるでしょう。

関東平野の地形

ひと口に平野といっても、土地には高低差があり、川の流れに沿って、風景も変化します。関東平野の地形を簡単に見ていきましょう。

低地と台地からなる

関東平野は、主に「低地」と「台地」で構成されています。

関東平野の北側と西側には山地があり、南側には海と半島があります。また、山から海へは、いくつもの川が流れ込んでおり、川の流れによって陸地は徐々に削られ、深い谷ができました。

谷で区切られた高台が台地です。標高は20~100m前後で、東京都と埼玉県にまたがる武蔵野(むさしの)台地、神奈川県の相模原(さがみはら)台地、千葉県の下総(しもうさ)台地などが知られています。

低地は、川が運んだ土砂や火山灰が、海底に堆積して陸になった部分です。東京都では、荒川区や墨田区などが該当します。また、台地と山地の間には、台地よりも一段高い「丘陵」があります。

関東平野を流れる川

関東平野には、たくさんの川が流れています。なかでも、代表的な川は「利根(とね)川」と「荒(あら)川」です。

利根川は、流域面積が日本最大であることと、信濃(しなの)川に次ぐ長さを誇ることで知られています。群馬県北端の山から出発し、関東平野の北部を横断して千葉県銚子(ちょうし)まで流れます。

利根川河口付近に架かる銚子大橋(千葉県銚子市と茨城県神栖市を結ぶ国道124号線)。利根川は、日本三大河川の一つ。「坂東太郎」の異名を持つ日本三大暴れ川の一つでもある。

 

江戸時代には、利根川を使った物資の輸送が盛んになり、多くの川港が栄えました。

荒川は、埼玉県と山梨県の境界を発端に、秩父・長瀞(ながとろ)を経由して、関東平野を南東方向に流れています。

他には山梨県から神奈川県に流れる「相模川」や、東京の西部を流れる「多摩川」が有名です。

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関東平野の特徴とは?

関東平野では、独特の地形・地質を生かして、さまざまな産業が発展しました。特徴的な産業と、関東平野ならではの地質について解説します。

工業や農業が盛ん

関東平野には、大きな工業地帯が三つあります。それぞれの名称と場所は、以下の通りです。

京浜工業地帯(東京都・神奈川県)
京葉工業地域(千葉県)
北関東工業地域(埼玉県・群馬県・栃木県・茨城県)

「京浜工業地帯」と「京葉工業地域」は、東京湾の埋め立て地に広がっています。

京浜工業地帯の工場夜景(神奈川県川崎市)。近年では、綺麗な工場の夜景を観るツアーなども企画されている。

 

京浜工業地帯では、印刷・鉄鋼・石油化学・自動車製造・造船工場が多いのが特徴です。京葉工業地域は化学工業が多く、北関東工業地域は自動車関連をはじめとする機械工業の割合が高くなっています。

また、関東平野の台地では、畑作も盛んです。土壌が畑作に適していることと、大都市に近いことから、鮮度が命の野菜や花などが、主に生産されています。特に群馬・千葉・茨城の各県は、野菜の生産量で、全国の上位にランクインしているほどです。

赤土で覆われている

関東平野の台地は、「関東ローム」と呼ばれる赤土で覆われています。

関東ロームは、堆積した火山灰が風化して粘土質になったもので、鉄分の酸化による赤褐色(せっかっしょく)の見た目が特徴です。

火山灰で作られた関東ロームは、土の養分が少なく、さらに台地では水を確保できないことから、稲作には向いていませんでした。

一方、粒子のすき間が大きく、水はけがよいため、畑作には適しています。関東平野の台地で野菜の栽培が盛んな理由は、関東ロームの特殊な地質にあるのです。

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多くの人が生活する関東平野

日本最大の面積を誇る関東平野には、多くの人々が暮らしています。国土の約70%を山地が占める日本において、関東平野は、人が住むのに適した貴重な場所といえるでしょう。

たくさんの人や物資が行き交う日本の中心・関東平野について学び、地理がその土地に及ぼす影響など、子どもにも正しい情報を伝えてあげましょう。

おすすめの参考文献

小学館 ドラえもんの社会科おもしろ攻略「都道府県がわかる」

この記事でとりあげた関東圏だけでなく、47都道府県の特色を「伝統・文化」、「自然」、「名産品」、「産業」、「人物」に分けて、わかりやすいイラストと解説で紹介していきます。
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