トルネードの発生場所とメカニズムは? 台風やサイクロンとの違いも解説

気象情報で「トルネード」と聞いたことはありませんか。気象現象の一つだとは分かっていても、具体的に説明しようとすると言葉に詰まってしまう人もいるでしょう。そこでトルネードの発生条件やメカニズム等について解説します。

トルネードとは

「トルネードってなに?」そう聞かれたら、どのように答えますか。

風が引き起こす現象というイメージが頭に浮かぶ人は多いものの、的確に理解できていない人もいるでしょう。まずは、その概要から見てみましょう。

大規模な竜巻のこと

「トルネード」を一言で訳すと、「北アメリカ大陸で発生する、とても大きな竜巻」となります。原語の英語を日本語読みしたもので、スペルは「Tornado」です。

同じく気象現象である「台風」と比べると、日本ではあまり馴染みがないようにも感じますが、北アメリカでは頻繁に発生し、大きな被害を引き起こすケースもあります。

「竜巻」自体は日本でも発生することがあります。竜巻とトルネードの成り立ちに、基本的な違いはありません。発達した「積乱雲(せきらんうん)」がもたらす強い上昇気流が生む激しい渦巻きでであることはどちらも同じです。

竜巻とトルネードの違いは、発生する場所です。日本のどこで発生しようとも竜巻と呼ぶのに対して、トルネードは「北米のロッキー山脈から東側で発生したもの」に限定されます。

参考:国土交通省 気象庁

類似する気象現象

「渦を巻いた空気が強い風を引き起こす」という点では「台風」「ハリケーン」「サイクロン」も、トルネードと共通しています。それぞれについて、詳しく見てみましょう。

「台風」

「東経180度より西側の北西太平洋および南シナ海で発生する、17m/s(メートル毎秒)以上の最大風速を記録する熱帯低気圧」です。トルネードの強風域が直径数十~数百mほどであるのに対し、「台風」では半径が数百kmにも及びます。

「ハリケーン(Hurricane)」

「北大西洋や北太平洋東部等で発生する、最大風速33m/s以上の熱帯低気圧」です。台風の最大風速17m/sと比べるととても強い勢力であることが分かります。

「サイクロン(Cyclone)」

「北インド洋で発生する最大風速17m以上の熱帯低気圧」です。ほぼ同じ勢力の台風が反時計回りである一方、南半球で発生するサイクロンは時計回りで渦を巻きます。

参考:国土交通省 気象庁|台風について

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トルネードが多発するアメリカ

トルネードの生まれやすい時期や発生件数、メカニズムについて掘り下げてみましょう。

発生件数や時期

アメリカにおけるトルネードの発生件数と時期について、「Fスケール」を参考に見てみましょう。

Fスケールとは、1971年にシカゴ大学の藤田哲也博士によって考案された、風速を推定するための指標です。

2004~06年の統計から読み取れる数としては、アメリカでは年間に、平均して約1300個ものトルネードが発生しています。

1年を通じて、どの月にもトルネードは発生しますが、特に多い時期としては5~6月です。

出典:気象庁|アメリカで発生するトルネードとの違い

発生のメカニズム

地表付近の空気が温まると、水蒸気となり上昇し、雲になります。雲を形成する際に勢いがあると、上昇気流に乗って、時には成層圏にまで届く巨大な雲である積乱雲として発達することがあるのです。

巨大な積乱雲には空気を回転させながら吸い上げる強い力がありますが、雲の下部から「漏斗雲(ろうとうん)」というラッパ状の雲が、地上に向かって生まれる場合があります。

この漏斗雲が持つ力は極めて強く、次々と吸い上げる空気の勢いが増していき、より回転速度が上がることで、さらに強力な空気の渦ができ上ります。その結果、トルネードや竜巻が生まれるのです。

日本でも竜巻は発生している

日本では、台風などと比べると、竜巻による被害はあまり聞きません。しかし、国内でも竜巻は頻繁に発生しています。

発生件数や時期

前出のFスケールを参考にすると、2007~13年のデータから見て、日本では年平均25個の竜巻が発生しています。竜巻は平野部で生まれやすいことから、そのほとんどが海岸線沿いに集中しているのです。

時期としては、低気圧が発達しやすい9~10月が多くなっています。

参考:国土交通省 気象庁「年別の発生確認数」

発生のメカニズム

竜巻が発生する一般的な条件として、中緯度の平地が生まれやすい傾向にあります。かつ、積乱雲が形成されやすい夏季の日中が竜巻を引き起こしやすい気候です。

その条件と過去の発生状況からすると、地域としては、東北や北陸地方の日本海側沿岸や関東平野、東海地方の沿岸部などが該当します。

また、九州や四国の南部沿岸、南西諸島にも数多く発生しており、海に近い平野部での発生が目立っています。

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身を守る方法を学ぼう

大きな災害にもつながる竜巻やトルネードからの被災は、できるだけ防ぎたいものです。身を守る方法について学んでおきましょう。

トルネードの見分け方

トルネード・竜巻をいち早く発見し、適切な対応をするために、見分け方を色、音、雲の三つの視点で解説しましょう。

トルネードを生む雲の色は、黒くなっている傾向があります。黒い雲が日光を遮り、周囲が暗くなるケースが多いのです。

列車が通過する時のような激しい音も特徴です。地上の建物や木々等に強烈な風が勢いよく衝突することで、普段は耳にしない轟音が鳴ります。

雲の下部から、ホースのような細い管状の雲が伸びている点にも注目です。これは「漏斗(ろうと)」に似た形をしていることから漏斗雲と呼ばれ、トルネードが発生している可能性があります。

身を守る方法

できるだけ丈夫な建物に避難しましょう。2階建て以上であれば、屋根が吹き飛ばされない下階がより安全です。ガラス窓のそばには寄らずに、飛散物のない広い空間で身を低くしてじっとしています。

屋外であれば、倒壊しそうな建物の近くには行かず、広い場所で、低く身をかがめて過ぎ去るのを待ちましょう。その際に、完全にうつ伏せになったり正座のようにしてうずくまったりせずに、足首を立てておきます。

なぜなら、もしも体が何かの下敷きになった時に、足首を立てておくことで、脱出の際に力を入れやすくなるからです。

参考:気象庁|急な大雨や雷・竜巻から身を守るために

大きな被害をもたらすトルネード

北アメリカで毎年数多く発生するトルネードは、とても強い勢力によって、大きな被害をもたらす自然現象です。

日本では、暴風をともなう気象現象としては台風がよく知られています。しかし、アメリカと比べて発生件数こそ少ないものの、面積比からすると日本も竜巻が起こりやすい地域だともいえるのです。

備えあれば憂いなしの言葉を胸に、トルネード・竜巻に関する知識や避難方法を身に付け、いざというときに備えておきましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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