急に空が真っ暗になり、大粒の雨が激しく振りだす……。これからの季節、「ゲリラ豪雨」と呼ばれる局地的な大雨が頻繁に降るようになります。しかし、このような大雨は空をよく観察し、天気予報を上手に活用すれば、ある程度避けることもできるのです。そのコツとは何なのでしょうか。気象予報士が教えます!
突然の大雨、その犯人は積乱雲
夏に頻繁に発生する局地的な大雨。昔は「夕立」と呼ばれてきましたが、近年では雨の激しさに拍車がかかり、俗に「ゲリラ豪雨」とも呼ばれるようになりました(ちなみに、「ゲリラ豪雨は気象庁の正式名称でありません。正式には「局地的大雨」といいます。
このような大雨をもたらす犯人は、積乱雲(いわゆる雷雲)です。夏にはモクモクとソフトクリームのような形をした入道雲がたくさん見られますが、あの雲がさらに発達すると積乱雲となって大雨をもたらすのです。さらに、積乱雲は大雨だけでなく、雷や竜巻などの突風、ひょうをもたらすこともあります。
積乱雲の水平の直径はだいたい数km~十数kmです。ですから、大雨の降る範囲はとても狭いです。さっきまではカンカン照りだったのに、空があっという間に暗くなったかと思うといきなり大雨が降りだす、というのが積乱雲のもたらす雨の特徴です。そして、このような範囲の狭い気象現象は、寿命が短いという性質もあります。積乱雲の寿命はだいたい1時間程度ですので、大雨が降ったかと思うとすぐに上がってしまいます(ただし、積乱雲が次から次へと同じ場所で発生して、大雨が長時間続く「集中豪雨」という現象もあります)。
大雨を避けるための天気予報活用術
積乱雲のように範囲が狭く寿命の短い気象現象は、予報をするのが難しいです。確かに、「3日後の15時半から1時間程度、〇〇県〇〇町で大雨が降ります」というピンポイントな予報を聞いたことはありませんよね。
しかし、ある程度の知識があれば、急な大雨はある程度避けることができます。
まず、朝のニュースで「大気の状態が不安定になります」というワードを聞いたら、「今日は大雨が降るかもしれない」と覚悟して、傘を持って出かけたほうがよいでしょう。「大気の状態が不安定になります」というフレーズは、「今日は積乱雲が発生しやすいですよ」という意味だからです。
そして、近くに積乱雲が近づいてきたら、こんな兆しが現れます。
・真っ黒い雲が近づいてきた
・空が急に暗くなった
・雷の音が聞こえてくる
・ヒンヤリとした風が吹いてくる
このような兆しが現れたら、気象庁ホームページの「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」をチェックしてみましょう。
大雨が降っているところは赤や黄色で表示されます。5分毎の60分先までの予報も表示されるので、今後自分のいる場所で雨が降るのかどうか、今まさに雨が降っているのなら自分の頭上にある雨雲は何分後に去っていくのかがわかります。
(出典)気象庁HP
子どもを幼稚園や保育園、習い事に送迎するときに大雨に遭遇すると、自転車をこぐのは危険ですし、服や荷物は濡れるし、子どもが風邪を引くかもしれないしで、心が折れますよね。
ですから、なるべく雨の降らない時間を狙って送迎したり、雨が止むまで雨宿りしたりしたいもの。できれば交通手段は自転車ではなく徒歩やバス、タクシー、自家用車などにするかどうかも事前に検討できるとベストですよね。
そんなとき、この「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」は役立ちます。ぜひ、スマートフォンのインターネットアプリの「お気に入り」に入れておいてください。
また、天気予報アプリのなかにはこの高解像度降水ナウキャストのデータが見られるものもあります。「高解像度降水ナウキャスト」という単語でアプリ検索をし、ヒットしたアプリをダウンロードしてみるのもおすすめです。アプリ内では「雨レーダー」などの名前で表示されることが多いです。
高解像度降水ナウキャスト雨アラーム
Yahoo!天気
雨雲レーダー
天気予報を上手に使えば、雨でずぶ濡れの事態はある程度免れることができます。これからの天気が読めない季節に、ぜひ覚えておきたいライフハックです。
記事執筆
兵庫県出身。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダ