太巻き祭り寿司とは
千葉県の郷土料理
九十九里平野南部を中心として、千葉県全域で作られる郷土料理が「太巻き祭り寿司」です。呼び名は色々あり、「房総巻き」「飾り巻き寿司」「祭り寿司」などで呼ばれます。
特徴は切り口の模様
酢飯と具材を海苔で巻いた寿司ですが、特徴は金太郎飴のように、切った断面が鮮やかなこと。時には文字が書いてあることも。お花柄が多く、椿、あやめ、チューリップは定番です。パンダなどの動物や、簡単なキャラクターなら再現することもあるんですよ。
歴史
歴史は寛政年間(1789〜1801年)頃まで遡ります。この地方は古くから稲作と漁業が盛んだったことから発展し、人が集まる際のご馳走や、豪華なお弁当として巻き寿司が用いられました。晴れやかな場面ですから、今でいうパーティー料理ですね。
当時は貴重品の砂糖がふんだんに使われましたが、これは酢飯が固くなることを防ぎ、日持ちを長くする作用がありました。このことから、イベントの前日に準備しておけば料理に追われず、皆が参加できるメリットにもつながったそうです。
具材
古い歴史があるため、具材は時代によって変遷があります。地域によって手に入れやすい素材もあり、バリエーションは豊かです。
具材
酢飯以外の具材には、薄焼き卵、桜でんぶ、高菜の他、きゅうり、かんぴょうなどが一般的です。
外側は黒い海苔で包む他、華やかな薄焼き卵で巻く場合もあります。
色の再現
・赤
カニカマ
紅しょうが
にんじん
山ごぼうのみそ漬け
・ピンク
でんぶ
赤しそ
かまぼこ
粉末状のすし酢
刻んだ紅生姜を混ぜた酢飯
鮭フレークを混ぜた酢飯
・茶
奈良漬け
みそ漬け
しいたけ
きゃらぶき
肉類(しぐれ煮など)
・黃
卵
たくあん
菊の花
チーズ
・緑
青菜類
漬け物
青しそ
きゅうり
青のりを混ぜた酢飯
・青
ブルーハワイリキュールを加えて炊いたご飯
作り方
太巻き祭り寿司は、十分な素材を準備することが肝心です。ここでは酢飯、薄焼き卵を用意する方法、そして巻いて仕上げる工程を詳しくみていきます。
酢飯の準備
酢飯の用意の仕方を確認します。
・酢飯の材料
【ご飯】
ご飯 1升
水 米と同量
酒 大さじ4
だし昆布 5㎝
【合わせ酢】
酢 1.5カップ
砂糖 1カップ
塩 大さじ2
・酢飯の作り方
【1】お米を洗い、1時間ほど水を切ります。
【2】洗ったお米に水、酒、だし昆布を加えて炊きます。途中、沸騰したらだし昆布を取り出してください。
【3】炊きあがったら、10分程度蒸らします。
【4】鍋に酢、砂糖、塩を入れ火にかけます。沸騰しないように気をつけながら、煮溶かしてください。
【5】炊きあがったご飯を飯台に移し、【4】の合わせ酢をかけます。濡れ布巾をかけて5分ほどおき、味をなじませます。
【6】切るようにして混ぜながら、冷ましてください。
薄焼き卵の準備
薄焼き卵の焼き方を確認します。
・薄焼き卵の材料
卵 3個
砂糖 大さじ2
出汁 大さじ1
塩 小さじ1/4
片栗粉 小さじ1/2
酒 大さじ1
・薄焼き卵の作り方
【1】すべての材料を混ぜ、濾しておきます。
【2】卵焼き器を温め、油(分量外)を広げ、【1】の卵液を流し入れます。表面が乾いたら裏返します。
パンダ太巻きを作る
具材は手に入りやすいものを用意して、楽しく巻きましょう。特に決まりはありません。凝った図柄を作り上げるには慣れが必要ですから、最初は具材の種類が少なく、簡単なパンダはいかがでしょう。
・材料
(1本分)
酢飯 500g
海苔の佃煮(ごはんですよ) 小さじ2
板海苔 4枚
ゆでたえんどう豆 12~16粒(グリーンピースや、枝豆で代用できます。)
巻き簾があると、きれいに巻けます。
・作り方
【1】酢飯を作り、500gのうち、200gには海苔の佃煮を混ぜて、黒酢飯にします。残り300gは白のままです。
【2】板海苔4枚のうち、1枚はそのまま。2枚目は、半分にカット。そのうち片方はさらに半分にカットしてください。
これは、外側に巻く海苔と、耳になります。
【3】3枚目は、半分にカットします。これが目になります。4枚目は1/3にカットします。
鼻と口になります。
【4】巻き簾の上に3枚目にカットした、目になる海苔を1枚敷いて、黒酢飯を広げます。きれいな楕円になるように、巻いてください。
【5】【4】の要領で黒酢飯を使い、目を2本、耳を2本、鼻を1本、作ります。
さらに、白酢飯で口用を2本作ります。この細巻きは、海苔を閉じずに半円のままで開けてください。
【6】いよいよパンダの顔に仕上げます。長い海苔が必要なので、くっつけて用意します。1枚目のカットしていない板海苔と、2枚目にカットした残りの海苔をつなげます。
ご飯粒を並べ、海苔を重ねて上から押さえると、ご飯粒が接着剤の役割をしてくっつきます。
このつなげた海苔に白酢飯を敷いてください。
【7】逆さ向けになりますが、下から酢飯、目、鼻、口になるように細巻きを重ねていきます。ポイントは、タレ目、下膨れの頬になるように、形を整えることです。
巻き簾で巻いて、いよいよカットです。
【8】耳用の細巻きを4つずつにカットして、頭にくっつけます。目を飾って、出来上がりです。
便利なグッズをお取り寄せ
千葉県を訪れた際は、「道の駅」や、体験ワークショップを探してみると楽しめますよ。
お家で作ってみたい! という場合に役立つ商品を御覧ください。
ミツカン 花おすしの素 38g×10袋
混ぜるだけでかわいい酢飯が作れるお役立ち調味料です。巻き寿司だけでなく、ばら寿司などが手軽に作れます。
巻き寿司セット すしらんど
意外に難しいのが、巻き簾で巻く工程。エンボス加工のツールがあると、お米がくっつかず、思ったとおりの形に巻けます。
作れる! 飾り巻き寿司 おもてなし寿司
飾り巻き寿司をもっと作りたい! と思った方はこちらをどうぞ。多くのアイデア、テクニックを手に入れて、さらなる高みを目指しましょう。
元祖キャラ弁の太巻き祭り寿司をぜひ楽しんで
イラストのように華やかな太巻き祭り寿司。地域の住民が集まって、イベントごとに作るのは楽しい行事だったことでしょう。現代のキャラ弁のはしりともいえるこの巻き寿司は、作るのもドキドキ、見るのもワクワク。食べるのはもったいなくて、躊躇してしまうかわいさでした。
あなたにはこちらもおすすめ
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)