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なぜ揚げ玉が入ったそばを「たぬきそば」って言うの?
サクサクの揚げ玉がたっぷり入った定番、たぬきそば。
インスタント食品の「緑のたぬき」は、40年以上愛され続けているロングセラー商品です。
さて、なぜ「たぬき」という名称になったかというと、天ぷらの具材となる「種」が入っていないことから、「種ぬき」が転じて「たぬき」になったとか、天ぷらは昔、ごま油で揚げていたため、「きつね」よりも色が濃いので「たぬき」をイメージした、など諸説あるそうです。
しかし、この「たぬき」。大阪、京都では具材が変わります!
辞書で「たぬきそば」を調べると……
ではまず、国語辞典『大辞泉』で「たぬきそば」について調べてみると、
たぬき‐そば
刻みねぎと揚げ玉をのせたかけそば。
[補説]地域によっては、油揚げをのせたものや、あんかけにしたものなどを指していう。
この[補説]に注目! じつはこちらに大阪と京都のたぬきについて言及されています。
大阪の「たぬきそば」は「きつね」に化ける
まずは大阪で「たぬき」を頼むと、甘く煮たお揚げののったそば、関東で言う「きつねそば」が出てきます。
大阪は「きつねうどん」発祥の地。ジュワッとしたお揚げが美味しいこのうどんは、まさに大阪のソウルフード。なぜ、きつねそばが「たぬき」になったのかというと、「きつね」がそばに化けたからなど、諸説あるとか。
大阪に「たぬきそば」がないワケ
また大阪では「揚げ玉」を「天かす」と呼ぶのが定番。「天かす」、つまり天ぷらを揚げたときに出る「かす」なので、立ち食いそば屋では、薬味ととともに無料でサービスされているところが多く、揚げ玉ののった「たぬきそば」はメニューにないのです。
京都の「たぬき」は「あんかけうどん」のこと
さて、大阪のお隣、京都で「たぬき」といえば、刻んだお揚げと九条ネギがのった、あんかけうどん。
そこにおろし生姜をたっぷり入れていただきます。底冷え厳しい京都の冬のごちそうといえば鍋焼きうどんですが、お財布にもやさしいこのうどん、とても人気があります。
そう!京都には基本的に「たぬきそば」は存在しないのです。
そもそも、京都のきつねうどんは、甘くて四角いお揚げがのったものではなく、味付けなしの短冊切りのお揚げに、九条ネギなどの青ネギが入ったもの。舞妓さんなどが口を開けずに食べられるようにこのスタイルになったとか。これにあんをかけたものが、たぬき。きつねがどろんとしたあんで化けたからなど、こちらも名前の由来は諸説あるそうです。
大阪には「たぬきうどん」はない?
では、うどん圏大阪には、揚げ玉ののったうどんはないのか? じつはこのうどん、「ハイカラうどん」と呼ばれていて、なんと大正時代からあるそうです(京風丼チェーン店「なか卯」のメニューにも揚げ玉ののった「ハイカラうどん」があります)。
辞書(「大辞泉」)で調べると、
ハイカラ‐うどん
関西地方で、たぬきうどんのこと。
という項目が立っていました。
ところ変われば「たぬき」も変わるのです!
構成/tsurumaki