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『美女と野獣』とは?
『美女と野獣』は映画でよく知られていますが、原作はもともとフランスで生まれました。どんな風にだれが作ったものなのでしょうか?
フランス人作家の作品
『美女と野獣』を書いたのは、フランス人のガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)という人物。最初に1740年に作られました。
しかし、これをもとにジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン(ボーモン夫人)が1756年に短縮して出版しました。現在、世界中によく知られている『美女と野獣』の物語は、ボーモン夫人版のほうです。
国: フランス
現代:La Belle et la Bête(仏語)
発表年:1756年(1740年)
ヴィルヌーヴ夫人・ボーモン夫人ってどんな人?
最初に『美女と野獣』を作ったガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)は、パリに生まれたフランス人小説家です。
また、現在の『美女と野獣』の形に再編したジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン(ボーモン夫人)も、フランス人作家です。
いつの時代の話?
最初にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴが書いた『美女と野獣』は200ページ近い長さがある大人向けの物語でした。これをボーモン夫人が大幅に短縮して再編し1756年に発行。それまで無名だった『美女と野獣』が、一躍ヒット作品となり人気になりました。
物語の舞台となったのは、18世紀中ごろのフランス。当時の女性や人々が中心となって描かれています。
物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介
『美女と野獣』の作品はどんなあらすじなのか、ここであらためて振り返ってみましょう。詳しいあらすじを紹介するバージョンと、簡単に紹介するバージョンの2つでご紹介します。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
フランスの美しい女性ベルは、父親と3人の兄、2人の姉とともに暮らしていました。商人だった父親のおかげで裕福に暮らしていた一家ですが、あるとき父親が商売に失敗してしまうのです。貧しい暮らしとなった家族ですが、姉2人はあいかわらず贅沢なものばかりを求めるのに対し、ベルはつつましく生活を送っていました。
あるとき、港町まで出かけることになった父親。豪華な品物ばかり買ってきてと頼む姉たちとは対照的に、ベルは「バラの花が一輪欲しい」と答えます。そして港町に向けて父親は出かけたのですが、結局品物を受け取るどころか無一文になってしまうことに。失意のなかにある父親は森の中で道に迷い、知らない屋敷に迷い込んでしまいました。
そこで、食事や寝床まで用意されるのです。しかし、ベルの「バラが欲しい」という言葉を思い出した父親は、屋敷の中に咲いていたバラの花を摘み取ってしまいます。すると、恐ろしい顔をした野獣が姿を現し、父親に対して激怒。娘のためにバラを取ったという父親は、「娘を連れてこい」という条件を出されてしまいました。
家に戻った父親は子どもたちにこのいきさつを説明し、ベルは父親のために自分が屋敷に行くと決意するのです。屋敷での生活が始まりましたが、野獣はベルのもとを毎日訪れ、屋敷での暮らしに不安を感じていたベルは、少しずつ野獣の心の優しさに気づいていくのでした。
ただ、あるとき父親が病気になったことを知り、ベルは野獣に1週間だけ家に戻りたいと懇願。野獣は仕方なくそれを承諾するのです。実家に戻ったベルを見て、2人の姉は美しくなったベルに嫉妬し、あえてベルに優しくして滞在を約束の1週間以上に伸ばそうとします。ベルはそのまま実家での滞在を伸ばしてしまうのですが、ある夜、野獣が死にかかっている夢を見えて、あわてて屋敷に戻ります。
野獣への愛情に気づいたベルは、野獣に生涯の愛を誓います。そして明るくなった屋敷では、醜い野獣ではなく、美しい王子が姿を現し、2人は幸せに暮らすことになったのです。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
美しく心優しいベルは、つつましい暮らしを送っていました。しかし商人だった父親の仕事が失敗し、裕福だった生活から一変し、貧しい暮らしになってしまうのです。あるとき、父親が港町に出かけることになり、父親はベルに欲しいものがないか聞きました。豪華な品物ばかりねだる姉とは対照的に、ベルは「バラの花が1輪欲しい」と言うのです。
しかし、実際に港町に出かけた父を待っていたのは、仕事の失敗でした。無一文になった父親は、帰りに森で道に迷い、ある屋敷に迷い込みます。そこでベルから頼まれたバラのことを思い出した父親がバラの花を摘んでいると、すさまじい顔をした野獣が姿を現すのです。怒った野獣が父親に求めたのは、「娘を連れてこい」という条件。ベルはその話を聞き、一人で屋敷に行くことを決意するのです。
『美女と野獣』の主な登場人物
『美女と野獣』の原作について、主な登場人物を確認しましょう。
ベル
『美女と野獣』の主人公。ベルはフランス語で「美しい」という意味で、美しい女性です。父親は商人で、3人の兄と2人の兄とともに一緒に暮らしていました。
野獣
物語の鍵となるもう一人の人物が、野獣です。もともとお城に暮らす王子様でしたが、わがままし放題だったことから、ある魔女によって、醜い顔の野獣に姿を変えられてしまっていました。
ベルの父
ベルの父は商人として働きながら、子どもたちに愛情を注いでいました。しかし商いがうまくいかず、途中で破産することになってしまうのです。
『美女と野獣』が読み継がれている理由
200年以上も前の『美女と野獣』が、今なお読み継がれているのはなぜなのでしょうか?
定番のラブストーリー
王子が魔女によって野獣に姿を変えられてしまったことなど、おとぎ話のような設定ではありますが、ベースにあるのは、美女と王子のシンプルなラブストーリー。見た目ではなく心の優しさに触れ合う美女と野獣の心の動きが美しく、永遠のラブストーリーとも言われるのはそんな理由があるからでしょう。
ディズニーアニメで有名
『美女と野獣』を有名にしたのは、ディズニーの存在も欠かせません。ディズニーのアニメ映画は世界中で愛され、いまなお名作として、子どもから大人までファンが多い作品になっています。また『美女と野獣』は、ディズニー以外でも、アニメ化、実写化などもされています。
強い心を持ったヒロイン・ベル
シンデレラや白雪姫など、これまでの物語に出てくる女性は、どちらかというと受け身で生きてきた人ばかりでした。それに対して、『美女と野獣』のヒロイン、ベルは、勇気をもって一人で屋敷に行くなど、自分で考えて行動できる強さがあります。それに、野獣の本当の心の優しさに気づけるように、人を見た目で判断しない姿勢もあります。そんなヒロイン像も、人々が共感して好きになる理由のひとつではないでしょうか。
名作『美女と野獣』を読むなら
『美女と野獣』をあらためて読んでみませんか?
『美女と野獣』
ボーモン夫人が再編した『美女と野獣』です。現代でよく知られている『美女と野獣』のストーリーをあらためて読むことができます。
『美女と野獣』(ディズニー・プレミアム・コレクション)
定番の絵本『美女と野獣』。ディズニーによる絵本スタイルの一冊です。『美女と野獣』を最初に読む小さな子どもにピッタリ。
えいごでよむディズニーえほん『美女と野獣』
子どもたちにもおなじみの『美女と野獣』を英語で書いた絵本です。アルファベットは大きく読みやすく、シンプルな文章で書かれているので、子どもでも理解しやすく、物語に引き込まれながら英語の学習にも役立てられます。
『美女と野獣』の原作を読んでみよう
映画化や実写化されたことで、いまの時代もなお読み続けられている『美女と野獣』。映画やアニメでしか見たことがないという方も多いかもしれません。映画やアニメなどでは、それぞれ物語の設定や展開も異なることもあります。一度は原作を読んでみてもいいかもしれませんね。
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文・構成/HugKum編集部