あらすじの説明が意外に難しい『不思議の国のアリス』。多彩なキャラクターや続編を3分で整理

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『不思議の国のアリス』は、だれもがその名を知る児童文学です。しかし、どんなお話なのか説明できる人は少ないかもしれません。そこでこの記事では、作品の情報や作者について、あらすじなどを紹介します。

不思議の国のアリスとは?

まずは『不思議の国のアリス』の作者や物語の背景をおさえておきましょう。

イギリスのルイス・キャロルの作品

『不思議の国のアリス』は、1865年にイギリスで発表された児童小説です。作者のルイス・キャロルは大学の数学の先生で、学寮長の三姉妹にせがまれて、その場で物語を語ります。その物語を気に入った三姉妹の次女・アリスが、本に書いてほしいと先生におねだりしたことから、この物語は誕生しました。

最初は、『地下の国のアリス』というタイトルで、一年半ほどかけてキャロル自身が挿絵まで書いた手書きの本を作り、アリスにプレゼントしました。その後、物語を書き直し、挿絵をジョン・テニエルという優秀な挿絵画家に描いてもらって、『不思議の国のアリス』として発表されました。

原題:Alice in Wonderland
国: イギリス
発表年:1865年
おすすめの年齢:小学校中学年以上

ルイス・キャロルってどんな人?

ルイス・キャロルは、1832年イギリス生まれの童話作家です。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドッドソンといいます。11人兄弟の長男で、小さい頃には家族で読む雑誌を作り、弟妹を楽しませていました。

のちにオックスフォード大学を優秀な成績で卒業し、卒業後はオックスフォード大学の数学先生に。大学の学寮長の三姉妹と遊んでいたときに即興で『地下の国のアリス』をつくります。

1865年にルイス・キャロルという名前で『不思議の国のアリス』を発表すると、本が高く評価され、1871年には続編となる『鏡の国のアリス』を出版しました。

いつの時代の話?

『不思議の国のアリス』が出版された1865年は、イギリスのヴィクトリア女王時代です。このころのロンドンでは、近代化が進んでいくといった時代でした。

ちなみに日本では、江戸時代後期にあたります。

物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介

では、『不思議の国のアリス』はどのような物語なのでしょうか。ここからは「詳しく」&お子さんへの説明に便利な「簡単に」の2種類のあらすじにまとめました。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

ある日の午後、川べりで退屈していたアリスは、ベストを着た白ウサギを見かけます。その白ウサギを追いかけ穴へ飛び込むと、不思議の国に迷い込みます。不思議の国では、アリスが飲み食いすたびに、体が大きくなったり、小さくなったりします。

お茶会では、帽子屋が時間を怒らせたせいで、時計がお茶の時間の6時をさしたままになり、永遠とお茶会が続きます。アリスはお茶会に参加するも、帽子屋もネムリネズミもむちゃくちゃな話をするばかりでいやになります。

お城の庭に行ったアリスはハートの王さまと女王に出会う。無礼な口をきいたことからハートの女王を怒らせてしまったアリス。王さまのとりなしで女王さまとへんてこなクロッケーをすることになります。

やがて、ハートの女王が作ったタルトを、ハートのジャックが盗んだという裁判がはじまります。一人目の証人は帽子屋。次の証人は公爵夫人のところで働いている女の料理番。そして、最後に呼ばれた証人はアリス。アリスはまたもや女王を怒らせてしまい「この者の首をはねよ!」と処刑されそうになります。そのことにアリスは頭にきて暴れます。

ハッと気がつくと、アリスはへんてこな夢から目を覚ましたのでした。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

ある日の午後、川べりで退屈していたアリスは、ベストを着た白ウサギを見かけます。その白ウサギを追いかけ穴へ飛び込むと、ついた先にはおかしな者が住んでいる不思議の国があり…。

不思議の国のアリスの主な登場人物

ここからは、『不思議の国のアリス』に登場する主なキャラクターを紹介します。

アリス

主人公の少女。ベストを着た白ウサギを追いかけて、不思議の国に迷い込む。

白ウサギ

ベストを着て懐中時計を持っている白いウサギ。いつも急いでいる。

芋虫

水キセルをふかしている青い芋虫。アリスにキノコを食べると大きさが変わることを教える。

公爵夫人

とがったあごをしている婦人。赤ん坊をあやしていたが、女王さまのクロッケーに行くためにアリスに赤ん坊を押し付ける。

チェシャ猫

公爵夫人の飼い猫。いつもニヤニヤ笑っている。

帽子屋

三月ウサギ、ネムリネズミとともにお茶会を開いている。裁判では最初の証人として呼び出される。

ハートのジャック

ハートの女王の付き人。タルトを盗んだ疑いで裁判にかけられる。

ハートの女王

怒りっぽい性格で、不快なことがあったり、癪に障るとすぐに「首をはねろ!」というのが口癖。フラミンゴとハリネズミを使ったクロッケー大会を開催する。

ハートの王様

ハートの女王に頭が上がらない。

不思議の国のアリスが読み継がれている理由

セントラルパーク(アメリカ・ニューヨーク)にあるAlice in Wonderlandの銅像

『不思議の国のアリス』が読み継がれている理由や、その世界観に引き込まれるわけを解説していきます。

世界中で読まれている、発行部数1億部のベストセラー

『不思議の国のアリス』は、世界の170もの言語で翻訳され、発行部数は1億部を超えているといわれています。その数からもわかるとおり、世界中の人に愛されている作品です。

へんてこで個性的なキャラクターがいっぱい

『不思議の国のアリス』には、ウサギや猫、鳥、イモムシ、トランプなど、言葉をしゃべる動物や物がたくさん出てきます。それらのキャラクターはいずれもちょっと癖が強く、個性的です。

ちなみにマザーグースのキャラクターとしても有名なハンプティ・ダンプティは、続編『鏡の国のアリス』に出てきます。

ハンプティ・ダンプティ

不思議なできごとがおもしろい

作中で、アリスが食べ物や飲み物を口にすると、大きくなったり、小さく縮んだりします。また、アリスが公爵夫人の赤ん坊を抱っこすると、赤ん坊がブタに変身したり、ハートの女王が開催するクロッケー大会の「クロッケー」は、ハリネズミをボールにしてフラミンゴで打つという競技だったり…。

そのような現実にはない奇想天外なできごとに、この作品の魅力があります。

言葉遊びが散りばめられている

言葉遊びがちりばめられているのも特徴のひとつ。たとえば「チェシャー猫がねころんだ」といった具合のダジャレ・掛詞が、原作は英語で散りばめられています。原作で読むと英語圏の言葉遊びの面白さに出会えるかもしれません。

名作「不思議の国のアリス」を読むなら

ここからは、『不思議の国のアリス』のおすすめの本を3冊ご紹介します。本作に興味を持ったらぜひ手に取ってみてくださいね。

ふしぎの国のアリス ディズニーゴールド絵本ベスト

ディズニーのアニメーション映画にもなった『不思議の国のアリス』の絵本版です。絵本なので、はじめてお話にふれるお子さんや読み聞かせにもぴったり。

ふしぎの国のアリス (福音館古典童話シリーズ)

1865年にイギリスで発表されたときのジョン・テニエルの挿絵が散りばめられている『ふしぎの国のアリス』です。挿絵を楽しみながら、物語に入り込めます。

小学館世界J文学館

この1冊で125冊の電子書籍を読める新時代の児童文学全集。『ふしぎの国のアリス』はもちろん、その他の世界名作、現代児童文学、日本やアジアの古典、SF、詩まで、125作品を電子書籍で読むことができるのが特徴です。紙の本は、1作品を見開きで紹介する名作図鑑となっています。

続編は『鏡の国のアリス』

『不思議の国のアリス』には、その5年後に刊行された続編があります。それが1871年に発表された『鏡の国のアリス』。

前作の「不思議の国」から半年後の雪の日。子ネコのキティといっしょに、鏡の中の空想を楽しんでいたアリスは、そのまま本当に鏡をくぐり抜けてあちらの世界に行ってしまいます。そこは、卵のおばけハンプティ・ダンプティや赤白のキングやクイーン、ナイトらの住むチェスの世界。チェスのルールに沿った物語の進行はスリリングで、大人が読んでも楽しめます。

『鏡の国のアリス』に登場する、トゥイードルダムとトゥイードルディー

『不思議の国のアリス』で不思議の国へ迷い込もう!

『不思議の国のアリス』はへんてこりんな話です。また、つかみどころがなく、次々に不思議なキャラクターとエピソードが出てきます。不思議の国に迷い込みたくなったら、読んで見るといいかもしれませんね。

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文・構成/HugKum編集部

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