目次
『若草物語』とは?
映画やドラマでもよく知られている『若草物語』は、そもそも、いつ、だれが作った作品なのでしょうか?
アメリカの作家ルイーザ・メイ・オルコットの作品
『若草物語』は、アメリカの作家ルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した作品です。日本語をはじめ、世界各国の言葉で翻訳され、映画、ドラマ、ミュージカル、オペラなどにもなってきている名作です。
原題:Little Women
国: アメリカ
発表年:1868年
おすすめの年齢:小学校中学年以上
ルイーザ・メイ・オルコットってどんな人?
『若草物語』の著者、ルイーザ・メイ・オルコットは、1832年にアメリカのペンシルベニア州フィラデルフィア近郊で生まれました。
あまり裕福な家庭ではなく、生活苦から度々転居を繰り返して育ったと言われています。そのためルイーザは、若い頃から働きながらも執筆の活動を行い、さまざまな小説を書いていました。『若草物語』が一躍ヒットすると、その稼ぎで家の借金を返済したと言われています。
いつの時代の話?
『若草物語』の舞台は、19世紀後半のアメリカ。ちょうど1861年から1865年に起きた南北戦争の頃の時代を描いています。主人公である四姉妹の父も、物語のなかで戦争に行ってしまうシーンが出てくるため、そんな戦争中の生活を想像して読むといいでしょう。
物語のあらすじ|「詳しく」&「簡単に」2バージョンでご紹介
『若草物語』はどんなストーリーでしょうか? 詳しいバージョンと簡単なバージョンの2つでご紹介します。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
舞台となるのは、南北戦争のアメリカ。マーチ家には、長女メグ、次女ジョー、三女ベス、四女エイミーの四姉妹と父・母が暮らしていました。牧師だった父は戦争に向かい、一家は母と四姉妹だけで暮らすことになります。
戦地から届いた父からの手紙には、「自分の心の敵と戦い、立派な女性になってほしい」と書かれてあり、四姉妹は母とともに暮らしていくことになるのです。この「心の敵」とは、長女メグは虚栄心、次女ジョーは男っぽい性格、三女ベスは内気なところ、四女エイミーはわがままなところを指摘しているのでした。
ある日、戦場から父が危篤になったという知らせが届き、母は慌てて現地まで駆け付けます。すでに苦しい生活だったマーチ家ですが、次女ジョーは自分の長い髪をばっさり切って、その髪を売ったお金を母親に旅費として渡しました。
母がいなくなったマーチ家で次に起きた事件は、病弱だった三女ベスの猩紅熱でした。ベスは貧しい家を看病するなか、自分も猩紅熱にかかって重症となってしまったのです。残った3人の姉妹たちは、ベスの優しさをあらためて実感し、懸命に看病を続けます。そんななか、クリスマスになると回復した父が家に戻り、それぞれ成長した姿を見て家族の絆がさらに深まっていくのでした。
『若草物語』の第二部では、その後、長女メグや次女ジョーの結婚までのストーリーも描かれています。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
南北戦争中のアメリカで暮らしていたマーチ一家。長女メグ、次女ジョー、三女ベス、四女エイミーは、それぞれ性格も異なる四姉妹です。ある日、牧師だった父が戦争に向かうことになり、残された母と四姉妹だけが暮らしていくことになります。
途中、父が戦地で危篤になったことから、母も家を出てしまい、四姉妹だけでの暮らしも始まりました。決して裕福ではなく、苦しい生活のなか、それぞれの姉妹が協力しあいながら、ときには自分の欠点を見つめて、日々を送っていきます。そして迎えたクリスマスの日、家にやってきたのは、待ち焦がれたあの人でした……。
『若草物語』の主な登場人物
『若草物語』を読むうえで知っておきたい、主な登場人物を確認しましょう。
ジョー(ジョセフィン)
『若草物語』の主人公となるマーチ家の四姉妹のうち、次女(15歳)。活発で勝気な性格で男っぽさもある少女。作家になることを夢見ています。
メグ(マーガレット)
四姉妹の長女(16歳)。しっかり者で、おっとりとした性格。ジョーとは対照的に、女の子らしい面があり、いつも姉妹をやさしく見守っている存在です。
ベス(エリザベス)
四姉妹の三女(13歳)。ピアノがとても上手で、かわいらしい見た目なのですが、内気なタイプ。体が弱く病気がち。
エイミー
四姉妹の四女(12歳)。末っ子らしく、屈託のない人懐っこい性格で、誰からも愛されています。
マーチ夫人・マーチ氏
四姉妹の母親と父親。マーチ夫人は四姉妹から慕われている存在で、優しさと厳しさを持っています。父親は牧師として戦争に行ってしまうのですが、マーチ夫人は夫の不在のなか、娘たちを温かく見守っていきます。
『若草物語』が読み継がれている理由
発表されてから150年以上が経つのに、いまも愛され続けている『若草物語』。その魅力は何なのでしょうか?
映画・ドラマ・舞台に
『若草物語』は、これまでに何度も映画化され、ドラマなどにもなっています。また舞台、ミュージカルなどでも取り上げられてきた作品です。
原作は南北戦争の真っただ中と、現代とは時代背景が大きく異なりますが、家族や姉妹の絆をあらためて気づくことができる作品なので、これだけ注目され続けているのでしょう。
自立した女性を目指す
『若草物語』の原題は「Little Women」。戦地に赴いた父が娘たちに送った手紙にも「リトル・ウィメン(小さな女性たち)」と書いたように、自立した女性として育ってほしいという意味が込められています。
『若草物語』がつくられた当時は、まだ女性の社会進出は進んでおらず、現代とはかなり違う価値観があったのかもしれません。残された姉妹たちだけで協力しあって生き抜いていかなければならないという使命が、物語の随所に感じられます。
やさしく賢い母の存在
『若草物語』の四姉妹は、母をとても尊敬して慕っています。それは、母がいつも優しく、ときには厳しく姉妹を育ててくれていたから。性格もまったく違う4人それぞれに、よい相談相手になり、あたたかな愛でいつも包んでくれていて、きっと四姉妹にとっても絶対的な存在だったのでしょう。
著書のルイーザ・メイ・オルコットの母が、マーチ夫人のモデルになったと言われています。
名作「若草物語」を読むなら
あらためて『若草物語』を読んだり見たりしてみませんか?
『若草物語』
名作『若草物語』を、アメリカの人気画家・ターシャ・チューダーの挿絵とともに楽しめる1冊です。481ページと大作なので、読みごたえがあります。
『若草物語 1&2』
四姉妹の物語に加え、姉妹がそれぞれパートナーを見つけ自立していくまでを描いた2巻も一緒にまとめています。
『若草物語』
オールカラーのイラストがついて、短い章立てで作られた『若草物語』です。名作を初めて読む子どもに最適な1冊です。
姉妹の絆と成長を描いた『若草物語』
時には喧嘩したり、ぶつかりあったりしながらも、父と母のいない家で必死で生き抜こうとする四姉妹。性格もタイプもまったく違う4人が、それぞれの体験を通して人として成長していき、家族同士の絆がさらに深まっていくのが、この物語のストーリーです。
時代は変わっても、家族や姉妹の結びつきはきっと変わらないはず。『若草物語』は、そんなことにあらためて気づける作品です。
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文・構成/HugKum編集部