『グリム童話集』とは?
さまざまな昔話を集めた『グリム童話集』。現在、日本を含め世界中の国々の言葉に翻訳され、人々に親しまれている物語がたくさんあります。そんな『グリム童話集』とはそもそも、だれが、いつ作ったものなのか見てみましょう。
ドイツのグリム兄弟によって編まれた民話集
『グリム童話集』は、ドイツのグリム兄弟が作った昔話を集めたものです。初版ができたのは1812年のクリスマスで、その後、1815年に第2巻が刊行されました。その後も7版まで改訂され、現在よく知られているのは、第7版のものです。
国: ドイツ
編者:グリム兄弟(主にヤーコプ・グリム、ヴィルヘルム・グリム)
発表年:1812年(初版第1巻)、1815年(第2巻)
グリム兄弟ってどんな人?
グリム兄弟はドイツの学者で、『グリム童話集』の編集を行った人物です。グリム家のきょうだいは全員で9人いたとされ、幼くして死んだ者を除くと男5人・女1人の6人きょうだいでした。が、後世にまで名が残り、よく知られているのは次男ヤーコプ・グリムと三男ヴィルヘルム・グリムの2人です。
彼らは1700年代に裕福な家庭に生まれましたが、父親の死去によって生活は困窮するようになりました。ヤーコプとヴィルヘルムの2人は、マールブルク大学に進学すると、ドイツの古文学に興味を持ち目を向けるようになりました。
いつの時代の話?
グリム兄弟が生まれた1700年代、おとぎ話などの昔話は人々の間で娯楽のひとつでした。そんな昔話に注目したのが、グリム兄弟でした。そこで彼らはドイツ国内をまわり、古くから語り継がれてきたそれらの民話を聞いて集め、それらを編集して『グリム童話集』として発表したのです。
『グリム童話集』の代表的な物語とあらすじ
世界中で親しまれている『グリム童話集』の中から、おなじみの物語のあらすじをご紹介しましょう。
白雪姫
ディズニーのアニメにもなった『白雪姫』も、『グリム童話集』に収められている物語です。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
昔々、王様とお后様の間に美しい王女・白雪姫が生まれました。しかしお后様は亡くなってしまいます。王様が新しく迎えたお后様は、美しさが自慢の女性でした。そんなお后様は不思議な魔法の鏡に「鏡よ鏡、この国で一番美しいのはだあれ?」と聞くのです。すると鏡は「それはあなたです」と答えていました。しかし、白雪姫が大きくなっていくと、鏡は「白雪姫が美しい」と違う答えをするようになったのです。それに怒ったお后様は白雪姫を殺すように命令しました。
しかし家来は白雪姫を逃がし、森の中で見つけた妖精の家に逃げ込みます。白雪姫の生存を知ったお后様は毒りんごを作り、おばあさんの姿になって白雪姫のもとを訪れ、それを食べさせたのです。気を失い倒れてしまった白雪姫。しかし、そこに王子様が現れ、やさしくキスすると、白雪姫は深い眠りから目覚めるのです。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
「鏡よ鏡、この国で一番美しいのはだあれ?」と、魔法の鏡に聞くお后様。あるときに、その答えが「白雪姫」と答えたことから、お后様は白雪姫を殺そうとします……。
赤ずきん
いつも赤いずきんをかぶった女の子が主人公の『赤ずきん』のあらすじをご紹介しましょう。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
おばあさんに作ってもらった赤いずきんをいつもかぶっている女の子がいました。ある日、お母さんが赤ずきんに、病気で寝込むおばあさんのところに、ケーキやワインを届けるようにおつかいをお願いしました。そして、森に出かけた赤ずきん。すると、森の中で赤ずきんはおおかみに出会います。
「どこに行くの?」と聞かれた赤ずきんは、おあばさんの家に行くことを教えてしまいます。しかし、このおおかみは人間を食べてしまう怖い存在。「近くの花畑でお花を摘んでいくといいよ」と言われた赤ずきんは、お母さんとした寄り道をしないという約束を破り、お花を摘んでからおばあさんの家に到着しました。
すると、実は先ほどのおおかみがおばあさんを飲み込んでしまい、おばあさんのふりをしてベッドに寝ていたのです。赤ずきんはいつもとおばあさんの様子が違うことから、怪しむのですが、おおかみに食べられてしまいました。
しかし、おおかみがいびきをかいて寝ているところ、近くを通りかかった猟師が気づきます。おおかみのお腹をナイフで切り裂いてみると、赤ずきんとおばあさんが生きたまま現れたのです。最後は、おおかみはお腹に重い石をたくさん入れられてしまいました。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
赤ずきんは、お母さんから、病気で寝込んでいるおばあさんのところにおつかいをたのまれます。しかし、途中で人間を食べるおおかみに出会ってしまいます。赤ずきんは、どうなってしまうのでしょう……。
▼もっと詳しく知りたい方は
ヘンゼルとグレーテル
『ヘンゼルとグレーテル』は、ヘンゼルとグレーテルの兄弟の物語です。
詳しいあらすじ(ネタバレあり)
ヘンゼルとグレーテルは、母親が亡くなり、父親と3人で暮らしていました。しかし新しくやってきた母親が、貧しい生活から抜け出すため、父親に子どもを捨てることを提案しました。それを耳にしたヘンゼルは、小石を集めてポケットにこっそり入れておきます。翌日、両親は2人を森に置き去りにするのですが、ヘンゼルは小石を道に落としておいたので、それをたどって2人は家に帰ってきました。
そこで母親は小石を拾えないように、ヘンゼルを鍵をかけた部屋に閉じ込め、翌日にまた2人を森に連れていきました。今度はヘンゼルは、パンくずを道に落としてきました。しかしパンくずは鳥に食べられてしまったので、道に迷って家に帰ることができません。
すると2人の目の前に、キャンディやクッキーでできたお菓子の家が現れるのです。しかし、家にいたおばあさんは、実は悪い魔女。2人は捕えられて、魔女に食べられそうになるのです。しかし、2人は魔女をオーブンの中に放り込み、難を逃れます。お菓子の家から逃げ出した2人は、ついに家まで帰ることができたのです。2人を捨てたことを後悔していた父親は泣いて喜びました。
簡単なあらすじ(ネタバレなし)
貧しい暮らしだったことから、継母から捨てられることになったヘンゼルとグレーテルの兄弟。森の中に迷い込んでしまった2人の目の前に現れたのは、お菓子でできた家でした。その中から現れたのは、おばあさんでしたが……?
▼もっと詳しく知りたい方は
『グリム童話集』が読み継がれている理由
『グリム童話集』が世界中で親しまれ続けているのは、なぜなのでしょうか。
世界170以上の言語に翻訳
『グリム童話集』は、日本語を含め、世界170以上の言語に翻訳されています。それだけ多くの国の多くの世代に認知されてきた物語は、親から子へ、さらにその子へと脈々と語り継がれてきました。
210の物語
ドイツで人々に語り継がれてきた昔話を集めた『グリム童話集』。その物語の数は、初版で156話になり、現在よく知られている形である第7版では210話がおさめられています。そのなかには、深い示唆と教訓にあふれた物語なども多く、時代や文化の違いを超えて人々を魅了してきました。
名作「グリム童話集」を読むなら
『グリム童話集』をあらためて読んでみませんか?
『グリム童話集』
定番の『グリム童話集』シリーズ。全5冊あり、グリム童話の全貌がつかめます。
『グリム童話集』
『赤ずきん』『ラプンツェル』『おおかみと七ひきの子やぎ』など、12の作品を集めた、現代風の装丁が親しみやすい1冊です。
『グリム童話集』
グリム童話集を完全訳したシリーズ。第1巻は36編を収録しています。
子どもが本や物語に興味を持つきっかけに
誰もが知っている昔話が数多く集められた『グリム童話集』。小さいときに読み聞かせしてもらったり、自分で読んだりしたことのある物語が含まれていることでしょう。そんな『グリム童話集』は、子どもが本や物語の魅力に触れて好きになるきっかけになるかもしれません。そんな『グリム童話集』にあらためて触れてみてはいかがですか?
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文・構成/HugKum編集部