『ヘンゼルとグレーテル』の「お菓子の家」は何のため?魔女の正体は? あらすじ・登場人物の謎に迫る

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魔女が住むお菓子の家の登場シーンが印象的な『ヘンゼルとグレーテル』。この有名なお話もグリム童話のひとつだと知っていましたか? 本記事では『ヘンゼルとグレーテル』のあらすじや登場人物、気になるポイントやおすすめ書籍をご紹介していきます。

『ヘンゼルとグレーテル』ってどんなお話?

まずは、『ヘンゼルとグレーテル』の背景を知っておきましょう。

元々はドイツに伝わる民話、のちにグリム童話に

冒頭でもお伝えしたとおり、『ヘンゼルとグレーテル』はグリム童話のひとつ。元々はドイツのヘッセン州に伝わる民話の一遍だったと言われます。

1811年ごろ、グリム兄弟が住んでいたカッセルにあった薬局の姉妹から採集され、その後『グリム童話』の初版に収録されました。決定版である第7版まで、加筆や修正がたびたび重ねられた作品のひとつでもあります。

グリム童話のひとつ。史実とのリンクにも注目!

物語は、家庭の貧しさのあまり、まま母が二人を森に捨てようとするところからはじまりますが、この貧しさとは、中世ヨーロッパで実際にあった大飢饉(1315-1317年)を指しているのだとか。本作は、歴史的なできごとを後世に伝える作品でもあるのです。

『ヘンゼルとグレーテル』のあらすじと教訓

19世紀の刊行本の挿絵 by Alexander Zick – Märchen, Grot’scher Verlag, Berlin 1975,  https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6330122より(PD)

ここでは、『ヘンゼルとグレーテル』のあらすじを見ていきましょう。詳細なバージョンと、お子さんに説明しやすい簡潔なバージョン、物語から読み取れる教訓を合わせてお伝えします。

あらすじ

森に捨てられて…

むかしむかし、ある大きな森のはずれに、貧しい木こりの夫婦がふたりの子どもと住んでいました。男の子はヘンゼル、女の子はグレーテルと呼ばれています。

ある夜、ヘンゼルとグレーテルがお腹が空いて眠れないでいると、父親とまま母の話が聞こえてきました。まま母は、あまりの貧しさと食糧不足のため、ヘンゼルとグレーテルを森に捨てる計画を父親に持ちかけていました。

その翌日、父親とまま母は、ヘンゼルとグレーテルをほんとうに森の真ん中に置いてきてしまいます。不安で泣き出してしまうグレーテルですが、ヘンゼルは大丈夫、と励まします。前の晩、まま母の計画を聞いたヘンゼルは、たくさんの小石を家の近くで拾ってきて、帰り道がわかるよう、森を歩く道中にそれを落としてきていたのです。ふたりは家へと無事に帰ることができました。

しばらくすると、まま母は再び、ヘンゼルとグレーテルを森に捨てる計画を父親に持ちかけます。それを聞いたヘンゼルは、前回のように小石を拾いに行こうとしますが、鍵がかけられていて外に出られません。

森へ向かう道中、ヘンゼルは小石の代わりに、まま母から渡されたパンのくずを落としていきました。森に置き去りにされてしまったヘンゼルとグレーテルは、今度はパンのくずを頼りに家へと帰ろうとします。けれども、パンのくずは森の中の鳥たちにきれいに食べられてしまっていました。

お菓子のお家を発見!

仕方なく、ふたりは何日も森の中をさまよっていると、一軒のかわいらしい家を見つけました。なんと、パンやおかしで壁や屋根ができた家です。ふたりが我慢できずにおかしの屋根や窓を食べていると、中から魔女のおばあさんがでてきました。魔女のおばあさんはふたりを家に連れて入ると、たくさんのごちそうをふるまってくれました。

20世紀前半の刊行本の挿絵 by  Otto Kubel (1868 – 1951) https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=132270647より(PD)

しかしながら、この魔女は、実はとっても悪い魔女でした。子どもをつかまえては、ごちそうを与えて太らせて、太ったところでその子どもを食べてしまうのです。魔女はグレーテルを働かせ、ヘンゼルを小屋に閉じ込めて、たっぷり太らせてから食べてしまうつもりでした。

魔女は毎日、閉じ込めたヘンゼルが太ったかどうか、小屋の隙間から指を触って確かめます。ヘンゼルは食べ残しの骨を代わりに差し出していましたが、目の悪い魔女は簡単に騙され、なかなか太らないヘンゼルを不思議に思っていました。

ある日、魔女はついに痺れを切らして、ヘンゼルを食べてしまうことに決めました。そのために、パンを焼くためにかまどの火の具合を確かめるよう、魔女はグレーテルに命じます。かまどを覗き込んだところで、グレーテルを燃やしてしまうつもりだったのです。

魔女をやっつける!

そこでグレーテルは、ある策を思いつきました。グレーテルは、かまどの中の確かめ方を、とぼけたふりをして魔女に聞きます。すると、魔女はそれを教えるために、かまどに頭をつっこみました。その時です。グレーテルは魔女をおしこみ、かまどの鉄の戸をバタンと閉めてしまいました。

こうして魔女は焼け死に、グレーテルはヘンゼルを助けてあげることができました。ふたりはおかしの家から宝石をポケットいっぱいに詰め込んで、出発します。

森では白いカモたちに助けられながら、ようやく自分たちの家をみつけたヘンゼルとグレーテル。いじわるなまま母は死んでいたので、お父さんと再会したふたりは、その後、ずっとしあわせに暮らしました。

あらすじを簡単にまとめると…

いじわるなまま母に森の中に捨てられてしまったヘンゼルとグレーテル。帰り道が分からず森をさまよっていると、壁や屋根が全部おかしでできたかわいいお家をみつけます。けれどもその家は、わるい魔女の家でした。

魔女はごちそうでふたりを誘い込んだ後、ヘンゼルをとじこめて、太らせてから食べてしまうつもりでした。食べられない代わりに働かされていたグレーテルは、パンを焼くよう言いつけられた際、魔女をかまどに押し込んで、見事やっつけます。

ヘンゼルとグレーテルは、無事におかしの家から逃げ出すことができ、自分たちのお家へと帰ることができました。

教訓

『ヘンゼルとグレーテル』から読み取れる教訓のひとつが、「どんな逆境でも、諦めずに考えて行動すること」ではないでしょうか。

いじわるなまま母に捨てられることを知ったとき、ヘンゼルはすぐに機転をきかせて、小石を拾ってきましたね。かまどでパンを焼くよう言われ、最大のピンチに直面したグレーテルも、咄嗟に考えて魔女をやっつけてしまいました。どんな逆境でもめげずに頭を使うことの大切さが実感できるお話です。

しかし、そんなヘンゼルとグレーテルも、おかしの家にはつい心奪われ、足を踏み入れてしまいました。「誘惑や罠には引っかからないこと」といった教訓も込められているかもしれませんね。

主な登場人物

ここでは、本作の主な登場人物をおさらいしておきましょう。

ヘンゼル

木こりの家の子ども。男の子。

グレーテル

木こりの家の子ども。女の子。

木こり(父)

ヘンゼルとグレーテルの父親。自分の子どもを捨てたくないが、妻に逆らえない。

まま母

ヘンゼルとグレーテルのいじわるなまま母。家が貧しく食料不足のため、ふたりを森に捨てる計画を父親に持ちかける。

魔女

おかしの家に住む魔女。子どもをつかまえては、存分に太らせてから食べてしまう。

気になるところをつまみ読み!

ここでは『ヘンゼルとグレーテル』の、気になるところをつまみ読み。本作の混乱しやすいポイントや、疑問を抱かれやすいポイントを解説していきます。

1909年刊行本の挿絵 byアーサー・ラッカム  https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1057110より(PD)

ヘンゼルとグレーテルはどっちが年上?

ヘンゼルとグレーテルには、どちらが年上・年下かがわかる描写がありません。もともとが口承によって広まったお話なので、詳細な設定は存在しないのかもしれません。

実の母親がいないのはなぜ?

本作に登場するまま母は、初版では実の母親でした。しかし、子を持つ女性読者からの批判が多く、版を重ねるうちにまま母に変更されたと言われます。

なぜ母親に捨てられた?

先述もしましたが、本作でまま母が二人を森に捨てようと企てた理由には、食糧不足があります。そして、その食糧不足とは、中世ヨーロッパで実際にあった大飢饉(1315-1317年)を指しているといわれています。

魔女がお菓子の家を仕掛けた理由

魔女がお菓子の家を仕掛けた理由は、森で迷った子どもたちを家へと誘い込むためでした。お菓子に誘われやってきた子どもたちをつかまえると、殺して調理して食べてしまうのです。

魔女の正体は…

巷には、「魔女の正体はまま母だった」という説もあるようですが、原作上ではそのように明言されているわけではありません。ただし、本作の結末では、グレーテルが魔女をやっつけたのと同時期に、まま母も亡くなっていたことがわかります。しかも、まま母の死因は描かれていません。

また、初版では、かまどで魔女を焼き殺す際、グレーテルには魔女がまま母とそっくりに見えてしまう描写があるのです。これらのことから、「魔女とまま母は実は同一人物」と解釈する人が少なくないようです。

『ヘンゼルとグレーテル』を読むなら? おすすめ絵本3選

最後に、『ヘンゼルとグレーテル』を読む際におすすめの書籍をご紹介。小さいお子さんから大人まで、家族みんなで楽しめる絵本を集めてみました。

ヘンゼルとグレーテル(小学館)

ヘンゼルとグレーテル(小学館)

『わかったさん』シリーズでおなじみの、永井郁子さんによる可愛らしい絵を、大判で存分に味わえる『ヘンゼルとグレーテル』の絵本です。さらに、魔女をやっつける残酷なシーンはビジュアル化されていないので、小さなお子さんにも安心して読んであげられる点が魅力。「お菓子の家がホントにおいしそう」と、子どもたちからの人気を集める一冊です。

ヘンゼルとグレーテル ~【デジタル復刻】語りつぐ名作絵本~(小学館)

ヘンゼルとグレーテル ~【デジタル復刻】語りつぐ名作絵本~(小学館)

名作絵本をデジタルで復刻したシリーズ『【デジタル復刻】語りつぐ名作絵本』の『ヘンゼルとグレーテル』版。美しく、どこかレトロかわいい挿絵と、気持ちの良いリズム感を持つ文章が魅力的な絵本です。こちらもお菓子のお家がやっぱりおいしそう! ふだんは紙の絵本派のご家庭の、はじめてのデジタル絵本にもおすすめです。

ヘンゼルとグレーテル―グリム童話(ほるぷ出版)

ヘンゼルとグレーテル―グリム童話(ほるぷ出版)

ちょっと大人でクラシックな雰囲気が好きな子には、こちらがおすすめ。グリム童話の原訳による物語が、緻密なイラストとともに表現された絵本です。文章にはすべてルビがふられていますが、原訳のため、幼いお子さんには少々難しいかも。小学校中・高学年からのお子さん向けです。

印象的なシーンがいっぱい! どこが一番気になった? 親子で話し合ってみては

今回は、『ヘンゼルとグレーテル』の背景やあらすじ、気になるポイントやおすすめ書籍をご紹介してきました。迷わないよう小石を目印にしたり、森のなかでお菓子のお家を見つけたり…さまざまな印象的なシーンが登場するお話でしたね。

読み聞かせの際は、どんなシーンが一番印象的だったか、どうしてそう思ったのか、親子で感想を言い合ってみるのも楽しそうです。

こちらのお話もチェック!

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文/羽吹理美 構成/HugKum編集部

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