「イソップ物語」ってどんな話? 作者はどの国の人? 2500年も語り継がれた寓話に、生きるヒントが満載

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「北風と太陽」や「うさぎとかめ」などで知られる『イソップ物語』。だれもが一度は読んだことがあるのではないでしょうか。そこでこの記事では、『イソップ物語』の作品情報や作者、あらすじを解説。あらためて『イソップ物語』に触れてみましょう。

イソップ物語とは?

まずは『イソップ物語』の作品情報や、作者について知りましょう。

ギリシャのイソップの作品

『イソップ物語』は、今から2500年以上前である紀元前6世紀ごろに古代ギリシアの奴隷だったイソップ(ギリシア語でアイソポス)という人物が人々に語った寓話(たとえ話)であるといわれています。

寓話は後世に語り継がれ、紀元前3世紀ごろに初めて寓話集としてまとめられました。さらに、古くから伝わる民話や、後世に作られた話なども『イソップ物語』に加えられていると考えられています。

日本に伝わったのは、16世紀末ごろとされています。江戸時代初期には『伊曽保物語(いそほものがたり)』というタイトルで出版されました。

作者:イソップ(アイソポス)
国:ギリシャ
発表年:紀元前6世紀?
おすすめの年齢:小学校中学年以上

1867年に刊行された英訳本 by s:Author:George Fyler Townsend – http://aesopsfables.us/, wikimedia commonsより(PD)

イソップってどんな人?

『イソップ物語』の作者とされているイソップは、実は、実在した人物かどうかはわかっていません。紀元前6世紀ごろに存在した、寓話が上手な人がイソップのモデルになったのではないかと考えられています。

いつの時代の話?

『イソップ物語』には、時代設定はありません。この寓話が語り継がれたのは紀元前6世紀ごろといわれています。

イソップ物語の代表的な物語とあらすじ

イソップ物語にはさまざまなお話があります。ここでは、代表的な話のあらすじを、「詳しく」&お子さんへの説明に便利な「簡単に」の2種類ご紹介します。

金の斧銀の斧

「正直者は徳をする」「欲張るとよいことがない」という教訓がつまった話です。

正直が一番!「金の斧銀の斧」

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

ある日、きこりが木を切っていると使っていた鉄のおのを泉に落ちてしまう。すると泉から女神があらわれ、「あなたが落としたのは金の斧ですか、銀の斧ですか」とたずねてくる。きこりは正直に「どちらでもありません」と言うと、女神は金、銀、鉄すべてのおのをきこりに渡した。

その様子を見ていたよくばりな男が自分も金の斧をもらおうといずみに斧を落とす。しかし、女神にそのことを見抜かれ、何ももらえなかった。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

きこりが泉で木を切っているときに、うっかり斧を泉に落としてしまう。すると泉から女神が現れ「あなたが落としたのは金の斧ですか、銀の斧ですか」ときこりは問われて…。

北風と太陽

たとえ話にもよく使われる話です。この話には「臨機応変の大切さ」が教訓として書かれています。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

北風と太陽が「旅人の上着を脱がせることができるか」という勝負をする。北風は、旅人に強い風を吹きつけ、上着を吹き飛ばして脱がそうとする。しかし、強い風が吹くほど上着をしっかりと押さえてしまい、北風は上着を脱がすことができない。

太陽は、旅人に暖かい日を当てる。すると旅人は「暑い」と言って上着を脱いだ。勝負は太陽の勝ちとなった。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

北風と太陽は、どちらが旅人の上着を脱がせることができるか勝負をするが…。

うさぎとかめ

うさぎとかめが競争する話。この話には「努力は報われる」「油断大敵」といった教訓が込められています。

「うさぎとかめ」も『イソップ物語』の話のひとつ

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

うさぎとかめは、足が速いのはどちらか山のふもとまで走って競争することにした。足の速いうさぎはかめを引き離し、どんどんとゴールへと向かう。一方かめは、ゆっくりとふもとを目指していた。うさぎはこれでは勝負にならないと油断し、途中で居眠りを始める始末。かめはゆっくりながらも歩みを進めた。うさぎが目を覚ますと、すでにかめは山のふもとに着いていた。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

うさぎとかめは、足が速いのはどちらか山のふもとまで走って競争する。足の速いうさぎはかめをばかにし、途中で居眠りをはじめてしまう。一方かめは歩みを進める。勝負はいかに。

ありとせみ

「ありときりぎりす」というタイトルが一般的ですが、原題は「ありとせみ」なのだそうです。この話の教訓には「備えあれば憂いなし」「怠けていたらその報いを受ける」などがあります。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

ある夏の日、ありがせっせとはたらくなか、せみは歌を歌って過ごしていた。せみはありを見て、あくせく働くなんて馬鹿らしいとあざ笑う。やがて冬になると、ありは夏にはたらいて貯めた食料を食べる。一方せみは、遊んでいたために食料がない。せみはありに食べ物を分けてもらう。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

ある夏の日、ありはせっせとはたらいていた。せみはそんなありを見て、あくせく働くなんて馬鹿らしいとあざ笑う。やがて冬になり…。

羊飼いの少年

うそつきな「オオカミ少年」が登場する話です。「意味のない嘘をつく愚かさ」が書かれています。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

退屈していた羊飼いの少年は、「オオカミが来たぞ!」と嘘をついて騒ぎを起こす。だまされた大人たちは武器を持って助けにいくが、オオカミなどいやしない。少年は何度も「オオカミが来たぞ!」という嘘を繰り返す。

そんな折、ついに本当のオオカミが現れた。少年は「オオカミが来たぞ!」と村人を呼びに行くが信用されず、村の羊はオオカミに食べられてしまう。

簡単なあらすじ(ネタバレなし)

退屈していた羊飼いの少年は、「オオカミが来たぞ!」と騒ぎを起こす。すると、村人たちが駆けつけ、少年はその様子を面白がる。何度も同じ嘘をついているうちに本当にオオカミが現れ…。

イソップ物語が読み継がれている理由

大正14年刊行の伊曽保物語(国立国会図書館デジタルコレクション)

『イソップ物語』がこれまで読み継がれているのには理由があります。その理由を解説します。

擬人化した動物が登場する

『イソップ物語』の最大の特徴は、擬人化した動物が登場すること。いずれのキャラクターも動物の特徴とマッチしているのがおもしろいところです。キャラクターを人にしないことで、読者が感情移入しすぎないようにしているのもポイントといえます。

生きるヒントが満載

『イソップ物語』には、どの話にも誰もが共感できるような教訓が提示されていることも特徴です。わかりやすいお話なので、教訓が理解しやすく、また学びとなり、あらゆる人々にとって生きるヒントにもなることでしょう。

『ドラえもん』にはパロディ化した話も

『ドラえもん』には、「金の斧銀の斧」のパロディ漫画があります。その漫画では、「きこりの泉」というひみつ道具が登場。その泉に斧ではなく、ジャイアンが落ちてしまい、女神がきれいなジャイアンをのび太に差し出すという結果に…。

名作「イソップ物語」を読むなら

『イソップ物語』を読むのにおすすめの本を3冊ピックアップしてご紹介します。

イソップのお話

「イソップ寓話集」から、少年少女のために選りすぐったお話が300編入っています。ギリシア語からの完全訳なのも特徴です。

よみきかせえほん イソップ童話

こちらは絵本タイプの『イソップ物語』です。楽しくってためになる動物たちのユーモラスな話など、全22話を収録。すべて異なるイラストレーターによる美しい挿絵が入っているのも特徴で、読み聞かせにもおすすめです。

小学館世界J文学館

この1冊で125冊の電子書籍を読める新時代の児童文学全集。『イソップ物語』はもちろん、その他の世界名作、現代児童文学、日本やアジアの古典、SF、詩まで、125作品を電子書籍で読むことができるのが特徴です。紙の本は、1作品を見開きで紹介する名作図鑑となっています。

『イソップ物語』で人生のヒントをつかもう

『イソップ物語』はひとつお話が短く、だれにでも楽しく読むことができます。また、教訓が込められているのもポイントです。『イソップ物語』から人生のヒントをつかんでみてはいかがですか。

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文・構成/HugKum編集部

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