「おわら風の盆」とは?見どころや参加時の注意点を解説【HugKumお祭りガイド】

にぎやかな祭りとは一味違った「おわら風の盆」は、富山県で毎年9月に開催される行事です。2023年の開催情報のほか、行事の特徴や見どころについて詳しく解説します。参加をする際の注意点も確認し、家族でおわら風の盆を見学してみましょう。

おわら風の盆とは?2024年の開催情報も

おわら風の盆は、どのような行事なのでしょうか。まずは開催場所や行事の特徴などを紹介します。

富山県で開催される二百十日の祭り

おわら風の盆は、富山県富山市八尾(やつお)町で300年以上受け継がれている行事です。毎年9月1〜3日に行われ、全国からも観光客が集まります。

おわら風の盆は、雑節の一つである「二百十日(にひゃくとおか)」の代表的な行事で、風を鎮める目的を持っているのが特徴です。立春から数えて210日目、現在使われている太陽暦では9月1日ごろに該当する二百十日は、稲が開花する時期ながら、台風や地震などが起きやすいことから農家にとって厄日と考えられています。

そのため二百十日の前後には、全国各地で風を鎮める祭りが開催されます。おわら風の盆も、そのように風を鎮めて豊作を祈る風習に由来する行事の一つです。

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11の支部が町流し・輪踊りをする

おわら風の盆には、八尾町にある以下11の支部が参加して、町流しや輪踊りを行います。

●西新町
●東新町
●諏訪町
●鏡町
●上新町
●東町
●西町
●今町
●下新町
●天満町
●福島

地方(じかた)の演奏とともに踊り手たちがおわらを踊りながら町内を練り歩く「町流し」
地方(じかた)の演奏とともに踊り手たちがおわらを踊りながら町内を練り歩く「町流し」

町流しとは、編み笠をかぶった男女が歌と楽器に合わせて踊りながら町を歩く様子を表す言葉です。一方の輪踊りは、唄い手・演奏者の周りに円を作って踊る様子を示しています。

11支部がそれぞれに町流しや輪踊りをするので、衣装や踊りにも個性が現れます。例えば上新町は八尾町でも道幅の広い地域で、観光客も参加できる「大輪踊り」が特徴的です。東新町の町流しでは、色鮮やかな早乙女衣装を身に着けた小学生の女子も踊ります。

2024年も9月1〜3日に開催予定

2024年8月時点で決まっている2024年の開催情報は、以下の通りです。

●9月1日(日)17〜23時
●9月2日(月)17〜23時
●9月3日(火)19〜23時

前夜祭の予定はなく、おわら演舞場のステージは設けられません。行事の内容については協議・調整中で、決まり次第公式サイトで発表される予定です。2024年の詳しい内容が気になる人は、公式サイトをこまめに確認するようにしましょう。

おわら風の盆・まちなみ・日本の情緒・風情|越中八尾観光協会

おわら風の盆の見どころ

おわら風の盆には、一般的な祭りとは異なる魅力があります。おわら風の盆ならではの、二つの見どころを確認しましょう。

哀愁ある音色と越中おわら節

哀愁ただよう音色の越中おわら節は、おわら風の盆を静かに盛り上げます。

越中おわら節の演奏で使われる主な楽器は、囃子・三味線・太鼓・胡弓で、楽器の主張を抑えた演奏による、哀愁ある音色が会場を静かに包みます。特に、澄んだ音のする胡弓は哀調の音色が重視され、目立ってはいけないと教えられるそうです。

越中おわら節の歌詞は、一般的な民謡と同じく7・7・7・5の26文字で形成されています。26文字の歌は「正調おわら」「ひらうた」とも呼ばれ、最後の5文字の前に「おわら」が入るのが特徴です。

歌・楽器に合わせた3種類の踊り

越中おわら節の歌と演奏に合わせた3種類の踊りも、独自性のある見どころといえます。

●豊年踊り
●男踊り
●女踊り

種まきや稲刈りといった農作業を表現した「豊年踊り」は、その年の豊作を祈る踊りです。「旧踊り」とも呼ばれ、年代・男女を問わずに踊れます。「男踊り」も農作業を表現しているといわれていますが、男性を対象としており、しなやかさの中に動きがあるのが特徴です。

キレのいい勇壮な男踊り

女性向けの「女踊り」は、画家・俳人の小杉放庵が詠った「八尾四季」の振りつけが基となっています。後に河原で蛍取りをする女性を表現する踊りが加わり、「四季踊り」とも呼ばれる現在の女踊りが完成したそうです。

おわら風の盆に参加する際の注意点

子どもを含めた家族でおわら風の盆に参加する際には、注意点を踏まえた行動が大切です。行事参加時の注意点を、家族での参加を考慮して解説します。

車移動は避けるのがベター

おわら風の盆に参加する際は、車の利用は避けるのが無難です。小さな子どもと一緒に電車に乗るのは負担がかかるため、車移動の方がスムーズだと感じるかもしれません。ただ、2024年の開催中は、以下の時間帯で交通規制がかかります。

●9月1日(日)16〜24時
●9月2日(月)16〜24時
●9月3日(火)18〜24時

専用の駐車場は台数に制限があるため、早い時間で満車になる可能性も十分に考えられます。交通規制や駐車場の状況を考慮すると、車の利用は控えて公共交通機関を使うのがおすすめです。

参考:おわら風の盆駐車場案内 | おわら風の盆行事運営委員会

「おわら風の盆」のルートとなる富山県八尾町の伝統的な街並みも見どころ
開催地、富山県八尾町の伝統的な街並みも見どころ

私語やフラッシュ撮影は控える

子どもと一緒に参加する際、特に気をつけたいのは行事中の私語です。災害を鎮める目的のあるおわら風の盆は、活気あふれる祭りとは異なり、静かに鑑賞するのがマナーとされています。

行事期間中は、八尾町民が囃子・踊り・警備、そして家を守るという役割を分担しているのが特徴です。観光客は八尾町民総出の行事を観覧させてもらうという位置づけなので、祭り気分で盛り上がるのは禁物です。また、行事は夜に行われますが、フラッシュ撮影も控えましょう。

親子ともに、おわら風の盆の美しい光景や音色を、自分の目や耳で楽しむ意識が大切です。子どもの成長度合いによっては、事前に行事の特徴を説明して「静かに鑑賞しようね」と話しておくとよいかもしれません。

雨天の場合は中止になる

おわら風の盆で使われる楽器は水に弱いため、雨天の場合は原則行事自体が中止になります。突然雨が降り出す可能性も考えられるので、遠方から参加する場合は雨天時の代替案を用意する工夫も必要です。

雨で行事が中止になった場合は、「八尾おわら資料館」へ足を運ぶ手もあります。行事について紹介している資料館で、映像があるので、子どももどのような行事かを理解しやすいでしょう。

資料館の開館時間は9時から17時(16時30分で受付終了)

八尾おわら資料館|富山市公式ウェブサイト

おわら風の盆で秋の静けさを感じよう

富山県富山市八尾町で行われる「おわら風の盆」は、哀愁ただよう越中おわら節と、11支部の個性あふれる踊りが魅力のイベントです。災害を鎮める目的があり、秋の静けさとともに防災を願う点に特徴があります。

地域住民が総出で行う行事のため、参加する際には「観覧させてもらっている」という意識も大切です。にぎやかに盛り上がる祭りとは異なる点を理解し、会話やフラッシュ撮影を控えて目の前の光景を楽しみましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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