Q. 何を見ても「なんで?」「どうして?」と聞いてくる息子。こたえるのが面倒で、聞こえないフリをしたくなることも……。
A.子どもの疑問には誠実に対応しましょう
「なんで?」「どうして?」の繰り返しは、ときに大人を困らせます。でもいろいろな疑問をもつことは、子どもの大切な仕事。「なんで?」攻撃への対応はたいへんなこともありますが、「そこに気づけるなんて、えらい!」と思ってあげて(笑)。質問の動機はおもに好奇心。必ずしも正解を求めているわけではないことも多いので、緩やかな気持ちで受け止め、そのとき誠実にこたえられる範囲で対応していきましょう。
わからないときは「わからない」と言ってよい
「なんで?」という質問の頻度には個人差があります。一般に、質問が多い子は好奇心旺盛なタイプ。身のまわりのさまざまなことにアンテナを張り巡らせ、いつも自分なりに「こうかな?」などと考えています。このような子どもの知りたがる意欲は、これからの社会が求める重要な能力だと言われています。忙しいときにはたいへんですが、ていねいに対応するのがおすすめです。
とはいっても、常に正解がわかる質問をされるとは限らず、鋭い質問にあわてることもありますね。でも、わからないことは「わからない」と言っていいのです。ときには、「大人がわからないこともある」と伝えることも大切。子どもが「大人も完璧じゃない」「わからないことがあってもいい」と気づくよいきっかけになるからです。そして、親自身も「わからないから教えて」と素直に言えるようになることは、しなやかな人づきあいのポイントなのです。
もしもよい答えが見つからなかったときは、「あとで図鑑で調べてみようか」「よく知っている人に聞いてみようか」など、時間のあるときにきちんと対応する、と伝えるのもよい方法。親と一緒に調べものをすることは、やがて自分の力で正解を見つけるときの楽しさや大変さを味わうよい機会になります。
子どもの視点が新鮮な発見をさせてくれることも
「なんで?」にじっくりこたえるゆとりがないときも、無視したり質問をやめさせたりするのは避けたいところです。ひとまず「いい質問だね!」「うーん、なるほど〜」のように「感想」を伝えてみましょう。答えが得られなくても「知りたい気持ち」を受け止めてもらえたと感じ、子どもは満足できることもあるからです。また、「今の質問、〇〇語で言ってみて」「じゃあ、おかあさんは犬の言葉で答えるね」というように、ときには遊びにかえてしまうことがあってもよいと思います。子どもの「なんで?」にこたえることは、親にとって貴重な学び直しのチャンスでもあります。子どもの感性を通してこたえ方を工夫することは、大人にとっての「あたりまえ」を見直すことにもつながるからです。
人は、多様な友人をもつほど幸福と感じる度合いが高いと言われています。自分とは異なる視点や価値観を知ることは喜びや感動につながり、満足度も上がるからでしょう。親子に限らず、固定観念にとらわれないまなざしから生まれる子どもの「なんで?」は、経験による「あたりまえ」が多い大人の頭からは生まれないもの。大切なことに気づかせてくれる、という気持ちで受け止めていくと、ときに目からウロコが落ちるような発見も!こうした新鮮な驚きや感動は、子育てをしているからこそのご褒美ともいえます。親ならではの「役得」を楽しみ、子どもと一緒に育ち合っていきましょう。
教えてくれたのは
乳幼児教育保育実践研究家、非営利団体コドモノミカタ代表理事。東京家政大学短期大学部保育科を卒業。東京家政大学ナースリールーム主任、東京家政大学・同短期大学部非常勤講師を42 年務める。著書に「保育でつむぐ 子どもと親のいい関係」(小学館)など。
イラスト/小泉直子 構成/野口久美子
親と子をつなぐ、2・3・4歳の学習絵本『めばえ』。アンパンマン、きかんしゃトーマスなど人気キャラクターと一緒に、お店やさんごっこや乗り物あそび、シールあそび、ドリル、さがしっこ、めいろ、パズル、工作、お絵かきなど、様々なあそびを体験できる一冊。大好きなパパ・ママとのあそびを通して、心の成長と絆が深まります。