お話を伺ったのは…
目次
男児のブーム、ベイブレードが再来!ゲームは戦国時代!?
――まずはいま、コロコロ読者に流行っているものについて伺います。ブームになっているものはありますか?
秋本編集長:ホビーでは、新シリーズで始まった「BEYBLADE X(ベイブレードエックス)」ですね。かつては一度ブームが過熱して下火になった場合、休眠期間を数年経てまた再スタートするというパターンなのですが、「ベイブレードバースト」というシリーズが長期的な人気シリーズとなり、地続きで始まりました。「BEYBLADE X」は新しいバトルを見せたい!ということで超加速する新コンセプト。間違いなくイチオシで上がってくると思います。
ロングヒットの「ベイブレード」シリーズ
「BEYBLADE X」では新コンセプトで展開!
意外と最強は「マインクラフト」?!
ゲームは、一時期カオスで「フォートナイト」に関してはブームとなりましたが、対象年齢の問題などがあり、編集部でも配慮しながら展開した作品でした。そこにうまくスライドしてハマっていったのが「スプラトゥーン3」ですね。
日々新作がでてきていて「ピクミン4」と「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」が年末年始どれだけ伸びるか・・・。
「フォートナイト」など、バトルロワイヤル的なものはまだ、というご家庭も、ゲーム好きのご家庭も、いつもベスト5くらいに入るのが「マインクラフト」です。ほかのゲームで遊んでも、またマイクラに帰ってくるみたいな感じはあります。
アプリ系で人気の「にゃんこ大戦争」と注目の「ダダサバイバー」
アプリ系では、ずっと人気があるのが「にゃんこ大戦争」。そこに対して新しくブームになりそうなのが、「ダダサバイバー」です。コロコロと一緒にタッグを組んで新しいことが始まるかもしれないということも含めて楽しみですね。
コロコロがいつの時代も男児の心を掴んで離さないヒミツとは!?
――まずコロコロは表紙のインパクトがすごいです。盛りだくさんすぎる内容ですね。
秋本編集長:ポケモンカードが大好きな子もベイブレード好きな子もデュエマが好きな子も、色々な子に向けている結果こうなるんです。
付録を付けるにも限界がありますし、なにをどこまでこの号で読者にぶつけるべきなのか取捨選択をしつつ、この小さな表紙の中に表現するのは、とても大変なんですよ(笑)。
――コロコロコミックが毎号読者を飽きさせないために、意識しているポイントを教えてください。
秋本編集長:漫画雑誌なので基本的には、ページをめくるたびに驚きがあること。そして、次の号にどのように話が展開していくのかにこだわっています。これはもう46年ずっと続けていることです。
大前提として、子どもたちは知らないものは好きじゃないんですよ。ですので知ってもらうための期間をつくり、漫画やイベントを利用することもあります。それがのちのち世に出て、実際に日常的に買い集めたり、自分たちの世界に繋がっていく。
そして、今度は自分の実力を試したり、自分のコレクションを自慢するようなイベント、大会、バトルというような場所へ出て、「全国大会、日本一を目指すぞ!」という目標ができて。実際に読者が日本一になるチャンスがある世界がそこに広がっていたんですよね。
読者アンケートと自分自身がコロコロ読者だった頃の感覚、両方を活かして
――男の子のニーズはどうやって感じ取っていますか?
秋本編集長:人気アンケートは重要です。ただ、企画やまんがのスタート時は読者アンケートで「つまらない」に〇をつけられがちです。それが今後どういう風に「つまらない」が減っていくのかいかないのかを定点観測します。
友だちが「これ面白かったよね」って言ったらもう、「つまらない」って言わないみたいな感じありますよね。ビックブームになっていくものも初めはだいたい「つまらない」って言われちゃいます。けど、へこたれない(笑)!
アンケートで分析的に読み取る部分と、そもそも自分が小学生男児だったので、子どもの頃の自分だったら俺はそれを絶対にやりたいとか、この写真がかっこいいとか、そういうセンスに基本的に任せる部分があります。
自分自身が小学生だった頃の夢「分厚すぎるコロコロ」を実現!
--この秋発売された『合体コロコロコミック』、存在感がすごいですね。売れ行き好調だということですが、どうして誕生したのでしょうか?
秋本編集長:“月刊コロコロコミック”と”ミラコロコミック”が合体した、分厚い『合体コロコロコミック』は、実は自分自身が小学1年生だった時の発想で誕生したんです。小学生の時に創刊号から1年くらいかけて4冊くらい買い集めたときに興奮して、それをガムテープで合本したんですよ。俺のコロコロが一番分厚い!と(笑)。
編集部で「コロコロと別冊コロコロを、もっと読んでもらうにはどうしたらいいんだろうか」と考えたときに、付録になってれいばいいのになと思って。結果、もう合体させればいいじゃん!ということになりました。おかげさまで好評です。
555号に向けて新しい時代に突入する『コロコロコミック』 コロコロ読者の時代の変化は?
――ポケモンカードのブームなどを受けて、コロコロの読者層に変化はありましたか?
秋本編集長: もともとコロコロは、小学生限定なんですよね。中学生になったら部活もあるし、好きな子もできるだろうしコロコロなんか読んでたらモテないよって(笑)。卒業していってもらうのを歓迎してました。
10数年前から、だんだんと中高生や成人になってもまだ卒業していない子がいるとわかって、彼らに対して大人向けの『コロコロアニキ』が発売されました。
でも今はまたその時とも違ってきていますね。コロツアー(※コロコロ名物になっている夏のイベント。日本列島を縦断する)を回っていても感じるんですが、お母さんがとにかく我々にフレンドリーでウエルカムなんですよ。昔は「コロコロなんて読んで!」というイメージだったのに。
いまのお父さんお母さん世代は子どもの頃にポケモン、カービィなどのゲームで遊んだりしているので、コロコロに対して親近感も強く、ご家族でコロコロのイベントに参加して一緒に楽しめる環境になりました。
――新時代に向けてコロコロも変化していくのでしょうか?
秋本編集長:2024年2月号でコロコロは550号になり、その半年後には555号を迎えます。『コロコロコミック』 、『コロコロアニキ』という時代を経てこれからどうしていくのか考えて出てきたワードが“オヤコロ”です。親子でコロコロという時代に突入していくと。
だけど、親に認められた世界や大人目線のコロコロはありえないので、あくまでも今の子どもたちの共通言語で、しかも男児的切り口であること。それをカルチャーとして、「一緒に遊べる方々は出入り禁止にはしませんよ」という環境をつくる時代になっていくと思っています。
コロコロ読者には、子どももいれば大人もいて、男女両方いて・・・。世界に発信できるような、コロコロというカルチャーを築いていきたいですね。
お行儀が良すぎる子どもたちにもっと自由を!
――コロコロ編集部でずっと小学生の男子を見てこられた秋本編集長ですが、今と昔で子どもたちの変化で感じることはありますか?
秋本編集長:かつて僕が新人時代に参加したイベントでは、いきなりカンチョーしてきたりとか、例えば剣道着を着ていると胴をたたいて逃げるような子どもばっかりだったんですよ(笑)。
でも、最近は、お母さんも一緒だし、ちゃんと挨拶をして「編集長、一緒に写真を撮っていただいてもよろしいでしょうか?」と礼儀正しく言ってくるんですね。
内心は、やめてよって(笑)。普段は学校や、親御さんたちにルールを求められているだろうから、俺たちの前ではもっと自由にしてほしいですね。
遊びの中での子ども同士のコミュニケーションがもっと自由であることも必要
ゲームやバトルでのルール違反は遊びとして面白くなくなるので、徹底的に正します。仲間として遊ぶのならばルールは守れと雑誌の中でもメッセージとして発信します。
でも例えば、勝って大げさに喜ぶとか、負けて泣き叫ぶとかは、どんどんやって欲しいなと。たくさん失敗や成功をして、子ども同士でコミュニケーションが取れれば良いと思っています。
今の時代はなかなか難しいですが、子ども同士がもうちょっと自由にできる社会が必要だと感じています。子どもの変化と、そこに対する我々の想い。そこまで思ってるのは、俺がおっさんでコロコロ編集部に残っているからかもしれませんけど、そういう遊び場創りも我々の責任の一部だと思っていますね。
――変わっていないことは、ありますか?
秋本編集長:エンタメを楽しみたいと思う根本的な欲は変わらないと思うんですけどね。漫画やアニメの読解力も昔よりは上がってると思いますよ。積み重ねて、変わっていってるんだろうなぁ。
ただ、今の子どもたちは忙しいのがネックですよね。やっぱり仲間は必要で、親が加われない子どもたちだけの場所や時間があったほうがいいですよね。
小学生男子のことなら、コロコロにお任せ!
――男の子の気持ちが分からなくなってくる(思春期手前の男の子)がいる親御さんに向けて、励ましのメッセージをお願いします。
秋本編集長:男の子には潜る時間が絶対にあるんですよ。何かを見つけたことや、見つけたいと思っていることを、人に知られたくないとか、自分でもよく分からない。それで口に出さなくなるような時があると思います。新しい情報や知らない世界をどんどん掘り下げていく段階ですから、その世界観を見守ってあげてください。
我々がお行儀を問わない世界の中で、友達との勝ち負けとか、ルールは守りつつ楽しんでもらえるよう、面白いこと、発散できることを子どもたちに提供し続けます。男児の気持ちがわからなくなったら、いったん放っておいて我々に預けてください!
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撮影/五十嵐美弥
取材・文/やまさきけいこ