食物アレルギーとは?治療と予防、三大アレルゲンとの付き合い方【アレルギー専門医監修】

子どもに多い食物アレルギーは、重症だと命にかかわることもある病気。今回は、食物アレルギーの治療の基本と予防に役立つ知識を、アレルギー専門医の澁谷紀子先生にお聞きしました。

三大アレルゲン(=原因となる食物)は、卵、牛乳・乳製品、小麦。

食物アレルギーのアレルゲンは人によって異なりますが、とくに多いのは、卵、牛乳・乳製品、小麦です。食物アレルギーの多くは、アレルゲンを初めて食べたり飲んだりしたときに起こります。アレルギーの有無やアレルゲンを知るため、初めての食品は一度に1種類、まずは少量から食べさせるようにしましょう。

また、子どもの食物アレルギーを予防するため、妊娠中や授乳中の母親はアレルゲンとなりやすい食品をとらないほうがよい、などと言われることがありますが、これは根拠のないこと。母親と子どもの健康を守るため、いろいろな食品をバランスよく食べることが大切です。

症状が出たら、食べたものについての記録を持参して早めの受診を

食物アレルギーが疑われる症状が出たときは、早めに病院へ。その際、食べたものの種類や量、症状が出るまでの時間などを記録しておくと診察に役立ちます。病院では問診に加え、必要に応じて皮膚検査や血液検査、原因と思われる食品を少量食べさせる検査などを行うこともあります。

治療が必要な場合は、必ず医師の指示に従って食品の除去(その食品を食べないこと)などを行います。食物アレルギーの場合、成長とともに原因となる食品を食べられるようになることが多いため、「除去=一生食べられない」というわけではありません。病院では定期的に再評価をし、それぞれの子に合った食べ方を指導していきます。

自己判断で食品の除去をしないこと!

病院での検査では、アレルゲンを推定することが可能です。ただし、検査の結果はあくまで「アレルギー反応を起こす可能性」を示す目安。実際には、食べても症状が出ないことも多いのです。医師は、実際の症状の経過と検査の数値などを参考にし、アレルギー反応がでる可能性を予測したうえで、食べさせ方などを指示しています。「心配だから」という理由で、自己判断で食品の除去を行うのはやめましょう。食べさせる時期が遅くなることで、食物アレルギーを発症する可能性が高まることもあるからです。

食物アレルギーを心配して離乳食開始前などに検査を希望する保護者もいますが、原則として、症状が見られない段階で検査をする必要はありません。ただし重度のアトピー性皮膚炎がある場合には、医師から離乳食開始前の検査を勧められることもあります。

 

「早い時期から食べさせる」ことが予防に役立つ

以前は、アレルゲンとなりやすい食品は消化機能が発達するまで食べさせないほうがよい、とされていました。でも最近では、いろいろな食品を早い時期から食べさせることが食物アレルギーの予防に役立つといわれています。これは、食物アレルギーを発症するしくみに関する考え方がかわってきたため。たとえば卵なら、卵黄を生後6カ月ごろから食べさせることが勧められています(※)。ただし、すでに食物アレルギーを発症している場合や、重度のアトピー性皮膚炎がある場合は、医師に相談しながら離乳食を進めるようにしましょう。

厚生労働省のサイト「授乳・離乳の支援ガイド」もチェックしておくと安心です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html

アレルギー反応は、原因となる物質が初めて体内に入ったときに「抗体(特定のものを異物と認識する物質)」がつくられ、2回め以降に入ってきた原因物質に反応するために起こります。でも食物アレルギーの多くは、初めてその食品を食べたときに症状が現れます。これは、アレルゲンとなる食品を食べる前に、傷ついた皮膚を通して食品の成分が体内に入っているためだと考えられるようになりました。ただし同じ食品でも、最初に「食べた」場合は、「異物」とみなされにくいのです。

つまり食物アレルギーの予防には、早めに「食べる」ことが有効。そのため、早い時期に多くの種類の食品を食べることが勧められているのです。

湿疹は食物アレルギーのリスクを高めます。日頃からスキンケアを心がけましょう

食物アレルギーを予防するためには、早い時期からいろいろな食品を食べさせることに加え、皮膚を健康に保つことも大切です。人の皮膚には、表面(角質層)がうるおいを保つことで外部からの異物の侵入を防ぐ「バリア機能」が備わっています。バリア機能が正常に働いていれば、アレルゲンとなる食品に触れただけで成分が体内に入ることはありません。でも、肌荒れや湿疹などによって皮膚が傷ついているとバリア機能が低下し、アレルゲンの成分が皮膚から体内に侵入しやすくなると考えられています。

バリア機能を守るためには、日ごろから保湿を心がけることが基本。湿疹や肌荒れは、すぐにケアを。アトピー性皮膚炎は、医師の指示に従って正しく治療することが大切です。

監修/澁谷紀子先生

総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長

専門は小児アレルギー。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。これまで数多くの子育て雑誌で、保護者向けに病気や予防について解説を担当。的確なアドバイスには定評がある。監修した書籍に『はじめてママ&パパの0~6才 病気とホームケア』(主婦の友社)、『0~5歳児 病気とケガの救急&予防カンペキマニュアル』(学研プラス)がある。

構成/野口久美子

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