餞別の意味
異動や退職などの餞別が必要な場面では、正しい意味を知らないと間違った品物選びや贈り方をしてしまう恐れがあります。餞別の意味や、言葉の由来を見ていきましょう。
別れのしるしに贈る品
餞別とは別れの際に品物を渡すことや、贈り物自体を指す言葉です。異動や退職などのさまざまな場面で、お世話になった人や親しくしている相手との別れがやって来ます。
別れに際して、これまでの感謝を示し、新しい門出の幸運を祈って餞別を渡しましょう。「餞」は訓読みで「はなむけ」と読みます。
昔は道中の安全を願って、旅立つ人の馬の鼻先を、進む方角に向けて見送る習慣がありました。この風習が餞別の由来とされます。
餞別の選び方
餞別が必要になったとき、何を贈ったらよいのか悩む人もいるでしょう。適切な知識が不足していると、餞別向けでない品物を用意してしまう心配があります。
ふさわしい品物を選びやすくなるように、相場や定番の品、餞別に向いていないアイテムをチェックしていきます。
餞別の相場
餞別の相場は、別れる相手との関係性によります。上司や先輩には約5,000~1万円、同僚などには約3,000~1万円が相場です。気軽な間柄であれば、1,000円程度のものを渡しても失礼にはなりません。
同じ部署内で異動になった人に餞別を渡す場合などは、連名で贈ることもあります。職場の慣習にもよりますが、1人当たり1,000~3,000円程度を目安に集めるケースが一般的です。
また餞別の品物が高過ぎると、相手を恐縮させてしまいます。気を遣わせないように、相場を意識した適度な金額にしましょう。
餞別におすすめの定番
餞別に定番の品物といえば、寄せ書き・生花・日持ちするお菓子などです。これらは、相手の年齢や性別を選ばずに贈れます。
旅立つ相手へのメッセージと名前を記した寄せ書きは、お金に換算できるものではありません。一緒に働いた人たちとの思い出が詰まった、オンリーワンの贈り物になります。
花束やフラワーアレンジメントといった生花は、お祝い事に付きものです。贈りたい相手のイメージに合わせて、色や種類を選ぶ方法もあります。
お菓子も餞別の定番であり、甘いものが好きな人には特に喜んでもらえます。ただ、その日のうちに食べられるとは限らないので、焼き菓子や干菓子などの日持ちするものを選ぶのがマナーです。相手の好みも考慮しながら選びましょう。
年代・関係性で選ぶおすすめの餞別
お別れする人の年代や関係性によっても、どのような品物がふさわしいかは異なります。同僚や後輩へは、異動先や転職先でさらに活躍できるように、エールを込めた品物を選ぶとよいでしょう。
例えば、名刺入れ・定期入れなどの新しい職場で使えそうな小物や、疲労やストレスを和らげる効果が期待できるマッサージグッズ・スキンケアグッズなどがおすすめです。
長年共に働いてきた同僚など、よく知っている間柄なら、具体的な相手の好みに合わせるとよいかもしれません。
NGな贈り物も
中には、餞別に向いていない品物もあります。誤って選ばないように注意しましょう。例えば、ハンカチは漢字で「手巾」と表し、訓読みすると「てぎれ」と読めることから、手切れをイメージさせ縁起がよくないとされます。
また、目上の人に時計や筆記用具を贈ると「もっと努力するように」といった、上から目線の印象を与える恐れがあります。同僚や後輩に贈る分には問題ありませんが、上司への餞別には向きません。
スリッパ・靴下・絨毯などの足の下に敷くものも「踏みつける」という意味になり、失礼だと感じさせる場合があります。ただし、相手から「これが欲しい」とあらかじめ指定されたのであれば、贈っても失礼にはなりません。
餞別のマナー
どのような品物を選ぶか以外にも、注意したいマナーがあります。品物自体に問題がなくても、失礼だと感じさせてしまう場合があるので、注意点を事前にチェックしておきましょう。
餞別に熨斗(のし)をかけるときの表書きや水引の選び方、渡すタイミングを紹介します。
餞別の熨斗の書き方
餞別に熨斗をかける場合は、表書きに「御餞別」と書くことが一般的ですが、相手との関係性や退職する理由によっても変わります。
目上の人に贈る場合、「御礼」と書きます。定年退職する上司に渡す場合は「御退職御祝」が適切です。
結婚が理由で退職する場合は「御結婚御祝」としても構いません。転職や独立して起業するケースでは「おはなむけ」とも書きます。
一般的な餞別に使う水引は紅白蝶結び、結婚が理由で退職する場合は紅白の結び切りを使うのがマナーです。表書きの下には、贈り主の名前を記載します。連名の場合は「○○一同」のように書きましょう。
餞別を渡すタイミング
お世話になった人や同僚の異動や退職が決まったら、早く餞別を用意しなければと考えがちです。しかし、渡すタイミングが早すぎると、早く別れたがっているような印象を与えてしまいます。
誤解を招かないようにするには、別れが決まってから1~2週間以内に渡せるように準備しましょう。最後の出勤日は持ち帰る物が多くなりがちなので、前日か前々日などに、渡せそうなタイミングを見つけて渡します。
個人的に渡したいときは、餞別を用意していない人たちが気まずい思いをしないように気を付けます。贈る相手と二人になるタイミングを選び、目立たないように渡すのがおすすめです。
最後のあいさつをするタイミングや、送別会で渡すこともできます。手渡しできない場合は、自宅宛てに郵送しても構いませんが、直接渡せなかったことを謝罪する一文を添えると丁寧です。
餞別をもらった場合お返しは必要?
基本的には餞別のお返しは用意しなくて構いませんが、職場の慣例として何らかのお返しをすることもあります。餞別へのお返しがしたい場合、新しい環境に慣れ、落ち着いたタイミングでお礼状を送るのが一般的です。
どうしても感謝の気持ちを伝えたいといった事情があるなら、以前の職場に手紙を添えたお菓子を送っても問題ありません。
送り出した側が「元気にしているだろうか」と思っているなら、近況を知らせれば安心してもらえるでしょう。
5,000円以下で選ぶおすすめ品
5,000円の予算があれば、餞別としてもらうとうれしい、さまざまな品物を選べます。お世話になった目上の人や同僚におすすめな、5,000円以下の品物を見ていきましょう。
資生堂パーラー「菓子・プリン詰め合わせ」ECN35
資生堂パーラーの人気商品、チーズケーキ・ビスキュイ・カスタードプリンの詰め合わせです。おしゃれなパッケージは、餞別にぴったりです。
賞味期限は製造日より60日で、長期間の保存にも向いています。気が向いたタイミングで食べられるので、喜ばれるでしょう。
チーズケーキは素材にこだわり、北海道産小麦粉やデンマーク産のクリームチーズを使用しています。ビスキュイのフレーバーは、キャラメル・シュクレ・キャラメリゼと3種類です。
カスタードプリンはジャージー牛のミルクが使用され、ぜいたくな味わいを楽しめます。
モルトンブラウン「オレンジ&ベルガモット ハンドローション」
モルトンブラウンは、英国王室御用達の、環境に優しい製品作りにこだわったフレグランスメーカーです。「オレンジ&ベルガモット ハンドローション」300mLは、乳液タイプの軽いテクスチャーと、豊かな香りが特徴です。
スペインの街セビリアをイメージした、オレンジオイル・マンダリン・ネロリがブレンドされています。ハンドケアをしながら清々しい香りを楽しめる、ブランドのベストセラーアイテムです。
スガハラ「デュオ:オールド」DU-16A
ガラスならではの色彩や輝きにこだわるガラス工芸メーカー、スガハラの代表作です。ウイスキーをロックで楽しむような、お酒好きの人に喜ばれるでしょう。
ハンドメイドのオールドグラスで、ずっしりとしており、高級感があります。層になったような独創的なデザインも、魅力の一つです。
サイズは約90×82mm、容量は約230mLで、アンバー・インディゴブルーなどの色違いが用意されています。そのまま戸棚に置いて、インテリアとしても十分楽しめます。
5,000円以上のおすすめ品
5,000円以上の予算がある場合は、高級なスキンケアグッズや、上質な革小物も選択できます。特にお世話になった人への餞別にしたい、5,000円以上のおすすめ品をチェックしましょう。
バウム「アロマティック ハンドケアセット」
肌に優しい成分を使用した、ハンドウォッシュとハンドクリームのセットです。天然樹木などの成分を調香した、モダンな香りを楽しめます。
ハンドケアするたびに、まるで森林浴をしているかのようにリフレッシュできるでしょう。ナチュラルな雰囲気ながらも、洗練されたパッケージデザインも特徴的です。
樹木や植物をデザインしたギフトボックスからも、高級感が漂います。容量はハンドウォッシュが約300mL、ハンドクリームが約75gで、防腐剤・シリコーン・合成着色剤フリーです。
エンダースキーマ「key bundle」
性別を選ばない、スマートなデザインのキーケースです。ポケットにしまえるほどコンパクトサイズでありながら、4本のキーを取り付けできます。
スナップボタンで簡単に開閉でき、ストレスを感じさせません。使い込むほどに味の出る牛革を使用しており、経年変化を楽しめるところが魅力です。
ナチュラルやブラックなどのベーシックなカラー展開の中から、贈りたい相手に合うものを選びましょう。
餞別で感謝の気持ちを伝えよう
餞別は異動や退職などで離ればなれになる上司や同僚に品物を渡す行為や、品物そのものを指す言葉です。相手に気まずい思いをさせず、気持ちよく受け取ってもらうためにも、金額の相場やNGな品物の知識を押さえ、表書きの書き方などにも注意することが大切です。
餞別の品は、お菓子やスキンケアグッズといった消えものや、日常使いできる小物などを相手の好みに合わせて選ぶと、喜ばれる可能性が高まります。お世話になった相手への感謝や応援の気持ちを込めて、すてきな餞別を用意しましょう。
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構成・文/HugKum編集部