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サントメ・プリンシペってどんな国?
サントメ・プリンシペは、ギニア湾に浮かぶ2つの島からなる国。火山島のサントメ島とプリンシペ島で、原生林が広がり、固有種である動植物が数多く生息しています。
ポルトガルの植民地でしたが、独立運動の末、1975年に独立しました。そんなサントメ・プリンシペとはどんな国なのか見ていきましょう。
サントメ・プリンシペ基本情報
まずは、サントメ・プリンシペの場所や人口、面積などをご紹介します。
国名
サントメ・プリンシペ民主共和国
首都
サントメ
日本との時差
9時間
日本のほうが、サントメ・プリンシペより9時間進んでいます。
面積
1001㎢
東京都の面積が約2190㎢なので、サントメ・プリンシペの面積は東京都の面積のおよそ半分です。
エリア
サントメ・プリンシペがあるのは、ギニア湾。ギニア湾はアフリカ西側にある大きな湾で、サントメ・プリンシペは、そのギニア湾に浮かんでいます。
首都のサントメがあるサントメ島は赤道のすぐ近くで、ガボンや赤道ギニアの西側にあたります。プリンシペ島は、サントメ島から北東約150㎞離れた位置にあります。
人口
22万7000人
東京都の人口が約1400万人ですから、サントメ・プリンシペの人口は東京都の人口のおよそ1.6%にあたります。
言語・公用語
ポルトガル語
通貨
ドブラ(Dobra)
100ドブラ=0.7円(2024年3月25日時点)
宗教
キリスト教
歴史
サントメ島もプリンシペ島も、もとは無人島でした。1470年頃にポルトガルの船がこれらの島を見つけて、ポルトガルの植民地となりました。
植民地時代は、アフリカ大陸から多くの人がサントメ・プリンシペの農園で働かされており、その中でも多く生産されたのがカカオでした。しかし人々は過酷な労働条件や貧困に苦しみ、やがて独立を求める声が高まっていったのです。
そして独立戦争の末、1975年にポルトガルから独立して、ダ・コスタ大統領の政権が誕生しました。
天気・気候
サントメ島は赤道のほぼ真下に位置するため、熱帯海洋性気候です。
サントメ島でもプリンシペ島でも、激しい雨が降り、年間を通して高温多湿です。季節は雨季と乾季に分かれています。
サントメ・プリンシペの治安・住みやすさ
サントメ・プリンシペの治安や住みやすさはどうでしょうか?
治安は比較的良好だが注意が必要
サントメ・プリンシペでは、2022年11月にクーデターが起きて未遂に終わりました。しかし比較的情勢は安定していて、外務省「海外安全ホームページ」によると、全土で「十分注意」のレベル1が発令されています。
首都サントメを中心に、インフレ率が高く、失業率も高いことから、強盗、スリ、ひったくりなどの犯罪が起き、薬物の蔓延もあります。
外出する際は、貴重品と多額の現金は持ち歩かず、スマートフォンを手に持ったまま歩くこともしないように気を付けましょう。暗い時間は外出せず、昼間であっても人気がないような裏通りなどは避けるといった注意をしましょう。
住みやすさは「不十分」
サントメ・プリンシペはインフラの整備がまだ整っていない部分があり、ポルトガル、フランス、アンゴラなどの経済協力を得ています。治安面で比較的良好とは言え、日本に比べるとずっと危険度は増すため、決して住みやすい場所とは言えないでしょう。
サントメ・プリンシペの見どころ・観光
サントメ・プリンシペは観光業にも力を注いでいますが、世界でも観光客が少ない国として有名です。その分だけ、ゆっくりと観光スポットを見てまわれるという特徴があります。では、サントメ・プリンシペの観光スポットや見どころは何でしょうか?
動植物の楽園
サントメ・プリンシペの最大の特長は、緑豊かな自然とそこに生息する動植物の存在。サントメ島の原生林には800種もの植物が生息していて、その中にはサントメ島固有のものも多くあると言われています。
サントメ・プリンシペは赤道直下の国であるため、年間を通して温かく、さらに周囲が海に囲まれているため、緯度の低さのわりにはそれほど暑くなることもありません。また火山島であることから、島内はさまざまな標高の地があり、多くの植物が生息しているのです。
ピコ・カン・グランデ
ピコ・カン・グランデは、火山の噴出口で固まったマグマが、周辺の土や岩の浸食によって削られ表に出てきた「火山岩栓」。地上から300mもの高さがあり、周囲の緑の中に柱のようにそびえ立っています。
数千年前にできたものと考えられていて、サントメ島の象徴的な存在になっています。
ちなみにピコ・カン・グランデの名前は、「偉大な犬の峰」という意味があるそうで、世界中のロッククライマーがここを登ろうとやってきます。
ロラス島
サントメ島のすぐ近くにはロラス島という小さな島があります。ロラス島は赤道直下で、赤道が陸地を通っています。そこにあるのが、赤道記念碑で観光スポットのひとつです。
サン・セバスチャン砦
サントメ島もプリンシペ島も海に囲まれた島。そのため、海賊などの攻撃に合う可能性があります。そこで1575年にポルトガル人が建てたのが、そのような攻撃から守るためのサン・セバスチャン砦。現在は博物館として観光スポットになっています。
サントメ・プリンシペの特徴・有名なもの
サントメ・プリンシペで有名なものもご紹介しましょう。
カカオ・チョコレート
プリンシペ島はカカオの生産でも有名です。火山灰質の土壌がカカオの栽培に最適だったことから、19世紀にはカカオ栽培地として大きく発展した歴史があります。1900年代初めには「チョコレートの島」と呼ばれたほど。
サントメ・プリンシペの国旗には、緑と黄色、赤が使われていますが、緑は豊かな自然、赤は独立戦争で人々が流した血、そして黄色はカカオを表しています。
しかし独立後にカカオ価格が下落したことで、生産量が落ちてしまいました。現在は生産量が少なく貴重なことから、サントメ・プリンシペのカカオは「ピュアオリジナル」や、一級品を意味する「プルミエ・クリュ」などと呼ばれています。
アインシュタインの相対性理論を実証した場所
「周囲よりも速く動く物質は、周囲から見ると縮んで見える。人も飛行機も、動いているものは、止まっているものから見ると縮んで見える」そんな相対性理論を唱えたのが、アインシュタインです。
そして、1919年5月29日にあった皆既日食をイギリス人の天文学者がプリンシペ島で観測して、相対性理論が正しいことが実証されたのです。
日本から遠く離れたサントメ・プリンシペ
サントメ・プリンシペは西アフリカにある人口22万人の小さな国。日本からは遠く離れているため、その存在すら知らなかった方も多いかもしれません。
でもカカオが作られるなど、もしかしたら私たちが口にしたチョコレートがここで作られたものという可能性だってあるでしょう。また、アインシュタインの相対性理論が証明された地というエピソードも印象的ですね。
この記事をきっかけに、そんなサントメ・プリンシペに興味を持ってみてはいかがでしょうか?
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文・構成/HugKum編集部