目次
注意が必要①一度使ったオイルは捨てる
【データ・事実】
- ◆ 一度使ったオイルは酸化しているので毒同然。
- ◆ 酸化したオイルは血管を傷つける。
- ◆ 酸化したオイルはシミやしわのもとになる。
【こうして食べる】
- ◆ 調理には、新鮮なオイルを使用する。
- ◆ 揚げ物は極力控える。
どうして二度目のオイルはよくないの?
オイルは、加熱すると「酸化」します。酸化したオイルを摂ると、カラダの中も酸化します。酸化は老化と言い換えることができ、病気になりやすくなります。酸化現象は、空気、温度、光が原因で起きます。新鮮なりんごを切ってそのまま置いておくと、切った面がだんだん茶色くなりますね。これはりんごの表面が酸素(と温度)で酸化したからです。また、クギを屋外に雨ざらしで置いておくと、やがてサビていきますが、これも酸化です。使用済みのオイルは酸化しています。酸化したものを体内に入れると、私たちの細胞も酸化してサビたようになり、病気になりやすくなるということです。
そして、一度加熱したオイルを摂ると血管を傷つけて、動脈硬化のもととなります。ひいては心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなります*1。
*1 Idris CAC, et al. Effect of Consumption Heated Oils with or without Dietary Cholesterol on the Development of Atherosclerosis. Nutrients. 2018 Oct 17; 10(10):1527.
注意が必要②肉の脂と鶏皮はカットする
【データ・事実】
- ◆ 肉の脂肪は飽和脂肪酸で、カラダに悪い脂。
◆ 牛脂、ラードも同様にカラダに悪い。
◆ 鶏肉の皮は高カロリー。
【こうして食べる】
- ◆ 脂身、脂はカットする。
◆ 鶏肉の皮は、はがして調理する。
◆ 調理に牛脂、ラードは使わず、植物油に置き換える。
肉の脂身、ラードはカラダに悪い?
牛肉、豚肉、鶏肉の脂身(あぶらみ)や脂は飽和脂肪酸で、これは血管を傷つけて心臓の病気や脳梗塞などをもたらします*2。私たちのカラダには悪い脂です。そして、シミ、しわ、たるみなどの遠因にもなるので皮膚にもよくありません。さらに脳の酸化(記憶力や判断力の低下など)も引き起こします。肉の脂はカットするのがおすすめです。肉を買うときにばら肉や肩肉といった白い脂の多い部位は可能な範囲で避けて、赤身を選ぶことをおすすめします。
ラード(豚の脂)を使った揚げ物はカラッと揚がっておいしいのですが、健康面ではおすすめできません。精肉店から牛脂をもらったり、肉のパックに入っていたりしても、使わないようにしましょう。
鶏肉の皮や脂には悪玉コレステロールが含まれます。悪玉コレステロールが増えると血管を傷つけて、心臓や脳の病気のもととなります。また、カラダの中の酸化が進んでシミやしわのもとになり、脳の酸化が進んで脳の機能も下がります。少し面倒ですが、皮はカットするのがおすすめです。
*2 de Oliveira Otto MC, et al. Dietary intake of saturated fat by food source and incident cardiovascular disease: the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis. Am J Clin Nutr. 2012 Aug; 96(2):397-404.
注意が必要③スポーツドリンクは飲みすぎ注意
【データ・事実】
- ◆ 500㎖のスポーツドリンクには角砂糖8〜12個分の糖が含まれる。
◆ 毎日多量に飲んでいるとペットボトル症候群という症状が起きることがある。
◆ 骨が弱くなったり、皮膚がかゆくなったりすることもある。
【こうして食べる】
- ◆ 日頃から水やお茶など、甘くないドリンクを飲む。
◆ スポーツドリンクや経口補水液は、熱中症予防時やスポーツをするとき、おう吐や下痢で脱水が心配なときなどに飲む。
なぜスポーツドリンクは要注意なの?
一般的なスポーツドリンク500mlのなかには、約30〜40g(大さじ約3〜4杯弱分、角砂糖約8〜12個分相当)の糖が含まれています。炭酸飲料や甘い清涼飲料水にはもっと多くの糖が含まれています。WHO(世界保健機関)では、1日に摂取する砂糖の量は25g(小さじ約6杯)までとしています。スポーツドリンクには明らかに多くの糖が含まれていることがわかりますね。「毎日飲む」「日常的に飲む」のは避けましょう。スポーツドリンクは運動のときや、発熱やおう吐が続いて食事が摂れないときに限って飲むのがよいでしょう。
あるいはそのようなときには、経口補水液を摂ります。経口補水液の糖分濃度は約2%です。市販のスポーツドリンクが濃い場合は、水で薄めるとよいでしょう。
甘くて冷たい飲み物は、つい一気にグビグビ飲み干したくなりますね。喉がうるおったように感じて爽快感があり、クセになることがあります。しかし毎日、一気に飲んでいると、
- ●喉が異常に渇く
●尿が多量に出る
●吐き気がする
●カラダがだるい
など、糖の過剰摂取によるペットボトル症候群と呼ばれる症状が起きることがあります*3。1か月以上、毎日1.5ℓ以上甘いドリンクを飲んだ場合に起きることが報告されています。
*3 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000044/44089/No.27herusurisa-chi.pdf (2022年11月20日)
注意が必要④牛乳は1日1杯までにする
【データ・事実】
- ◆ 牛乳は、飲みすぎると牛乳貧血になる。
◆ 牛乳の代わりに、アーモンドミルク、オーツミルクがよい。
◆ アーモンドミルクは1杯(200㎖)で1日のビタミンE摂取目安量を超える。
◆ オーツミルクは食物繊維が豊富。
【こうして食べる】
- ◆ 牛乳を飲むなら、1日1杯まで。
◆ アーモンドミルク、オーツミルクはシリアルにかけたり、無糖ココアを混ぜたりするのもおすすめ。
牛乳を飲みすぎると何が起きるの?
「牛乳を飲むと背が伸びる」と、誰もが一度は聞いたことがあるはずです。熱心にお子さんに牛乳を出している親御さんも多いと思います。しかし、牛乳は鉄の吸収を阻害してしまうため、毎日ガブガブとたくさん飲んでいると鉄が不足して*4~7牛乳貧血になることがあります。1日200㎖ぐらいまでを目安にしましょう。
1日に2杯以上の牛乳を飲むなら、そのうちの1杯をアーモンドミルク、もしくはオーツミルクなど、お好みの植物性ミルクに置き換えるとよいですね。アーモンドミルクは乳白色なので、「アーモンド入りの牛乳?」と思うかもしれませんが、おもな原料はアーモンドと水です。アーモンド自体に強い抗酸化物質であるビタミンEが豊富に含まれているため、アーモンドミルクもビタミンEが豊富です。1カップ(200㎖)に10㎎のビタミンEが含まれています。
オーツミルクはオート麦からできた植物性ミルクです。コップ1杯(200㎖)中に3gの食物繊維が含まれます。ちなみに1日あたりの食物繊維の摂取基準は、6〜7歳児で10ℊ以上、8〜9歳児で11ℊ以上、10〜11歳児では13ℊ以上となっています。なお、オーツミルク1杯に含まれるカルシウムの量は、アーモンドミルクの4倍で、牛乳に匹敵します。
- *4 Kazal LA Jr. Prevention of iron deficiency in infants and toddlers. Am Fam Physician. 2002; 66(7): 1217-1224.
- *5 Sadowitz PD, et al. Iron status and infant feeding practices in an urban ambulatory center. Pediatrics. 1983; 72(1):33-36.
- *6 Tunnessen WW Jr, et al. Consequences of starting whole cow milk at 6 months of age. J Pediatr. 1987; 111(6 pt 1):813-816.
- *7 Pizarro F, et al. Iron status with different infant feeding regimens: relevance to screening and prevention of iron deficiency. J Pediatr. 1991; 118(5):687-692.
注意が必要⑤ウインナーやハムは可能な限り無添加
【データ・事実】
- ◆ 加工肉を食べすぎるとがんリスクが上がる。
◆ 窒素系発色剤などを含む食材の摂りすぎで「寿命が短くなる」というデータあり。
【こうして食べる】
- ◆ ハム、ソーセージは、一度ゆでてから食べる。
加工肉を食べすぎるとどうなるの?
2015年のIARC(国際がん研究機関)の調べで、加工肉をたくさん食べることでがんリスクが上がることがわかり、ハム、ソーセージは「がんになりやすい商品群」である「Group 1」に分類されました*8。
一般的なハム、ソーセージに含まれる添加物は、
- ●保存料、防腐剤、着色料などであるリン酸塩
●調味料として使われるアミノ酸
●発色剤(亜硝酸ナトリウム)
などで、これらには発がん性物質が含まれています。また、脂肪が多い加工肉は体を酸化させます。添加物を含む食品を多く摂ると、そうでない場合に比べて総死亡率(添加物を含む食品を摂った人が、死因にかかわらず亡くなった数の割合)が上がるという研究もあります*9。ハム、ソーセージを選ぶときは、食品の栄養成分表示を見て、可能な範囲で無添加のものを選ぶとよいでしょう。
ただし、日本人の加工肉の消費量は欧米ほどではないので、ソーセージを1日に1〜2本食べたからといってがんになるわけではありません。IARCで参照された研究では、加工肉を50g多く食べると結腸がんの相対リスクが18%上がるという結果が出ています*10。
ハムやソーセージなどの加工肉はゆでて食べることで発がんリスクが下がることが、2015年にWHOから発表されています。フライパンやグリルで焼くとリスクが上がってしまうことも報告されています。
- *8 https://www.iarc.who.int/wp-content/uploads/2018/07/pr240_E.pdf (2022年11月20日)
- *9 Zhong VW, et al. Associations of Processed Meat, Unprocessed Red Meat, Poultry, or Fish Intake With Incident Cardiovascular Disease and All-Cause Mortality. JAMA Intern Med. 2020; 180(4):503-512.
- *10 https://www.uicc.org/news/how-interpret-iarc-findings-red-and-processed-meat-cancer-risk-factors#:~:text=The%2018%25%20increase%20means%20the,known%20as%20%E2%80%9Crelative%20risk%E2%80%9D (2022年11月20日)
食べない&食べる時工夫にしてみよう!
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構成/本間綾