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赤ちゃん・乳幼児にも紫外線対策が必要な理由とは?
紫外線を浴びると、細胞の核と呼ばれるDNAに傷がつきます。子どもは大人よりもDNAの再生能力が高いけれど、日焼けをしていると修復再生を盛んに繰り返して成長していくことに。傷ついたDNAが多ければ、それだけ修復量も増えます。そのうち修復しきれない細胞もでてきて、それが癌化しやすくなります。
つまり、小さい頃から紫外線を浴び続けていると、皮膚癌のリスクが高くなってしまうのです。また、日焼けは皮膚に炎症を起こすので、かゆみが出たり、水ぶくれなどのやけど状態になったりすることも。乳幼児の皮膚は薄く、日焼けから肌荒れを起こしやすいので、紫外線対策はきちんとすべきなのです。
子どもの紫外線対策は、歩くか歩かないかによって違う!
歩かない赤ちゃんは紫外線に当たらない対策をすればOK
まだ歩かない赤ちゃんは、外出時に抱っこ紐やベビーカーを使いますよね。それなら、帽子や日よけカバー、通気性の良いブランケットなどを使って、物理的に紫外線を防げばOK。外で遮光できない環境にいなければ、日焼け止めを塗る必要はありません。
歩き回り始めたら日焼け止めも使って紫外線対策を
歩き始めたら、物理的な遮光だけでは紫外線を防げなくなってくるので、夏に外出するときは日焼け止めも使うようにしましょう。日焼け止めだけで紫外線を100%防ぐのは不可能なので、帽子をかぶったり、海やプールなどで水遊びをするならラッシュガードを着せたり、炎天下にずっといないように木陰のある公園を選んだり、遊ぶ時間を工夫することも忘れずに。
赤ちゃん・乳幼児の日焼け止め、正しい選び方
日焼け止めのSPF値とPA値とは?
日焼け止めに表記されているSPFとPA。これは何を示しているか、おさらいしましょう。
◆SPF(Sun Protection Factorの略)とは?
皮膚を赤くしてやけどをさせるUV-Bを防ぐ効果指数のこと。塗った時に、塗らなかった時より皮膚が赤くなる時間をどれだけ遅らせられるかを数字で表している。数値は1~50+まであり、SPF1で約20~25分防ぐことができ、数値が大きい方がUV-Bの防御効果が高い。
◆PA(Protection grade of UV-Aの略)とは?
皮膚の奥まで届いて、DNAの損傷やシワやたるみの原因となる光老化を起こすUV-Aを防ぐ効果指数のこと。UV-Aは一時的に肌の黒化も引き起こす。数値は4段階の「+」マークで表記され、「+」の数が多いほどUV-Aの防御効果が高くなる。
日焼け止めで紫外線を防ぐふたつの成分について
日焼け止めで紫外線を防ぐには、「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」のふたつの成分があります。「紫外線散乱剤」は、肌の上で紫外線を跳ね返すもので、一般的に「紫外線吸収剤」よりも肌に刺激が少ないと言われていますが、「紫外線散乱剤」だけでは高SPF値やPA値の日焼け止めを作ることはできません。一方の「紫外線吸収剤」は、紫外線を一度吸収して熱とともに放出するもの。白浮きしにくかったり、伸びがよく塗り心地がよかったり、汗をかいてもくずれにくいなどのメリットがあります。
子どもの肌に「紫外線吸収剤」はよくない?
乳幼児用の日焼け止めに、「紫外線吸収剤不使用」や「ケミカルフリー」と書かれたものが多くあります。そのせいか、紫外線吸収剤(=ケミカル)は、子どもの肌にあまりよくない印象を持つ人もいるかもしれません。確かに、紫外線を吸収して熱を出すので、皮膚が完全ではない乳幼児にとって、「紫外線吸収剤」自体が負担になる場合もあります。それゆえ、メーカーによっては、乳幼児用の日焼け止めに「紫外線吸収剤不使用」を推奨しているところが多くあります。
赤ちゃん・乳幼児に必要な日焼け止めの数値はシーンによって使い分けを!
乳幼児も大人と同様に、UV-AもUV-Bも防ぐ必要があります。公園遊びや日中に出かけるといった日常生活なら、SPF値は20~30くらい、PA値は「+」~「++」くらいのもので十分でしょう。このくらいの数値であれば、「紫外線散乱剤」のみでできている日焼け止めが多くあります。
しかし、紫外線量の多いレジャーへ行くときは、SPFもPAももっと高い数値の方が適しています。つまり、「紫外線吸収剤」が入っていても、高い数値の日焼け止めの方がいい場合もあります。また、水に強いウォータープルーフタイプもありますが、これは専用の洗浄剤(クレンジング)が必要になります。クレンジング剤が肌の負担になったり、日焼け止めが肌に残ってトラブルの元になることも。何が必要かはケースバイケースなので、適材適所なものを使い分けるようにましょう。
日焼け止めで大事なことはこまめな塗り直し!
SPF50の日焼け止めなら、長時間塗りなおさなくてもいいということではありません。汗や皮脂、摩擦などで日焼け止めは落ちてしまうので、必ずこまめに塗り直しをしましょう。また、最初にも伝えた通り、日焼け止めで紫外線を100%防ぐことは不可能に近いので、日焼け止め+帽子やラッシュガードなど、物理的なアイテムを組み合わせるようにしてください。
日焼け止めの使用月齢の目安は?
商品によって使用月齢の目安が書かれているものがあります。これは、あくまでメーカーが推奨しているもので、表記された月齢に使っても大丈夫という検査をしているというサイン。厚生労働省などで「1歳未満は使ってはいけない」などと言った規定はありません。
日焼けをした後は必ず保湿ケアを!
保湿は必ず!冷やしタオル&ぬるま湯シャワーも効果的
日焼け止めを塗っていたとしても、日焼けをした肌は軽いやけど状態になっています。肌が乾燥しているので、きちんと日焼け止めを落としてから、しっかりと保湿をしましょう。
肌が火照っているようであれば、冷やしてあげてください。冷やし方は、水で濡らしたタオルを置いておくだけでOKです。刺激を与えない方がいいので、氷で冷やすのはやめてください。また、熱いお風呂も避けた方がいいので、ぬるま湯のシャワーを使うだけにしましょう。
赤ちゃん・乳幼児にオススメの日焼け止め6選
【日常使いの日焼け止めBEST3】紫外線吸収剤不使用&石けんで落とせる!
紫外線吸収剤不使用なので、肌の負担も少なく、石けんでするんと落とせるので、使用後の洗い流しもストレスなく使えるものをピックアップしました!紫外線の多くなる春先から秋の初めまで、日常づかいするのにおすすめの日焼け止めです。
【1】ユースキン「ユースキンS UVミルク SPF25/PA++」
無香料、無着色、弱酸性の低刺激処方。潤い成分であるしその葉エキス配合で、紫外線を防ぎながら潤いを与える。
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【2】ビーバイ・イー「ママバター UVケアクリーム アロマイン SPF25/PA++」
天然由来保湿成分のシアバターを5%配合。虫が嫌がる精油入りでアウトドアシーンに最適。
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【3】花王「キュレル UVエッセンス SPF30/PA++」
のばしやすいエッセンスタイプで、みずみずしく軽い使い心地。セラミドの働きで外部刺激による肌荒れを起こしにくい潤う肌をキープ。
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【紫外線量の多いレジャーの日焼け止めBEST3】高SPF・PA値でも石けんで落とせる!
長時間外で過ごす日には、乳幼児にも高SPF・PA値のものを選んでしっかりと紫外線対策がマスト。石鹸で落ちやすく、低刺激の優秀日焼け止めをご紹介します。乳幼児はもちろん、大人も兼用OKなので、伸びの良い使い心地をぜひ試してみて!
【1】資生堂「アネッサ パーフェクトUV マイルドミルク N」
分散テクノロジー スムースプロテクトテクノロジー搭載で、これまでより少ない紫外線防御剤量で快適な使い心地。赤ちゃんから大人まで使える低刺激設計です。
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【2】NOV 「ノブUVシールドEXSPF50+/PA++++」
ノブは、皮膚科での取り扱いも多い低刺激スキンケアブランド。紫外線吸収剤不使用なのに高SPF・PA値を実現。クリームタイプ。
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【3】「マミー UVアクアミルクSPF50+/PA++++」
ホホバ種子油やアロエベラエキスといった天然食品由来のうるおい成分配合。白浮きしないミルクタイプでのびもスムーズ。
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正しい対策で、子どもの肌をしっかり守ってあげよう
日焼けによるリスクや対策を友利先生にしっかりと教えていただきました。正しく知って対策をすれば、子どもの肌を確実に守ってあげられます。春先から夏の終わりまではとくに紫外線を浴びる量が増える季節です。親子でしっかりと紫外線対策や保湿ケアをして、健やかな肌をキープしましょう!
◆教えてくれたのは…
友利 新(ともり あらた)先生
医師(内科・皮膚科)
日本内科学会会員
日本糖尿病学会会員
日本皮膚科学会会員
琉球大学医学部 非常勤講師
沖縄県宮古島出身。 東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。現在、都内のクリニックに勤務の傍ら医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きる為の啓蒙活動を雑誌・TV などで展開中。豊富な知識と分かりやすい解説で、メディアでも大活躍。プライベートでは、女の子と男の子のママで、今夏、第三子を出産予定。医師そして母として、子どもに安心して使えるコスメ「メディスキンベビー」を開発。
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取材・文/越後有希子