プライベートゾーンや下着についてどう教える・・・?【成長期のからだ・男女の違い】思春期の子どもたちと考える「ツボミスクール」の”男女共修コース”に潜入!

下着メーカーのワコールは、2001年以来、関東・関西エリアの小学4年生から中学生の女子を中心に、成長期のからだや下着について学ぶ出前教室「ツボミスクール」を開催しています。2023年からは男子と女子が一緒に学ぶ「男女共修コース」がスタート。実際にはどのような授業が行われているのでしょうか?

東京都豊島区・富士見台小学校で4年生を対象に行われた、「男女共修コース」をレポートします。講師は、ワコール コミュニケーションデザイン部の上地朋子さんです。

思春期の男女のからだの変化をみんなで一緒に考えて、理解する

小学校高学年からは、身長が伸び、体重が増えるだけでなく、性別によって「からだつき」が違ってきます(第二次性徴[せいちょう])。また、友達や家族など周りの人への思いやりの気持ちが芽生えるなど、気持ちにも変化が。授業前半は、そういった思春期ならではのからだや心の成長について学習します。

わかりやすい語り口で、思春期・第二次性徴について説明

成長する部分や成長のスピードには個人差がある

「生まれたばかりの赤ちゃんの身長は約50cm、体重は3,000gくらいです。そのときと比べてみんな随分からだが成長して、できることも増えましたよね。反対に、からだつきが変わってきたことで、ちょっと不安に感じることもあるかもしれません。でも、男子と女子とでは成長するからだの部位が違うし、人によって成長のスピードも違うから、みんな一緒じゃないのは当たり前なんです」(上地さん)

児童に、「思春期の男女のからだの成長」を説明するワークシートが配られ、各自で(  )を回答。

児童にはワークシートが配られ、穴埋めをしてもらいました

小学4〜6年生のからだ

【女子特有の変化】

・(月経)が始まる。

・()がふくらんでくる。

・こし周りが大きくなる。

・からだつきが(丸く)なってくる。

【男子特有の変化】

・(射精)がある。

・声が低くなる(変声

・(ひげ)がはえてくる。

・肩はばが広くなり、がっしりとしたからだつきになる。

【男女共通の変化】

・わきの下や性器のまわりに()がはえてくる。

保健の授業で習ったことの復習ということもあって、生徒は積極的に挙手して回答し、正解していました。

答えを説明しながら、男女のからだについてトーク

「女の子の骨盤の間、ちょうどおへその下あたりに赤ちゃんのお部屋があって、〝子宮〟といいます。赤ちゃんが大きくなれるように、女子は成長するにつれて骨盤が広がって、子宮も大きくなって、お尻もしっかりしてくるんです。女子と男子でからだが違ってくるのは、そういった理由があるからだということを覚えておきましょうね。

からだの成長は周りと比べがちだけれど、比べる相手は自分です。去年の自分と今、 そして今と来年…と、ぜひ自分で比べてみてください

あとね、男子も女子も『ちょっとぽっちゃりしてきたような感じがして気になる…』という人がいるんだけれど、今は大事な時期なので無理なダイエットの必要はありません。食事、運動、睡眠、この3つをバランスよくとって、気持ちよく成長ていってください」(上地さん)

「プライベートゾーン」を守る「下着」の役割を学ぶ

授業の後半は、第二次性徴を通して重要となる「プライベートゾーン」について。まず生徒にその言葉の意味を尋ねると、〝水着で隠れる部分〟〝大事な部分〟などの回答が。

授業後半は「プライベートゾーン」や「下着」について

プライベートゾーンは人が見たり、触ったりできない、自分だけの大切な場所

「今、言ってくれたように、〝水着や下着で隠れる場所〟をプライベートゾーンと呼んでいます。プライベートが〝個人の〟、ゾーンが〝場所〟だから、〝自分にとって大事な場所〟という意味ですね。具体的には、口、胸、お尻、性器を指します」(上地さん)

そこで、生徒たちに「○×クイズ」でも質問。

「プライベートゾーン」クイズ

Q お友達のプライベートゾーンはさわってはいけない…⭕️

Q 先生のプライベートゾーンはさわってもいい…❌

Q 下着にはプライベートゾーンを守る役割がある…⭕️

みんな元気に「まるー!」「ばつー!」と答えていました

「プライベートゾーンは自分だけの大事な場所なので、人に見せても触らせてもいけません。相手が家族でも、見られるのはちょっとイヤだなって思うなら、お風呂もひとりで入るようにしていいと思います。もちろん自分が家族と入るのはOKなら、一緒でも大丈夫。大事なのは、自分の気持ちに正直になって、自分でどうするかを決めることです」(上地さん)

さらに、大切なプライベートゾーンを守る下着の役割についてもクイズで紹介。

児童は各自で(  )を穴埋め回答。

「肌着」の役割

  • ・汗を吸収して(体温)を調整する
  • ・汗や皮脂を吸いとり、洋服の(よごれ)を防ぐ
  • ・肌や(下着)のラインを目立たなくする

「下着は、みんなの大事なプライベートゾーンをいちばん近くで守ってくれるものだから、ぜひつけてほしいんです。肌に直に触れるものなので、自分の好きな着ごこちのものがいいですね。冬は暖かく感じられるものなど、季節に合わせて素材や厚さを選んでほしいと思います」(上地さん)

下着の種類や汗・汚れのもとなどを、実際に下着を回して触ってもらいつつ説明

パンツの汚れは、今のうちから自分で洗う習慣に

「衣服の中でもとても汚れやすいのがパンツです。汗や排泄物の汚れだけでなく、さっき勉強したように、女子は月経、男子は射精があると、普段とは違う汚れがパンツにつくことがあります。だから今日からみんなには、汚れたパンツをそのまま洗濯カゴや洗濯機に入れないで、自分で事前に手洗いする習慣をつけてほしいんです。

クロッチと呼ばれる、またにつく部分の汚れだけでOK。そうすることで、一緒に洗うほかの洗濯物に汚れがつくのを防げるし、パンツ自体も長持ちしますよ」(上地さん)

最後に今日のまとめ「人と違って当たり前。自分のからだを大切に」

「からだの成長には個人差があるので、人と比べなくていいし、人と違うことは個性であって、とっても素敵なことなんです。そして、大切なプライベートゾーンはちゃんと下着で守ってあげましょう。もしかして、これから先に自分のからだの変化について悩むことがあったら、そのときはひとりで悩まず、周りの大人や保健室の先生に相談してくださいね」(上地さん)

授業のまとめ。みんな真剣に聞いていました

和気あいあいとした雰囲気の中、授業は終了。からだの変化やプライベートゾーンといった思春期に入りたての子どもたちにとってデリケートな内容ながら、クイズに答えたり、実際に下着に触れたり、楽しく学んだ45分でした。

実際に家庭でもクイズ形式などにして、楽しく話題にできるといいですね。

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講師プロフィール

上地朋子|ワコール コミュニケーションデザイン部
1999年ワコール入社。ワコールが保有する成長期のからだの変化やエイジング研究のデータをもとに下着の基礎知識や選び方など情報発信を担う。一男一女の母。

 文・構成/つつみゆかり 撮影/HugKum編集部

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