子どもとの入浴。親の方から距離を取ることも大切
Q. 子どもが何歳になるまで一緒にお風呂に入っていいか、目安はあるのでしょうか?
にじいろさん(以下:にじいろ) 以前の記事でもお話しましたが、第二次性徴が始まる頃には、一人でお風呂に入れるようになっているといいですね。海外では、親子であっても一緒にお風呂に入ることはあり得ない!という価値観を持つ国もあります。しかし、日本にはお湯をためて身体を温める「入浴」という文化があるため、そこが親子のコミュニケーションになっているご家庭も多いのではないでしょうか?
しかし、身体に変化が現れたら、親子であっても別々にお風呂に入ることが望ましいですね。
- 子どもが一緒にお風呂に入りたいという場合
- 急に一人で入るのは難しいため、毎日だったところを一日おきにするなど、少しずつでいいので、別々に入るようにしましょう。
- 子どもが特に気にしていない場合
- 身体の変化が見られる頃になったら、「あなたも大人に近づいてきたから、そろそろ一人で入るようにしていこうか?」と、大人が声をかけ、別々に入るようにしましょう。
Q. 子どもが一人でお風呂に入る場合、ちゃんと洗えているか、心配です……。
にじいろ 髪や身体を洗ってあげていた場合、すぐにはすべてを洗いきれないことがあるので、少しずつ自分で洗えるように教えてあげたいですね。子どもと一緒にお風呂に入る際、会話をしながら何気なく髪や身体を洗っているということはありませんか?
―特に洗い方を教えたりせず、いつも流れで洗ってやっているかも……。
にじいろ それも注意が必要です。例えば、身体を洗う時、何気なくプライベートゾーンを触っていることがありますよね。なので、洗う時に「身体を洗うから、ちょっと胸のあたりを触るね」などと声をかけるようにしましょう。そうすることで、子どもは「身体を触る時は、同意を得なくてはいけない」ということを覚えます。そして、何より「自分の身体は自分のもの」という感覚を理解していきます。
―自分の身体は自分のもの。当たり前のようにわかっていると思っていました……。
にじいろ 何も言わずに身体を洗っていると、「洗うのはママの役目」と思ったり、「早く洗って」と任せて来たり、身体を洗うことが自分事と思えなくなってしまうことがあります。それが続くと、「自分の身体が自分のもの」という感覚が薄れてしまうこともあるのです。あくまでも、自分の身体は自分で洗う。そして、歯みがきのように仕上げをしてあげる、というところからスタートし、最終的には自分で洗えるようになるといいですね。
性器の正しい洗い方、知っていますか?
Q. 息子とお風呂に入る時、男性器の正しい洗い方がわかりません。
にじいろ ママから「息子の性器の洗い方がわからない」という質問はよく受け付けるのですが、女性器の洗い方については、自分の洗い方が正しいと思っている方も多いかと思います。
―母親は娘には自分の洗い方を教えがちです。
にじいろ 意外と大人でも知らない人が多いので、子どもと一緒に今一度確認してみてもいいかもしれませんね。ネット検索をすると、「性器を洗う時に石けんやボディソープをつけて洗う」と、出てくることがありますが、少し刺激が強いと思います。一部、低刺激のもので、デリケートゾーンに使用できるものもありますが、お湯で流すだけでも十分にきれいになります。
命育と厚生労働省が出している「乳幼児期の性に関する情報提供」は、無料でダウンロードができ、参考になる情報がたくさん載っているのでおすすめです。
―ボディソープをつけて洗う人も多いと思います。気をつけなければいけないですね。
にじいろ 長年、自分がやっていることは、正しいと思ってしまいがちですよね。また、子どもにこのようなことを教える時は、身体の仕組みとセットで話をすることをおすすめします。
身体の仕組みとして話してみよう!
にじいろ このようなイラストを見せながら「女の子と男の子、身体のどこの部分が違うかな?」と会話して、身体の仕組みを学んでいきましょう。
- 性器の洗い方声かけ【女の子】
- 「〇〇ちゃんのおまたは、このような形になっているから、内側まで洗わないと洗い残してしまうね」
- 「おしっこの穴の周りを指を使ってやさしく流したあとに、お尻の穴をきれいに洗うんだよ」
- 性器の洗い方声かけ 【男の子】
- 「ちんちんは強くさわると痛くなってしまうから、やさしく洗うよ。触る時は必ずきれいな手で触ろうね」
- 「ちんちんを洗う時、おしっこをする時みたいに皮を少し上に寄せて、お湯で流してみようね。ここをきれいにしないとカスがたまってしまうよ」
―具体的な声かけをしないと、子どもには伝わらないですよね。
にじいろ そうなんです。「ちゃんと洗って!」だけでは理解できないので、まずは大人が身体の仕組みや正しい洗い方を知ることが大切です。伝えるのが「気まずい」と感じることでも、あくまでも「身体の仕組みとして」という観点で話すと、スムーズに話ができますよ。
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記事監修
取材/本間綾