山形の伝統料理「どんどん焼き」は、小麦粉で作られた薄い生地を箸に巻いて食べる郷土の味です。
関西圏の「箸巻き」に似たこの料理は、山形県民のソウルフードとして子どもから大人まで幅広い世代に愛されています。もんじゃ焼きとお好み焼きの中間のような特徴を持ち、家庭でも手軽に作れる焼き物料理です。その発祥の歴史を確認しながら、詳しい作り方をみていきます。
どんどん焼きとは
鉄板焼き料理の一種、どんどん焼き。この独特な料理について詳しく解説します。
どんどん焼きとは
小麦粉を水で練り、海苔やフィッシュソーセージと、青のりを加えて焼きます。これを箸にクルクルと巻いてソースをかけると、山形県名物のどんどん焼きの完成です。
手に持って食べるスティック状のスタイルは、ソース味のクレープを思わせます。
食事というよりは、どちらかといえばおやつです。発祥当初は、お好み焼きよりも小ぶりで、子どものおやつ程度の大きさだったそうですが、今ではランチとして食べればそれだけでお腹いっぱいになる、たっぷりサイズも販売されています。
近年、どんどん焼きは店舗販売が普及し、味のバリエーションも豊富になりました。従来のソース味に加え、醤油味やチーズ入りなど、様々な味が楽しめるようになっています。もはや子どものおやつだけでなく、大人のお酒のつまみやお惣菜としても親しまれています。
歴史と発祥
どんどん焼きの販売は、大正時代に始まりました。リヤカーを引いて販売する形で、東京のもんじゃ焼きを参考に作られた食べ物として山形県内に広まったそうです。
当初はさまざまなスタイルで提供されていましたが、より持ちやすく、食べやすくするための工夫を重ねた結果、現在の形に落ち着きました。生地を固めに作ることで、箸に巻いても崩さずに提供できる方法が定着したのです。
名前の由来は、太鼓を「ドンドン」と鳴らしながら売り歩いたことからきています。今でも山形県のお祭りでは、どんどん焼きの屋台は欠かせない存在です。
各地のどんどん焼き
全国各地にどんどん焼きに似た料理があります。例えば、岩手県や埼玉県では箸に巻かずに、お好み焼きのように円形でお皿に盛り付けます。
また、仙台では「くるくるお好み焼き」の名称で親しまれ、宮城県の他地域や富山県では半月形で提供されます。一方、関西地方では「一銭洋食」として広まり、後にお好み焼きへと発展しました。現在でも「箸巻き」と呼ばれる類似の料理があり、九州にまで普及しています。
どんどん焼きのレシピと作り方
家庭での作り方をみていきます。お好み焼きやもんじゃ焼きに続く、新たな粉もの料理として、ぜひ家族で楽しんでください。
用意する具材
どんどん焼き特有の材料として、海苔と魚肉ソーセージが挙げられます。ここにチーズを加えたり、餅入り、カレー味にしたりと、バリエーションもあるので、いろいろ試してみてください。
お好み焼きと異なり、どんどん焼きにはキャベツを入れない場合も多く、代わりにネギを入れることもあります。大人向けに作る際は、紅しょうがを加えるのがおすすめです。
基本的な作り方
フライパンで手軽に作るのも、ホットプレートでワイワイ焼くのもよいでしょう。どちらでも作れる基本的な方法をご紹介します。
・材料
(4〜5人分)
【生地】
お好み焼き粉(市販) 200g
片栗粉 大さじ3
水 300〜400ml
【具材】
海苔(3×3cm程度) 適量
青のり 適量
魚肉ソーセージ 1/4本
とろけるチーズ 50g
お好み焼きソース お好み量
油 適量
割り箸 4~5膳
・作り方
【1】魚肉ソーセージ1/4本をさらに8等分に切ります。その他の具材、お好み焼きソースを用意します。
【2】ボウルに生地の材料を入れ、泡立て器でダマがなくなるまでよく混ぜ合わせてください。
【3】フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、生地を流し入れ楕円形に伸ばします。
【4】生地が柔らかいうちに具材をのせます。海苔、青のり、魚肉ソーセージをのせてください。
【5】生地に焼き色がついてきたら裏返します。お好み焼きソースを塗り、その上からピザ用チーズを散らします。
【6】割り箸の先を開き、生地の端を挟んでくるくると巻きつけます。
【7】お皿に盛り付け、再度お好み焼きソースを塗ります。お好みでマヨネーズをかけたら完成です。
円形のどんどん焼き 醤油味
お箸に巻かずにお皿にのせる場合は、円形や半月形で仕上げます。
・材料
(4〜5人分)
【生地】
薄力粉 200g
水 300ml
卵 2個
山芋粉 小さじ1強
【具材】
かつお節、天かす、干しエビ、海苔など
醤油
・作り方
【1】薄力粉、水、卵、山芋粉をボウルに入れてよく混ぜ合わせます。
【2】熱したフライパン、またはホットプレートに生地を薄く円形に広げます。
【3】広げた生地の上に干しエビ、天かす、海苔をのせます。
【4】ボウルの残りの生地を、焼いている生地の上にかけます。
【5】生地をひっくり返して反対側も焼きます。
【6】器に移したら、刷毛を使い、お好みの量の醤油を塗ります。お好みでかつお節、青のりなどをかけてお召し上がりください。
通販情報
どんどん焼きの名称から、昔懐かしい駄菓子を思い出す方も多いかもしれません。
どんどん焼 12g × 75袋入 / 駄菓子 業務用
駄菓子のどんどん焼きは、青のりが振りかけられたソース味の揚げ餅です。小麦粉で作る料理との関連は不明ですが、味付け、または太鼓を鳴らすパッケージに、同じ伝統料理が感じられます。こちらも、子どもたちが喜ぶおやつとして、長年親しまれています。
スティック状でパクパク食べる、どんどん焼き
山形県の郷土料理「どんどん焼き」について詳しくみてきました。屋台で人気のおやつですが、ご家庭でも作りやすく、お子さんも調理に参加できる工程が多いので、ぜひ試してみてください。
ソース味だけでなく、お好みの味付けや具材でアレンジしやすい料理です。お箸に巻き付けてパクパク食べる楽しさも、家族や友人と盛り上がるポイントになるでしょう。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)