「COP30」とは? 開催地や日程、過去に行われたCOPについても解説【親子で学ぶ国際社会】

「COP30」とは、2025年に開催予定の国際会議です。COP30で話し合われる議題は、地球環境に関係しています。会議の概要や開催地情報量のほか、これまでに行われてきたCOPの内容についても確認しましょう。

「COP30」とは

COP30とは、一体どのような会議を指す言葉なのでしょうか?  言葉の意味や、会議の開催地、日程について解説します。

「COP」の開催30回目を指す

「COP30」の「COP」は「Conference of the Parties」の略称です。日本語では「国連気候変動枠組条約締約国会議」と書きます。つまり、気候変動について国際的に話し合うための会議です。意味が分かれば、COP30は難しい言葉ではありません。

COP30の「30」は、会議の回数を意味します。これまでに気候変動に関する29回のCOPが行われており、COP30は30回目の国連気候変動枠組条約締約国会議を指すのです。

開催地と日程

30回目の開催であるCOP30は、JETROによるとブラジルのベレンで2025年11月10~22日に開催予定となっています。

ブラジルのベレンはアマゾン地域にある都市で、気候変動によって熱帯雨林の減少が問題視されている地域です。気候変動や温暖化について話し合うには適した地域といえるでしょう。

なお、前回のCOP29はアゼルバイジャンのバクーで開催され、気候変動に対する資金の拠出や、各国の削減目標などについて話し合われました。

出典:ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ

過去の主要なCOPと概要

2024年に開催されたCOP29 Photo by Vice-Presidência da República, CC BY 2.0,Wikimedia Commons

これまでに、COPは29回行われています。この29回のうち、大きな進展や重大な決定事項があったのは、何回目なのでしょうか? 主要な会議について確認しましょう。

1992年の地球サミットが始まり

COPが始まるきっかけとされているのは、1992年6月3日〜6月14日に開催された「地球サミット」です。ブラジルのリオデジャネイロで行われ、世界の多くの国々が参加しました。

地球サミットはCOPに関係する、「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」が調印された会議です。地球サミット以降、気候変動について話し合うCOPが行われるようになりました。

なお、COPの第1回目であるCOP1は1995年にドイツのベルリンで開催されています。

出典:気候変動枠組条約締約国会議(COP-1) | 一般財団法人地球産業文化研究所(GISPRI)

COP3で京都議定書が採択

1997年には、日本の京都でCOP3が開催されています。COP3では「京都議定書」が採択され、気候変動に関するさまざまな目標が定められました。

主な内容としては、先進国全体で6種類の温室効果ガスを削減していくというものです。日本では、1990年を基準とし、2008〜2012年にかけて温室効果ガスを6%削減する目標が設定されました。

開催地となった京都府では、温暖化対策に向けて「京都府地球温暖化対策条例」を制定し、2006年4月より施行しています。

出典:「京都議定書」とは/京都府ホームページ

COP21でパリ協定が採択

2015年11月30日~12月13日には、フランスのパリで21回目となるCOP21が開催されました。COP21で採択された協定は「パリ協定」として、広く知られています。

パリ協定でも、気候変動を食い止めるためにさまざまな目標が設定されました。主に、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2℃より低く、1.5℃に抑えるよう努力することが、世界共通の目標です。

そのほか、各国には温室効果ガスの削減目標を5年ごとに提出し、更新することを義務付けています。日本でも、温室効果ガスの削減については定期的に目標を更新しています。

出典:2020年以降の枠組み:パリ協定|外務省

COP30に向けての日本の現状と取り組み

日本では、気候変動の問題について多様な取り組みを行っています。現状の問題や、主な取り組みについて確認しましょう。

現状では日本の二酸化炭素排出量は多い

日本は現状、二酸化炭素の排出量が多い傾向です。世界的に見てみると、2021年の二酸化炭素排出量は、中国・アメリカ・インド・ロシアに次いで日本となっています。

排出量を減らそうとする努力はされているものの、世界の国々と比較しても日本の二酸化炭素排出量は多いといえるでしょう。

また、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量は、毎年削減できているわけではありません。2023年には増加しており、今後はより一層の対策が必要と考えられます。

出典:(キッズ外務省)二酸化炭素(CO2)排出量の多い国 | 外務省

2030年度に温室効果ガス46%の削減

日本では2030年度に、2013年度比で温室効果ガスを46%削減することが目標となっており、さらに50%削減への挑戦も表明しています。また、2024年には新たな目標案として、2035年度までに2013年度比で60%削減、2040年度までに73%削減することが政府により承認されました。

今後、日本は多くの温室効果ガスを削減し、目標を達成できるよう努力を重ねる必要があります。

なお、アメリカでは2030年までに2005年比で50〜52%削減、カナダでは同じく2030年までに2005年比で40〜45%削減など、各国でも意欲的な目標が掲げられている状況です。

出典:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定) | 環境省
温室効果ガス“2035年度 2013年度比60%削減” 国が有識者委で案示す | NHK | 脱炭素社会への動き

「2050年カーボンニュートラル」を目指す

日本の気候変動に関する取り組みは、直近の温室効果ガスの削減だけではありません。「2050年カーボンニュートラル」と題して、中長期の目標も公開されています。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を減らし、吸収量を増やすことで、実質的に温室効果ガスの排出をゼロにしようとする試みです。

完全に排出される量をなくすのではなく、吸収することで大気の状態を一定に保てるような仕組みが考えられています。2050年までに実質的な排出量がゼロになるよう、省エネやグリーン化などさまざまな取り組みが検討されているのです。

出典:2050年カーボンニュートラルの実現に向けて | 地球環境・国際環境協力 | 環境省

気候変動における今後の課題

気候変動については、さまざまな課題が存在します。問題となっているポイントや、COP30以降で話し合わなければならない内容について見ていきましょう。

地球温暖化は進行している

現在、地球温暖化は進行しています。COPでさまざまな目標が設けられ、早期に達成しなければならないと話し合われているものの、温暖化が止まる気配はありません。

欧州各国などすでに目標達成度の高い国もありますが、世界の国全てが協力し、温暖化を止める努力を続けなければ、温暖化のスピードを遅らせることは難しいといえるでしょう。

今後温暖化が進行していけば、さらなる対策も必要となってきます。そうならないためにも早期に各国が目標を達成し、温暖化を食い止める姿勢を見せる必要があるのです。

気候変動対策の資金が足りていない

COP29では気候資金について話し合われましたが、資金が目標値に足りていないことが問題となっています。

気候変動対策の資金は、主に途上国が気候変動対策を行うために必要となるものです。資金の少ない途上国では、資金的な援助がなければ対策が取れません。

途上国への支援が足りない場合、目標達成が難しくなる可能性があります。

日本では過去にアジア・アフリカ・中南米・中東など、さまざまな地域のプロジェクトに協力し、資金を拠出しています。世界的には必要とされる目標に届いていませんが、途上国の支援が全くできていないというわけではありません。

出典:気候変動分野における途上国支援|外務省

[まとめ]COP30開催に向けて取り組みが続いている

COP30は、気候変動の問題について話し合うため、ブラジルのベレンで開催される予定となっている国際会議です。現在もCOP30の開催に向けて、各国の取り組みが続いています。

日本でも、過去のCOPで温室効果ガスの削減目標を設定し、現在も目標達成に向けて努力しているところです。2030年度の目標値や、2050年に向けての中長期目標など、すでに決定している事項もあります。

COP30を含め、今後の会議でも温室効果ガスの削減は重要な議題です。地球環境を守り、温暖化を食い止めるためにも、国や個人が努力し、温室効果ガスを減らしていく心掛けが大切になってくるでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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