二酸化炭素とはどんな物質? 性質や地球環境への影響など詳しく解説【親子でプチ科学】

二酸化炭素は、生物の活動に欠かせない身近な気体です。近年は温室効果ガスとして注目されることが多く、地球規模で削減の取り組みが始まっています。地球温暖化を防いで子どもたちの未来を守るためにも、二酸化炭素の性質をおさらいしておきましょう。

二酸化炭素の基礎知識

二酸化炭素について、学校で習ったきりで詳しく覚えていない人は多いのではないでしょうか。存在する場所や性質など、二酸化炭素の基本を解説します。

大気や鉱物などに含まれる物質

二酸化炭素は惑星の大気中に、自然に存在する物質です。濃度は星によって異なり、地球の大気には約0.04%の濃度で含まれています。

地球の大気を構成する物質の中で、最も多いのは窒素です。約78%を占めており、次に約21%の酸素が続きます。

なお地球の隣の惑星、金星や火星では大気のほとんどが二酸化炭素です。地球もかつては二酸化炭素の濃度が高かったものの、海に吸収されたり、植物が光合成に使ったりして、徐々に減少していったと考えられています。

呼吸や炭素の燃焼で生成

二酸化炭素が生成される要因は、主に二つのパターンに分けられます。一つは生物の呼吸で、酸素を吸い込んで二酸化炭素を吐くという呼吸の仕組みは有名です。

実際に人が吐いた直後の空気の成分を調べると、酸素は19%に減少し、二酸化炭素は4%に増加することがわかっています。

もう一つは、炭素を含む物質の燃焼です。

炭素が燃えるときに空気中の酸素と結合して、二酸化炭素に変化します。ほかにはアルコール発酵や、火山の噴火でも生成されることが知られています。

二酸化炭素の主な性質

二酸化炭素の主な性質は以下の通りです。

・無色無臭
・不燃性
・水に溶けやすい
・空気より重い
・温室効果がある

二酸化炭素には、他の物の燃焼を妨げる性質があります。

例えば、空気中の二酸化炭素濃度が約2.5%になると、ろうそくに点火できません。また、二酸化炭素は大変水に溶けやすく、二酸化炭素が溶け込んだ炭酸水は、飲料や入浴などに広く使われています。

大気中の二酸化炭素には、地球が赤外線として宇宙に出している熱を吸収して、再び地上に放出する性質(温室効果)があります。

温室効果が地球温暖化を促すしくみ

家庭でできる二酸化炭素の実験

二酸化炭素は空気中にほんのわずかしか含まれていない上に、色も臭いもありません。普段の生活で存在を意識することは、ほとんどないでしょう。

二酸化炭素を集めたり、性質を確かめたりする実験を紹介します。家庭で簡単にできるので、子どもと一緒に挑戦してみましょう。

ろうそくの火を消す

二酸化炭素の不燃性や、空気より重いことを確かめる実験です。

<準備するもの>
・ドライアイス
・水
・コップ
・ろうそく
・マッチやライターなどろうそくに点火する道具

ドライアイスは二酸化炭素が固化したもので、約-79℃と低温の物体です。アイスクリームや冷凍食品が溶けないように、スーパーなどでもらった経験がある人も多いでしょう。

<実験方法>
1.砕いたドライアイスをコップに入れ、ろうそくに火をつける
2.コップに水を少し入れてドライアイスを溶かしながら、ろうそくの上に持っていく
3.そのままコップを少し傾けると、気化した二酸化炭素が下に流れて、ろうそくの火が消える様子が見られる

実験の際は火の取扱いに十分注意すると同時に、ドライアイスを素手で触らないようにしましょう。

炭酸水を作る

二酸化炭素は、重曹を使えば家庭でも手軽に生成できます。重曹は「炭酸水素ナトリウム」と呼ばれる弱アルカリ性の物質で、加熱したり酸性の液体を加えたりすると、二酸化炭素が発生します。

クエン酸水と混ぜて炭酸水を作る実験なら、後でおいしく飲めるので子どもも喜ぶでしょう。

炭酸水を作ってみよう

 

<準備するもの>
・グラス
・冷水:200cc
・重曹:1g
・クエン酸:1g
・砂糖:適量
・レモン汁:数滴

重曹とクエン酸は掃除用ではなく、食用のものを使います。また、重曹には塩分が多く含まれるため、飲み過ぎないようにしましょう。

<実験方法>
1.グラスに重曹・クエン酸・砂糖・レモン汁を加えて混ぜる
2.冷水を少しずつ入れていく

水は、一気に加えると泡が吹きこぼれるため、少しずつ入れるのがポイントです。砂糖やレモン汁の代わりに好きな味のシロップを加えるなど、アレンジしても楽しめます。

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二酸化炭素と地球温暖化の関係

二酸化炭素が地球温暖化に深くかかわっていることは、よく知られています。昔から自然界に存在していた気体が、温暖化を加速させている理由はどこにあるのでしょうか。

温室効果ガスの中で最も多い

二酸化炭素のように、温室効果を発揮する気体を「温室効果ガス」と呼びます。温室効果ガスがなければ地球は冷え切ってしまいますが、多過ぎても暑くて住めません。

近年、地球の平均気温が上がる「温暖化」が問題になっていますが、原因のほとんどが温室効果ガスの濃度上昇によるものといわれています。

温室効果ガスには二酸化炭素のほかにも、「メタン」や「一酸化二窒素」「フロン」などがあります。二酸化炭素の割合は圧倒的に高いため、温室効果ガスの代表的な存在とみなされているのです。

自然の吸収量を超えた排出量

人類が自然の吸収量を超える量の二酸化炭素を排出したことも、温暖化の一因です。19世紀以降、人類は石油や石炭などの「化石燃料」を使ってエネルギーを作り、利用してきました。

化石燃料には炭素が多く含まれており、燃やすと大量の二酸化炭素が発生します。化石燃料から出る二酸化炭素は、本来地上には存在しないものです。

また、二酸化炭素は多少増えても、森林や海が吸収して大気のバランスを保ってくれます。しかし、人類は多くの森林を伐採し、その面積を大きく減らしてしまいました。

これが今日の地球温暖化につながっていると考えられています。

増え過ぎた二酸化炭素を減らす取り組み

現在、世界規模で増え過ぎた二酸化炭素を減らす取り組みが行われています。主な取り組み例と、家庭でできる簡単な対策を見ていきましょう。

二酸化炭素の吸収量を増やす植林

二酸化炭素は植物にとって大切な栄養源です。植物は二酸化炭素と水を原料に、太陽光と葉緑素を使ってブドウ糖を作り、酸素を放出します。これが「光合成」とよばれる現象です。

植物が増えれば自然に二酸化炭素の吸収量も増え、濃度を下げることが期待できるため、各地で植林が進んでいます。

とはいえ、木が育つには長い時間が必要です。二酸化炭素を大きく減らすには、減った森林を元に戻すだけでは足りないかもしれません。砂漠でも育つ植物や、早く成長する木の研究にも期待が寄せられます。

二酸化炭素を吸収してくれる植物

カーボンリサイクルの実現

「カーボンリサイクル」とは、大気中の二酸化炭素を回収して、素材や燃料として再利用する取り組みです。人工的に二酸化炭素を減らす技術として、さまざまな分野で研究開発が進んでいます。

素材としては、ウレタンやポリカーボネートなどの化学製品の原料や、石灰石生産への活用が想定されています。燃料としての再利用法は、光合成によるバイオ燃料の製造です。

二酸化炭素は直接燃料になるわけではありませんが、光合成を行う微生物に与えてバイオ燃料を作れば、化石燃料の使用量を減らせます。

二酸化炭素を岩石に閉じ込めておき、必要なときに取り出して使えるようにする技術も開発されています。

家庭でできること

いくら二酸化炭素の吸収やリサイクルを進めても、排出量自体を減らさなければ、あまり効果がありません。排出量を減らすためには、化石燃料の使用を控えるのが近道です。

日常生活で使う電気やガソリンは、ほとんどが化石燃料で作られています。節電や公共交通機関の利用を心がければ、家庭でも温暖化抑止に大きく貢献できるでしょう。

また、ゴミの処理や輸送にも、多くのエネルギーが使われます。以下のように、家庭ゴミを出さない工夫も有効ですので、親子で取り組んでみるとよいでしょう。

・食べ物を残さない
・買い物の際は長く使えるものを選ぶ
・エコバッグやマイボトルを持ち歩く

身近な気体、二酸化炭素を知ろう

二酸化炭素は、生物の活動に密接にかかわっています。二酸化炭素がなければ、地球に生物が誕生することもなかったでしょう。

温暖化を促進する厄介な存在として語られることもありますが、そもそも二酸化炭素の濃度を上昇させたのは、私たち人類です。二酸化炭素への理解を深め、温暖化の原因や対策についても正しく子どもに伝えていきましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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