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商店街が丸ごとホテルってどんなホテル?

窓からは商店街が見えて、初めて来たはずなのにどこか懐かしい。商店街が丸ごとホテルになった、不思議なホテル「SEKAI HOTEL Fuse」に泊まってきました!
大阪、布施の「SEKAI HOTEL Fuse」では10棟の空きテナントを客室にリノベーション。連携している地域の商店にて夕食や朝食サービスを受け、大浴場は昔ながらの銭湯を利用します。
布施ってどんなまち?
電車でなんば、道頓堀まで10分という旅行者にもアクセスしやすい立地です。が、大阪の人でもわざわざ来ることもあまりなく、旅行者となると地名を知っている人もほとんどいないかと思います。
かつては、商店街には約700店舗以上もあり賑わいを見せていましたが、今や店舗数は約半分に。そこで、「昔の活気を取り戻したい」と立ち上がったのがクジラ株式会社(矢野浩一代表取締役)が手がける「SEKAI HOTEL」です。
チェックインは洋装店で

商店街を歩きながら、ワクワクしながら向かったのが、ホテルのフロント。なんと!元洋装店の店舗がそのままフロントとラウンジになっています。

ノープランで来ても、布施を知り尽くしたスタッフさんの一押しのお店やスポット、食べ歩きプランのお店など、希望に合わせてチェックイン時にいろいろと相談することができます。

「SEKAI HOTEL Fuse」は商店街全体をホテルに見立てたユニークな施設です。なんでも揃う一般のホテルとは違う部分もあるので、施設利用やアメニティについて、事前にしっかり確認するのをオススメします。
ホテルは古家をリノベした「泊まれる町工場」

客室は空き家をリノベーションしているので、部屋によって雰囲気が異なるという面白さがあります。また地域の中に点在していて、まるで住んでいるように滞在を楽しめるのが「SEKAI HOTEL Fuse」の魅力です。
布施が位置する東大阪市には6300を超える町工場があり、その事業者密度は全国一位。そんな布施のバックグラウンドを反映し、板金などの町工場の素材を使用し、「東大阪らしさ」を演出しているとのことです。
子連れファミリーにオススメの「N 8」
今回、宿泊したのは新しくリノベーションされた「N 8」。一棟貸しということで、子連れには周りに気を遣うことなく、のびのびと過ごすことができました。商店街の中なので騒音が気になるかと思いましたが、とても静かでぐっすり眠ることができました。
アーケード内に宿泊したい場合は確認を
今回、宿泊した部屋は、商店街の中にあり、フロントが目の前でとても便利でした。部屋によってはアーケードの外になる場合もあるので、商店街の雰囲気をより味わいたい方は、宿泊前に確認をしたほうが良さそうです。
エコを徹底したアメニティ
アメニティ類は必要最低限で、無駄がないのは好印象でしたが、パジャマはなし、基礎化粧品類も一切なく、歯ブラシも有料なので注意が必要です。商店街にもコンビニやドラッグストアがあり、必要な物は揃っているので不便はありません。
「SEKAI PASS」を持って出かけよう!
チェックイン時に宿泊者全員が貰えるのが「SEKAI PASS」。商店街の指定店舗の商品が特別価格で購入できるほか、「SEKAI PASS」専用の体験プログラムや特別メニューもあります。
オリジナルマップには全パートナーショップの情報が掲載されています。また、目印として、「SEKAI HOTEL ステッカー」が店先に貼ってあるお店もあるので確認してみてくださいね。
「食べ歩きチケット」で食い倒れ!
チェックイン後は、フロントで「食べ歩きセット」を受け取って、早速食べ歩きへ! 「食べ歩きセット」は一セット1,300円で、パートナーショップで引き換えられる「食べ歩きチケット」5枚、持ち運び用容器と箸、オリジナルマップが付いています。
美味しすぎる精肉店のコロッケ

揚げ物大好きな我が家がまず向かったのが、「肉のやまじん」。創業70年を超える老舗の精肉店で、 名物のコロッケは多い日で1日3,000個売れることもあり、「なにわコロッケ」の発祥でもあるそうです。

牛すじ肉を使った「下町コロッケ」とカレー粉の風味が食欲をそそる「ポテトフライ」をチケットと交換しました。どちらも熱々、ほくほくで病みつきになる美味しさでした。
「和洋菓子モモヤ」のフルーツ大福

しょっぱいものの後は甘いものが食べたくなったので、「和洋菓子店モモヤ」に立ち寄りました。こちらの名物が「みっくすじゅーす大福」。
単品のフルーツ大福はよくありますが、ミックスというのは初めて。お餅の中には、生クリーム、パイン、オレンジ、バナナと、特製ミルクあんが入っていて絶妙なハーモニー。これまで食べたフルーツ大福でベストといえる一品でした。
まるで昭和にタイムスリップ!懐かしの駄菓子屋さん

駄菓子屋さんの「三ノ瀬ショップ」は商店街近くの三ノ瀬公園の目の前にあります。多くの子どもたちが小銭を握りしめてやってきて、社交場のようになっているようです。
我が家の子どもたちも、150円まで買えるチケットを持って、念願の駄菓子屋デビューです!お姉ちゃんが一緒に手伝って、ピッタリ、それぞれ150円分のお菓子を買うことができました。
店主さんも温かく見守ってくれて、商店街のよさを感じるひと時でした。
食べ歩きチケットのメニュー
食べ歩きチケット:1,300円
- ●チケット1枚
- 肉のやまじん:「コロッケ&ポテトフライ」
- 金太郎パン:「金太郎あんぱん1つ」
- 丸幸水産:「たこやき2個」
- 戎湯:「ドリンク一杯」(銭湯使用時に限る)
- 三ノ瀬ショップ:「150円以下のお菓子」
- SEKAI HOTEL Fuse:「500円以下のドリンク一杯」
- ●チケット2枚
- 和洋菓子モモヤ:「お好きなフルーツ大福1つ」
- 宮良たこやき本舗:「たこせん1つ」
お風呂は薪で沸かす昔懐かしの銭湯「戎(えびす)湯」へ

お風呂は、薪で湯を沸かす、昭和スタイルの懐かしい銭湯「戎湯」へ。子どもたちは初めての銭湯です。実は、筆者も小さい頃両親に連れられて行ったことはありますが、覚えていないので、ほぼ初めてで、ドキドキ。

脱衣所には、80年代スタイルのコイン式マッサージチェアやお釜ドライヤー、娘は見たことのない昭和のアイテムに興味津々。筆者も、現役で動くお釜ドライヤーは初めて見ました。
設備は「ザ昭和」なのですが、湯船のサービスはリゾートのスパには負けていません。お肌に嬉しい軟水のシャワーと炭酸水のお風呂、さらに、露天風呂、電気風呂や泡風呂、そしてスチームサウナまであります。
子どもにとってはテーマパークみたいで楽しかったようです。
朝食はレトロ喫茶のモーニング

朝食は、古き良き大阪・下町の雰囲気が残るレトロ喫茶店へ。モーニングは11:00まで対応しているため、朝食はゆっくり楽しむことができます。おすすめはミックスサンド。大阪ならではのふわふわ厚焼き卵はボリューム満点です。

*注意点:喫茶店は喫煙可能なため、条例により成人のみの利用になります。
未成年のいる我が家は利用できなかったので、ファミリー向けに子どももOKな朝食会場が増えることを期待しつつ、子連れの我が家は、テイクアウトでお部屋の外にあるソファスペースで食べることができたので、テイクアウトでも朝食は楽しめました。
お菓子作りに挑戦!

翌日は、1903年に創業した老舗の和菓子店の「笑福堂」で和菓子作りに挑戦。ちょうどお彼岸も近いということで、おはぎと桜などの春らしい練り切りを作りました。
まずは店主がお手本を見せてくれるのですが、流れるような美しい所作でまるい形が仕上がります。真似してみますが、なかなか上手く形になりません。簡単そうに見えるからこそ、熟練の技だと感じました。

練り切りも木の型を使ったり、網でこしたりと貴重な和菓子体験ができました。たくさんできたので、ホテルで冷凍してもらい、両親(子ども達のジジ・ババ)のお土産にしたところ、孫が作った和菓子ということで、とても喜ばれました。

「笑福堂」は商店街からはすぐですが、アーケードの外の静かな住宅街にあります。落ち着いた佇まいに、時が止まったような不思議な感覚になります。ぜひ、立ち寄ってみてくださいね。
- 和菓子作り体験
- 料金:3,000円(前日までに要予約)
楽しく町探検!謎解きに挑戦!

小学生以下のお子さんのいるファミリーにイチオシなのが「ふせでなぞとき!まちたんけん!」です。フロントでリクエストすれば、無料でオリジナルマップ、なぞときシート、バインダーのセットを受け取ることができます。

謎解きは、大阪名物のたこ焼き屋さん、創業80年の老舗洋食屋、布施発祥の回転寿司チェーン店が並ぶ通りなど、商店街の風景を最大限に活かした内容です。
ただ、アーケードを歩くだけでも楽しいですが、謎解きをしながらだと楽しさも数倍になります。
謎解きの難易度は?

難易度は、小学生なら自分で解けますし、未就学児でも保護者と一緒であれば楽しむことができます。我が家は、小学生と未就学児のきょうだいですが、二人で助け合いながら自分達で解いていました。
謎解きを通じて、商店街の魅力を再発見する内容となっていて、大人も一緒に家族で楽しめる内容でした。
雨の日でも楽しめる、でも自転車に注意!
謎解きの会場は殆どがアーケード内なので雨の日でも大丈夫です。ただ、アーケード内は、自転車は徐行しなければならないのですが、あまり徐行せず通行する人もいたので、子連れには危険に感じることがありました。こちらの点は、地域の方と一緒に改善されることを期待します。
日本一の恵比寿様に会える「布施戎(えびす)神社」!

布施の見どころは、何と言っても日本一大きいと言われている恵比寿様がいる「戎神社」。
ホテルのフロントから歩いて2分ほど、商店街から道を一本入った閑静な道沿いで、雰囲気が全く違うのですぐにわかります。
大きな鯛を釣り上げた恵比寿様は大迫力。恵比寿像の自分のよくない体の場所をさすると、身体が良くなるという言い伝えがあるそうで、ヒザのあたりがツルツルになっていました。
また、街のいたる所に恵比寿様がいるので見つけるのも楽しいですよ。
まちごとホテルの「SEKAI HOTEL Fuse」を体験してみて

一般的にホテルやリゾートというと、自前のレストランやサービスでゲストを囲んでしまう傾向にありますが、必要最低限の宿泊設備だけで、商店街を利用し、地域を活性化するというユニークな試みは本当に素晴らしいと思いました。
念願だった大阪での食い倒れが実現できた!
ともかく、何を食べても美味しく、ついに、大阪での食い倒れが実現できたことが最高の思い出です。自分の街にあったらいいなと思うお店が一つの街にぎゅっと詰まってる、本当に羨ましい商店街です。
そして、昭和生まれの筆者にとっては、商店街のノスタルジックで不思議な雰囲気を味わえましたし、子ども達には何もかも新鮮で楽しかったと思います。
これからの「SEKAI HOTEL Fuse」活動に期待
一方で、観光で来ている宿泊客と地元の方との温度差を感じることもありました。地域との連携はまだまだとも感じたので、これからの「SEKAI HOTEL Fuse」の活動に期待したいと思います。
わざわざ遠い関東圏から、「布施に遊びに来てね!」とそれだけを目的にはまだオススメしにくいですが、USJに行くから立ち寄ってみようかなど、関西に来るときには、何かと組み合わせて一度は訪ねて欲しい場所です。
「SEKAI HOTEL Fuse」オススメプラン

何も計画せずにフラッと訪れて、ノープランでも楽しいですが「SEKAI HOTEL Fuse」でしか楽しめないプランもいろいろあるので、参考にしてみてください。
- ・食い倒れ!「一泊十食付きプラン」
- 大阪に来たら「食い倒れ!」という食いしん坊にオススメなプラン。
- ・いろいろつまみ食い「布施グルメ食べ歩きプラン」
- 10食は多いけれど、いろいろつまみ食いしてみたい「食べ歩きチケット」が5枚付きのプラン。
- ・駄菓子屋で買えるお駄賃も貰える!「ホテルのお仕事体験プラン」
- 子連れにイチオシなプラン。ホテルスタッフとしての仕事の心得を学び、お駄賃として、駄菓子屋「三ノ瀬ショップ」で使える金券が貰えます。
ユニークな「SEKAI HOTEL Fuse」いかがでしたか?実は、布施からUSJまでは電車で約40分と近いので、大阪の下町文化にどっぷり浸かりながら、テーマパークも楽しむことができます。別の記事では、この春限定イベントを盛りだくさんのUSJも紹介しているので、春休みやGWの旅行の参考にしてくださいね!
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SEKAI HOTEL Fuse(セカイホテル フセ)
【住所】〒577-0841 東大阪市足代1-19-1
【チェックイン対応時間】3pm – 10pm
【休館日】水・木曜
取材・文/Rina Ota