地球温暖化とは
地球温暖化は自然に起こったことではなく、人類が引き起こした問題です。何が原因でどのような変化が起こっているのか確認しましょう。
地球の平均気温が上昇すること
地球温暖化とは、地球全体の平均気温が上昇している現象のことです。日本の気温も昔より上昇していて、1898年以降は100年あたり1.15度の割合で暖かくなっています。
このまま気温が上昇し続ければ、熱帯夜や猛暑日がさらに増えます。台風や豪雨が降る日数も増加すると予想され、反対に最低気温が0度未満の冬日は少なくなるでしょう。
地球が温暖化すると、気温だけではなく海水の温度も上昇します。日本近海では水温が100年あたり1.08度上昇したというデータがあります。
原因は温室効果ガス
温室効果ガスは大気中に層を作り、地表から放出される熱を吸収して地球を暖めます。このガスの濃度が高まっていることが、地球温暖化の原因です。
中でも、石油や石炭を利用するときに放出される「二酸化炭素」は、温暖化に最も大きな影響を及ぼしています。二酸化炭素を吸収する森林が減少しているのも一因です。
また、家畜のげっぷなどには「メタン」という温室効果ガスが多く含まれています。
その他、エアコンや冷蔵庫に使用される冷媒や、家電や自動車に欠かせない半導体などを製造するときにも、温室効果ガスの発生は避けられません。
地球温暖化による深刻な問題とは
地球温暖化がこのまま進めば、気候の変動により深刻な問題に直面することが懸念されます。現在予想されている、世界規模での被害について見ていきましょう。
海面上昇による陸地の減少
南極大陸や北極圏を始めとした極寒の地域には、分厚い氷でできた氷床や氷河があります。温暖化によってそれらの地域の氷が海へ溶け出し、海面が上昇してしまう可能性があるのです。
海面の上昇に伴い、標高の低い土地や小さな島は海に飲み込まれてしまいます。沿岸部では田畑や井戸が海水による被害を受けたり、生活できなくなった人々が温暖化難民となったりすることも考えられるでしょう。
南太平洋に浮かぶキリバス共和国・フィジー共和国・ツバルといった小さな島国は、国土がまるごと消えてしまうことが心配されています。
動植物の絶滅危機
温暖化は、地球の生態系にも影響を及ぼしかねません。世界自然保護基金WWFによると、気候変動が一因となり絶滅の危機に瀕している動植物は、4000種以上になるとされています。
北極圏に生息するホッキョクグマは住む場所や狩り場を失い、現在では約2万6000頭まで減少しているそうです。
日本沿岸ではサンゴの大規模な白化が問題になっています。海水温が高くなると、サンゴの生命維持に必須の褐虫藻が放出されて白化し、やがて死んでしまうのです。
食糧不足と健康被害
私たちが食べている主要な農作物は、小麦・大豆・米・トウモロコシです。そのうち小麦を除く3穀物の収穫量が、地球温暖化の影響で今世紀末までに大幅に減少するといわれています。
猛暑によって体調を崩すのは人間だけではありません。牛や豚などの家畜も、夏の厳しい暑さで体重が増えにくくなり、生産性が低下することが考えられているのです。
また、暑い地域が増えることで生態系が変化し、蚊などの分布域が変化します。マラリアやデング熱といった、蚊を媒介とした感染症リスクの増大も懸念事項の一つです。
地球温暖化を防ぐためにできること
地球温暖化を食い止めることは、世界中の人々が取り組まなければならない課題です。日常生活でできる温暖化対策について見ていきましょう。
省エネを心掛ける
毎日当たり前に使っている家電は、石油や天然ガスなどの資源から作られたエネルギーを利用して発電しています。つまりエネルギーを節約することは、温暖化の防止につながるのです。
例えば、エアコンを夏は28℃、冬は20℃に設定し、室外機のそばに物を置かないようにしましょう。使うときはカーテンを使用したり、扇風機を併用したりするのも効果的です。
さらに、冷蔵庫の開閉は短時間でするよう心掛け、掃除はモップなどを活用して掃除機を使う時間を減らします。テレビや照明は小まめに消し、家電を長期間使用しない場合はプラグを抜いておくとよいでしょう。
水を大切に使う
水道から出る水を水源から家庭の蛇口に届けるまでには、浄水場できれいにする工程で大量のエネルギーを必要とします。節水を心掛ければ、さらに消費エネルギーを節約することが可能です。
歯磨きや手を洗う際に小まめに水を止める、トイレの水洗レバーは大小を使い分けるなど、小さなことから節水を意識してみましょう。
家庭内で最も節水できるのは、風呂での使用量です。追い焚きや足し湯をしなくて済むように、同じ時間帯に全員が入浴するとよいでしょう。
自動車の利用を工夫
出掛けるときは、一般自動車よりも多くの人を乗せられる公共交通機関をなるべく利用することで、1人あたりの温室効果ガス排出量を抑えられます。
また、自動車を運転するときは「エコドライブ」を意識しましょう。自動車は一定の速度を保って走った方が、消費燃料が少なくなります。
ゆっくりアクセルを踏んで加速し、急ブレーキをかけずに済むよう十分な車間距離を取るのがポイントです。
買い物はマイバッグ持参
プラスチック製品は製造過程だけでなく、焼却するときにも二酸化炭素が発生します。プラスチック製品の消費を抑えるため、買い物にはマイバッグを持参して、レジ袋をもらわないようにしましょう。
燃焼時に二酸化炭素が排出されるのは、プラスチックゴミだけではありません。簡易包装の商品を選んだり詰め替えパックを利用したり、なるべくゴミが出ない商品を選ぶのも温暖化対策の一つです。
マイボトルやマイ箸を持ち歩き、リデュース(廃棄物削減)・リユース(再利用)・リサイクル(再資源化)の「3R」を実践しましょう。
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子どもと読める地球温暖化問題の本
問題を自分に関わりのあることとして捉えるには、物事が影響し合う仕組みをよく知ることが大切です。地球温暖化問題のやさしい解説書を選び、子どもと一緒に読んでみましょう。
やさしく解説 地球温暖化 (1) 温暖化、どうしておきる?
たくさんの図や写真を使って、分かりやすく地球温暖化について教えてくれる解説書です。難解な部分も丁寧に説明してあるため、大人のサポートがあれば小学生でも難なく読み進められるでしょう。
3冊のシリーズ物になっており、1冊目では温暖化の仕組みを、2冊目では現状と将来的に訪れる危機を、3冊目では世界規模の対策や個人でできる取り組みを紹介しています。
まずは、この1冊目でなぜ温暖化が起きるのか基礎知識をつけるとよいかもしれません。
最近、地球が暑くてクマってます。
ダジャレ好きなシロクマのお母さんが、語りかけるように温暖化問題について説明してくれます。カラフルな写真や図が多く、字も大きく読みやすいため、話の内容は軽くありませんが堅苦しさはありません。
後半の「熊の巻」では、ナビゲーターが真面目な子グマに交代します。お母さんグマの感情に訴えかけるような語り口とは異なり、対策の必要性を順序立てて解説しています。
導入はソフトにして、興味を持ったところで詳しい解説に移る構成なので、子どもがどんどん引き込まれていきます。
地球温暖化、しずみゆく楽園ツバル
医師であり写真家でもある著者が記した、小さな島国・ツバルの写真絵本です。
ツバルの子どもたちは、温暖化により自分の島が沈んでしまうかもしれないと知っています。美しい景色や明るい笑顔の写真に癒やされる一方で、「島が沈むのが怖い」「違う考えの人々が手を取り合ってほしい」といった子どもたちの願いに胸が締め付けられるでしょう。
環境問題を考えるにあたって、感受性豊かな子どもの意識を変える一冊となるかもしれません。
生活を見直して地球の環境を守ろう
すでに地球のあちこちで温暖化による影響が見られています。さらなる危機が高確率で訪れると予想されており、いずれ地球は様変わりしてしまうかもしれません。
温暖化にストップをかけるには、一人一人が環境に対する意識を変える必要があります。私たちができることを知り、率先して環境に配慮した暮らしを心掛けることで、未来を生きる子どもたちによりよい環境を引き継ぎましょう。
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文・構成/HugKum編集部