α世代とは
α世代の定義を解説します。定義を知って、彼ら彼女らを理解する土台を築きましょう。あわせてα世代以外の世代に関する基礎知識も紹介します。
2010年〜2024年に生まれた世代のこと
α世代とは、一般に2010年以降に生まれた人々のことを指す言葉です。2025年現在では0歳〜15歳の人たちを意味します。
この言葉の提唱者は、オーストラリアの世代研究者兼コンサルタントのマーク・マクリンドル氏です。新たな時代をリードする世代を形容するため、それまで世代を表していたラテン文字(X~Z)に代わり、ギリシャ文字の最初である「α」を用いています。
α世代の人たちは、2025年には世界全体で約20億人に達すると予測され、歴史的に見て世界最大規模の勢力になるといわれています。

出典:【α(アルファ)世代】~1分で分かるキーワード #134 – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース
α世代が育つ環境
α世代の特徴を形作る生育環境のひとつといわれているのが、IT技術を活用した学校教育です。彼ら彼女らは、小学生の頃からタブレットを活用して学び、プログラミング教育を必修科目として履修しています。それまでの世代では体験し得なかった最先端の学習環境に身を置いているのが、α世代といえるのです。
また、ウィズコロナの時代を当たり前として過ごしているのも、この世代の特徴を育む生育環境のひとつといわれています。物心がついたときにはすでに新型コロナウイルスとともに過ごしている彼ら彼女らにとって、遠隔授業も分散登校も特別なことではないのです。
◯世代の歴史
◯世代として表現される世代には、X世代・Y世代・Z世代があります。
X世代は、1965年~1970年頃に生まれた人々のことです。新しいものや品質の高いものに囲まれている状態を「豊かである」と認識する傾向が強い世代といわれています。
Y世代は、1980年~1994年頃に生まれた人々のことです。物事を現実的に捉える傾向が強い世代といわれています。また、インターネットが普及し始めた頃に多感な時期を過ごしているため、X世代よりもITスキルが高いといわれています。
Z世代は、1995年~2010年頃に生まれた人々のことです。生まれたときからインターネットやスマホに親しんでいるいわゆる「デジタルネイティブ世代」で、自ら発信することを楽しむ傾向を持っているといわれています。
α世代の特徴
α世代は他の世代の人々とは異なる個性を持つ世代です。α世代が持つ個性的な一面を紹介します。特性を知って「α世代の実像」に迫っていきましょう。
完全なるデジタルネイティブ
α世代を象徴する特徴として一番に挙げられるのが、完全なるデジタルネイティブ世代であるという点です。
彼ら彼女らはIT技術が成熟した社会に生まれているため、ITツールを活用して生活する・学ぶ・遊ぶのがごく当たり前になっています。例えば、小さい頃から親のスマホを使って動画を見たり、親のお下がりのパソコンを使ってゲームを楽しんだりするのも、ごくごく一般的といえるのです。
彼ら彼女らは、最新のテクノロジーをすんなりと受け入れられる素質を、生まれながらに備えており、親世代が知らないテクノロジーやプラットフォームも難なく使いこなせます。ときには親が驚くようなことをやってのけるのもα世代の特徴といえるでしょう。
多様性を抵抗なく受け入れられる
α世代は他者との違いをあっさりと受け入れられる資質を持っています。自分と違う価値観を持っている人に対し、偏見を持ったり差別したりすることはありません。
α世代よりも前の世代にとって、多様性は「尊重すべきもの」として認識されている側面があります。「当然のこと」として受け入れられていないところがあるため、意識的に丁重に扱っている部分があるといえるでしょう。
しかし、生まれたときから多様性という言葉や概念が身近にあったα世代にとって、多様性は「当たり前の存在」といえます。特別視している部分が一切ないため、無条件に他者を認めて尊重できるのです。

社会問題に対する感度が高い
α世代は社会問題に対する意識が高いといわれています。社会問題に対して自分の意見をしっかりと持ち、SNSで積極的に発信していく傾向があります。
例えば、海洋プラスチック問題を意識してコンビニでプラスチックのカトラリーを断ったり、SDGsに取り組んでいる企業の商品を積極的に選んだりするのも、彼ら彼女らの日常といえるでしょう。
このような特徴が生まれる背景には、社会問題に関する教育を幼少期から受けていることが要因になっていると考えられます。小さな頃から社会問題を見つめる目を養っているため、社会問題を自分事として捉えられるようになっているのです。
コスパよりもタイパを重視する
α世代は、学習面でも娯楽面でもタイパ(=タイムパフォーマンス)を重視する傾向があります。ショート動画が見られるアプリがα世代の間で流行るのは、彼ら彼女らが持つタイパ重視の考え方が起因しているといえるでしょう。
インターネットが成熟した社会に生まれたα世代は、情報過多の世界を生きている世代です。情報があふれる社会に身を置いていると、自分が求める情報をいち早く見つけ出したいという意識が強まっていくため、タイパ重視の思考になっていくと考えられます。
バーチャル空間との親和性が高い
デジタルネイティブであるα世代は、バーチャル空間で交わされるコミュニケーションに抵抗がないといわれています。オンラインゲームをリアルな友人同士で楽しんだり、メタバース内で知らない人とアバターを介して交流したりするのも、娯楽のひとつとして楽しめるのです。
彼ら彼女らがバーチャル空間に親しむようになったのは、新型コロナウイルスの流行がきっかけといわれています。外出自粛により、さまざまなシーンでメタバースが活用されるようになったため、α世代にとって「バーチャル空間で交流を楽しむ」という遊び方がごく一般的な娯楽として浸透したと考えられます。
α世代とZ世代の共通点と相違点

「α世代って何?」と思っている人であっても、「Z世代なら知ってるよ」という人は多いはずです。α世代とZ世代とを比較し、同じところと違うところを解説します。Z世代を通してα世代に対する理解を深めましょう。
【共通点】ともにデジタルネイティブ
α世代とZ世代の類似点は、ともにデジタルネイティブであるという点です。生まれたときからパソコンやスマホが身近なアイテムとして存在していた両世代は、IT機器を難なく使いこなせるデジタルネイティブ世代といえるのです。
しかし、両世代の「デジタルネイティブ度」は微妙に異なるとされています。α世代の方が、Z世代よりもさらにIT技術が成熟した時代に誕生しているがゆえに、Z世代よりもα世代の方がよりデジタルネイティブ度が高いといわれています。この事実を表現するため、α世代は「完全なるデジタルネイティブ」と評されることもあるため、覚えておきましょう。
【相違点】親世代のデジタルスキルの高さ
α世代とZ世代の違いとして指摘されているのが、親世代のITスキルの高さです。
α世代の親は、幼い頃からインターネットやパソコンなどに親しんできたY世代(1980年~1994年頃に生まれた人々)です。Y世代はそれまでの世代よりも高度なITスキルを持っています。そのためα世代は、Y世代の親と一緒にデジタル全盛の新時代を楽しんできた傾向があります。無意識に「デジタルの英才教育」を受けてきたといえるのです。
一方、Z世代の親は、社会人になって初めてIT技術に触れるようになったX世代(1965年~1970年頃に生まれた人々)です。Z世代の親はそこまでITスキルが高くないため、α世代のように親からデジタル教育を受けてきたとはいえません。
α世代が今注目を集めている
2025年には世界中で約20億人に達するとされるα世代は、世界の経済や社会に大きな影響を与えるといわれています。
α世代の最年長は2025年現在15歳であるため、自ら消費行動を決めていくパワーはそこまでありません。しかし彼ら彼女らが続々と成人を迎えれば、世界の経済を大きく左右する一大勢力になる可能性が非常に高いといえるでしょう。
これからの社会は、α世代の存在を無視することはできないといえそうです。
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構成・文/HugKum編集部
