僕は娘が3歳のときに妻と死別でシングルファーザーになりました。
死別にせよ離婚にしろ、ひとり親で子どもを育てている状況で、自分が恋愛をしていいのか? そんな風に考えるシングルファーザー/マザーさんは少なくないと思います。
実際に僕自身がそう考えていた時期がありましたが、今はシングルファーザーとして恋愛を経験してよかったと心から思っています。失敗した恋愛も含めて……本当にそう思います。
今回は、そんな僕の経験を交えながら、「子どもを育てながら恋愛をすること」についての正直な気持ちをお話しさせていただきますね。
恋愛することへの罪悪感とその正体
シングルファーザーとなったばかりのころの僕は、「娘以外のことに時間を使えない」だから「恋愛なんて考えている場合じゃない」と思っていました。また「ほかの誰かを好きになることは、死別した妻を裏切る行為なんじゃないか」と考えることもありました。
しかも、周囲の方々が娘や僕に関して親切にサポートしてくれる機会が増えれば増えるほど、恋愛することに対して罪悪感を抱くような気持ちに…。
もし、僕が恋愛していたら、周囲からどう思われるだろう? 恋愛することは僕のわがままだと思う人もいるのかなぁ…などと周囲の目を気にしていました。
でも、好きな人ができて恋愛を経験した後に振り返ると、それらは「僕の勝手な妄想」だったことに気がつきました。
なぜなら、周囲の方は恋愛を反対するどころか応援してくれたし、娘にとっても、僕が恋愛したことで得たものがたくさんあったからです。
子どもへの影響って? 意外なメリット

いちばん驚いたのは、僕の恋愛相手から「娘がとても多くのことを吸収していた」ということ。
たとえば、僕が苦手で教えたこともない洗濯物のたたみ方や掃除などを、娘はいつのまにか身につけていました。また女性らしい言葉使いや立ち居振る舞いなど、ガサツな僕ではどうしても教えられないことを、娘は、僕の恋愛のパートナーを通して自然と覚えていたのです。
そして、そんな自分を、いつもキラキラした笑顔で僕に見せてくれました。その笑顔は、できるようになったことが増えたからだけでなく、他人から大事にされることの喜びや幸せを感じている笑顔だったと思います。
さらに、娘が思春期の難しい時期に初めて生理を迎えたとき、僕ではなく、彼女に直接助けを求めていたのです。
母親がいない娘にとって、彼女は「信頼できる大人の女性」として、男の僕以上に安心して頼れる存在だったのだと思います。
▼そのときのエピソードはこちら
また、僕自身も彼女がいるおかげで、毎日イキイキしている時間が増えたことは、娘に伝わっていたと思います。子どもは親の変化にとても敏感ですよね。娘も、そんな様子の僕と過ごすことは、いつも以上に楽しかったはずです。
うまく行かなかったり、悩んだりした時間にも、意味がある
もちろん、すべての恋愛が常によい時間ばかりではありませんよね。悩んだこともたくさんありました。
特に、お付き合いしている相手にもお子さんがいたときは、子ども同士の関係性にも気を配り、深く考えることが多かったです。最初は仲よく遊んでいたのに、ちょっとしたことで気まずくなったり、それを見た僕たち大人が気を揉んだり…。
家庭がふたつ交わるというのは、やはり簡単なことではありませんでした。
でも、それも本当に貴重な経験でした。自分の子どもだけでなく、「他人の子ども」にも寄り添い、信頼関係を築こうとした時間は、親としての僕の視野を広げてくれました。
「どう接するのが正解だったんだろう?」と自問自答したことも多かったですが、きょうだいがいない娘もまた、その子と過ごす時間の中で「人と関わることの喜びや難しさ」や「良好な関係をつくるために大切なこと」を僕と共に考え、学んでくれているのがよく分かりました。
そのことに関して娘とたくさん話をしたことは、今でもお互いよく覚えています。
また、お付き合いしていた方との別れを経験する中で、娘に寂しい思いをさせたこともありましたが、「人生には別れと出会いの両方がある」ことや「人との関わりにはいろんな形がある」ことを娘が知り、少なからず何かを感じたことは、その後の成長や娘自身の恋愛にも役に立っていると僕は思います。
うまくいかなかったり、悩んだりした時間を含めて、意味のない恋愛はひとつもありませんでした。
恋愛がもたらした「親子での成長」

シングルファーザー/マザーの方が恋愛を考えたとき、無意識に自分の本音や気持ちを後回しにして「子どものために」「親としてこうあるべき」ということを最優先にしてしまうことは少なくないと思います。でも、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
親も、ひとりの人間であり、一度きりの人生を生きています。たとえば友人と語らったり、趣味に没頭したり、誰かを好きになることも、すべて人生の大切な一部。そこに「親だから」と線を引いてしまうことは、本当に子どものためでしょうか?
恋愛をして、誰かと深く関わることで、自分の弱さや至らなさと向き合うことがありますし、その未熟さを子どもに見透かされてしまうこともあるかもしれません。でも、それは子どもと自分自身の人間としての成長を後押ししてくれるものだと思います。
そして、その過程を通して親が幸せを感じている姿を見せることは、子どもにとって「生きることの喜び」や「人と関わることの素晴らしさ」を理解し、それを自ら探そうとする力に繋がるはずです。
「子どもがいるから恋愛はできない」ではなく、子どもがいる中で恋愛できたからこそ、これまでとは違った気づきや幸せがその親子にたくさんあると、僕は信じています。
すべての親子が幸せになりますように!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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文・構成/ひまわりひであき
※写真はイメージです。


