「テレビでエッチなシーンが流れたら消す⁉」「男の子に生理を教えるタイミングは?」思春期保健相談士に聞く【性の赤裸々相談室】

高校や小学校の保健室の先生を経て、現在はフリーランスの性教育講師、思春期保健相談士として各地の学校や講演会で活動しているにじいろさん。小学生ママたちの打ち明けにくい性に関するお悩みや疑問にお答えいただく大人気シリーズ【性の赤裸々相談室】。小学校高学年の男女のママからの疑問をご紹介します。

「エッチなシーンが気まずい……」そう思ったらどうすればいい?

娘が見ていたドラマで、突然ベッドシーンが流れて気まずいムードに……。耐えきれなかったのか、パパがチャンネルを変えました。(小5、中1の女の子のママ)
セクシーなコスプレイヤーの方が出てきて、息子の顔が真っ赤に。どう反応すればいいかわからず、困りました。(小6男の子のママ)

思ったことをそのまま口に出してみるのも◎

にじいろさん(以下:にじいろ) 「気まずい」と感じるあまり、テレビを消してしまったり「こんな番組観るのやめなさい」と言ってしまったりすることがありますよね。突然のベッドシーンやセクシーなコスチュームのシーンにびっくりすることは確かです。親も正直に「お、びっくりしたー」など気持ちを素直に言語化していいと思います。

——どうしていいかわからず、チャンネルを変えたり、咳ばらいをしたり……(笑)。素直に言うのもいいんですね。

にじいろ はい。例えば、壁ドンや無理やり押し倒されるといったシーンを見た場合は「こんな風にされたら嫌だって思わないのかなぁ」と独り言のようにつぶやいてみたり「2人で見ているときにこんなシーンが流れたら、『きまずい』ってなるよね(笑)」と子どもに話しかけたりするのもいいですね。

気まずいシーンが流れたときの声かけ例
「ママも昔はこういうシチュエーションに憧れていたけど、今はこわいって感じるかも」
「この二人が結ばれて幸せだねー! よかったよかった」
「このドラマに出てくる男の子はちょっと威圧的な感じがしない?」

——思ったことを口にしないほうがいいと思っていましたが、特別な話題だと構えすぎずに、普通に話したほうが自然ですね。

にいじろ もし、話しながら子どもとの話が盛り上がったら、性教育の話をするチャンスだと思って、もうちょっと踏み込んだ話をしてみるのもおすすめです。

「さっきのドラマの二人は両想いだけど、実際は妊娠や性感染症の危険もあるよね」「今のシーンを見てどういうことかわかる? 学校の性教育でも習ったかな?」このように、一緒に見たシーンについて、会話をしてみるのもおすすめです。子どもが話したくなさそうだったり、親のほうが気まずいと思うようだったりしたら、無理に話をすることはありません。

生理のことは女子だけではなく、男子にも知っていてほしい

うちは息子しかいないのですが、生理の話はいつ頃したほうがいいのでしょうか? 「学校で習った?」と聞いても曖昧な返事でよくわかりません。(小4、6の男の子のママ)

教えるよりも前に、どのくらい知っているかを聞いてみる

小学校で実際に配られたナプキンと冊子

にじいろ 小学4年生の保健の授業で第二次性徴についてを習います。教科書には「生理」ではなく「月経」と書かれているので、もしかしたら月経=生理だと思っていないのかもしれませんね。生理についていきなり説明をしようとすると、ふざけたり恥ずかしがったりして話を聞いてくれないこともあります。そのため「学校の保健の授業でどんなことをやってる?」「生理とか月経っていうのは学校で習った?」と聞いてみて、どのくらいの知識があるのかを把握しましょう。

——昔は女子だけ呼び出されて、生理の話をされ、ナプキンの試供品をもらったような気がしますが、今はどうなんでしょうか?

にじいろ 小学3・4年生で年間4時間、5・6年生で年間8時間程度の保健の授業があります。しかし、性教育と言っても「成長に大事な栄養について」「体つきの変化」「月経や射精について」など、さまざまな内容を学ぶため、生理のことを学ぶのは1時間もないことが多いと思います。月経については保健の教科書に載っているので、男の子も学びますが、ナプキンや教科書以外の冊子のようなものを配付して、生理について詳しく話をするときは、男女で分けられることがあります。それは学校や先生の裁量によっても変わるので、気になる場合は面談などで担任の先生に聞いてみてもいいかもしれませんね。

——同じ教科書を扱っていても、どのように授業をしているかは、学校やクラスによって違うのですね。保健の教科書は家に持ち帰ってくることも少ない気がします。

にじいろ そうです。生理についての話は養護教諭がするという学校もあると思います。保健の教科書は3・4年生で1冊、5・6年生で1冊とされていますが、どちらも割と薄めの教科書で、学校に置きっぱなしにしているところが多いですね。年度終わりなど、教科書を持ち帰ったときに話題に出すのもおすすめです。

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お話を聞いたのは

にじいろ 性教育講師・思春期保健相談士

元保健室の先生であるにじいろさんが性教育を行う対象は子どもだけではなく、保護者や教員など様々。現場の声と知識を活かして、多岐にわたる活動をしている。昨年出版した著書「10代の妊娠」(合同出版)では、10代の子どもの妊娠や出産、中絶など、リアルな性の悩みを紹介し話題となっている。

  • 取材/本間 綾

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