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国民的RPG「ドラゴンクエスト」のシリーズ初となる3DCGアニメーション映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が、8月2日(金)より全国公開されます。熱狂的なファンが多いシリーズだけに、筆者も期待と不安が入り混じったなかで試写を観ましたが、ラストは「そう来るか!」と衝撃を受けました。結果として、本作はこれまで「ドラクエ」を愛してきたファンの琴線に触れる感動作に仕上がったと思います。
さらに、原作・監修は「ドラクエ」の生みの親であるゲームデザイナー・堀井雄二、音楽も「ドラクエ」でゲーム音楽を芸術の高みに上げた作曲家・すぎやまこういち。そして『STAND BY ME ドラえもん』のヒットメーカー、山崎貴の総監督・脚本で、監督は同作でもタッグを組んだ八木竜一と花房真と、ドラクエファンの期待を裏切らないどころか、これ以上にない最強の面子が揃いました。
もちろん、声優陣もオールスターキャストと言っても過言ではない豪華な布陣となっています。主人公のリュカに佐藤健、リュカの幼馴染ビアンカに有村架純、大富豪の娘フローラに波瑠、わがままな王子ヘンリーに坂口健太郎、リュカの父パパスに山田孝之と、人気実力を兼ね備えた俳優陣が作品に命を吹き込んでいます。
佐藤健、有村架純らの魂をこめた熱演が冴える
映画ができる前のパイロット版で、すでに声を当てていたのが、リュカ役の佐藤健です。演技と身体能力を兼ね備えた佐藤さんは、これまで数多くのヒーローを演じてきただけあって、リュカ役にピッタリ。有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之など他のキャストの面々もほぼファーストオファーで決まったとか。
通常のアフレコではなく、画が完成する前に声を収録するというプレスコの形式を取ったことも功を奏しました。たとえば、掛け合いのシーンなどでは、実際に佐藤さんと、他のキャストがその場でリアルにやりとりをしたものがそのまま収録されています。
もともと「ドラクエ」は没入感がキモとなるRPGですから、俳優陣の豊かな感情表現は非常に大切な部分。佐藤さんたちの熱演に引き込まれ、たっぷりとその世界観に身をゆだねることができそうです。
親子三代で受け継がれていく家族の絆が深い
本作のベースになっているのは「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」で、親子三代にわたって魔王を倒すことと、結婚相手を選ぶという2つの物語が軸となっています。山崎さんは「ドラマが多く、映画的なうねりがあり、シリーズの中で一番映画に向いている傑作だと思いました」と大いに共感し、脚本を紡ぎあげました。
果たして父の無念を果たそうと奮闘するリュカの運命とは? そして、リュカは、ビアンカとフローラのどちらを妻とするのか? ゲームをクリアした方も、初めて「ドラクエ」に触れる方も、ドラマティックな展開にドキドキハラハラしながら観ていくと、途中で予想もつかない展開が待ち受けていて、「ええ!」と心のなかで、雄叫びを挙げてしまいそうです。
ネタバレは避けますが、観終わってみると、これは、「ドラクエ」という世界が誇るコンテンツを手掛けてくれた堀内さんたち制作陣に対する、ある種のラブレターだなと感じました。だからこそ「ドラクエ」をこれまで愛し、時間を共有してきたファンたちにとってはたまらない結末になっていると思います。
また、『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』というタイトルにも、なるほどなと大いにうなずきました。子どもはもちろん、きっとゲームに親しんてできたママやパパの心にも非常に刺さるメッセージが込められています。ぜひ、夏休みにご家族揃って楽しんでみてください。
総監督・脚本:山崎貴 監督:八木竜一、花房真
原作・監修 堀井雄二
声の出演:佐藤健、有村架純、波瑠、坂口健太郎、山田孝之、ケンドーコバヤシ、安田顕、古田新太、松尾スズキ、山寺宏一、井浦新、賀来千香子、吉田鋼太郎…ほか
公式HP:https://dq-movie.com/
文/山崎伸子