きしめんの特徴は、なんといっても幅広の麺。噛む力が育つ時期の子どもにも食べて欲しい形です。温かい一杯はほっとする味わいに、冷たい一杯はさっぱりと食べることができますよ。
家にある調味料と身近な具材を使って、簡単に仕上げる方法を見ていきましょう。10月26日の「きしめんの日」に合わせて、定番レシピをそろえました。
家庭で作る基本のきしめん
まずは体の芯から温まる、温かいきしめんの作り方を確認しましょう。つゆは、味が決まりやすい白だしを使えば、失敗がありません。
温かいきしめんのレシピ
湯気とともにふんわりと生姜が香り、心も体もホッと温まるレシピです。疲れて帰った夜でもサッと作れますよ。鶏肉と玉ねぎを入れて、栄養バランスも整えましょう。

・材料
(2人分)
乾燥きしめん 2束
鶏むね肉 150g
玉ねぎ 1/2個
油揚げ(味付き、市販品) 2枚
生姜汁 小さじ1
水 600ml
白だし(10倍濃縮) 大さじ4
・作り方
【1】鍋にたっぷりの湯を沸かし、きしめんをゆで始めます。ゆで時間は、袋の表示時間どおりです。
【2】鶏むね肉は薄いそぎ切り、玉ねぎは薄切りにします。油揚げは、半分に切ります。
【3】別の鍋に水と白だしを入れて煮立て、玉ねぎ、鶏肉の順に加えて火を通します。生姜汁を加え、味をなじませます。
【4】ゆで上がった麺をざるに引き上げ、ぬめりを取るために冷水でさっと洗います。水をよく切ります。

【5】冷えた麺を再び熱くする場合は、ゆで汁に麺を戻し、10〜15秒ほどくぐらせて温めます。
または、給湯器などで60℃程度のお湯を用意し、麺を30秒ほど浸して温めることもできます。
※小さな子どもには、熱々よりも、ややぬるめの温度がおすすめです。麺の温め直しをせず、そのままつゆをかけるとちょうどよく温度が下がり、安心して食べることができます。
【6】器に麺を盛り付けます。温かいつゆと具を注ぎ入れ、油あげを添えて完成です。
・ポイント
子ども用には、麺を短く切ってからゆでると、食べやすい長さに調節できます。
生姜は半量にすると辛みが和らぎ、やさしい味になります。
きしめんをおいしく仕上げるコツ|冷水で洗う&蒸らしのひと手間
きしめんの魅力ともいえる、つるつるとした喉ごしは、ゆで上がったあとの、ちょっとしたひと手間で格段にアップします。
きしめんをおいしく仕上げる「冷水洗いの理由」と、小さなお子さん向けに、麺をやわらかくする「蒸らしのコツ」をまとめました。温かいきしめんにも、冷たいざるきしめんにも応用できる裏ワザ、ぜひ試してみてください。
冷水で洗うと、つるっとした食感に
ゆで上がったきしめんは、表面にでんぷんの「ぬめり」が残っています。ざるに上げて冷水でしっかりと揉み洗いすることで、「ぬめり」が落ち、つるっとした口当たりになります。
冷たいきしめんに仕上げる場合は、冷水で締めたあと、水気をよく切ってそのまま盛り付ければOK。のどごしがよく、暑い季節にもぴったりの一杯になります。

一方、温かいきしめんを作るときも、一度冷水で洗うことで、だしが濁らず、すっきりとした味わいになります。
蒸らしてやわらかく
子どもにも食べやすい、やわらかい仕上がりにした場合は、ゆで終わりに火を止めてフタをし、1〜2分ほど蒸らすのがおすすめです。
余熱による蒸らしで、やわらかくなりますよ。お子さんの食べやすさに合わせて、麺の固さを確認しながら時間を調整してくださいね。

名古屋の味を家庭で再現! めんつゆで作る味噌煮込み
名古屋名物の「味噌煮込み きしめん」は、深みのあるだしと味噌のコクによる、奥深い味わいが魅力ですね。
家庭でイチから本格的なつゆを作るのは、だし取りや火加減が難しくて大変ですが、めんつゆをベースに使うことで、手間をかけずに仕上がります。
小さなお子さん向けには味噌を控えめにして、みりんを少しプラスすると、まろやかになりますよ。
名古屋風の味噌煮込みきしめん
名古屋では八丁味噌を使うのが定番ですが、家庭では赤味噌や合わせ味噌でもおいしく作ることができます。

・材料
(2人分)
きしめん(ゆで麺) 400g
鶏もも肉 100g
長ねぎ 1/2本
白菜 4枚
しいたけ(またはしめじ) 2枚分
油揚げ 1枚
卵 2個
水 600ml
八丁味噌(または赤味噌) 大さじ2
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ2
みりん 大さじ1
砂糖 小さじ1
・つゆの作り方
【1】鶏肉は一口大、しいたけは薄切り、長ねぎは斜め切り、油揚げは短冊に切ります。
【2】鍋に水とめんつゆ、みりんを入れ、中火にかけます。沸騰したら鶏肉としいたけを加え、火を通します。
【3】火を止め、味噌を溶き入れます。味噌は香りを飛ばさないよう、火を止めて溶かすのがポイントです。
砂糖を加えて味を調え、ひと煮立ちさせたら完成です。しっかりした濃い味が好みなら、味噌を少量(小さじ1/2程度)足してください。
・麺をおいしく仕上げるポイント
麺は、別鍋で下ゆでします。記載された時間より少し短めにゆでて「固ゆで」にするのがポイントです。
忙しい日は、ゆで麺を使用すると時短で作ることができるので、おすすめですよ。
【1】別鍋に湯を沸かし、麺をゆでます。
ゆで麺 麺がほぐれたらすぐに引き上げます。
生麺 再沸騰してから30秒〜1分で引き上げます。
乾麺 記載時間の1/3〜1/2ほど。
【2】固ゆでした麺を、ざるにあげ、軽く水洗いします。

こうすることで、麺に水分が入るため、つゆを吸いすぎません。
・煮込み仕上げ
【1】つゆの鍋に、固ゆでにしたきしめんを入れます。
【2】軽くほぐしながら、好みの固さになるまで数分煮込みます。
【3】仕上げに卵を割り入れ、フタをして1分程蒸らします。卵が半熟状になるまで煮たら、完成です。
きしめんに合う具材の選び方
家庭で用意しやすく、お子さんも食べやすい具材を中心に、定番からボリュームアップの工夫まで、きしめんに合うものを集めました。

定番の具材
シンプルな具材は、麺とだしの風味を引き立てます。お好みで組み合わせてくださいね。
・かまぼこ
だしの風味を邪魔しない控えめな味で、彩りにもなります。
・青菜(ほうれん草・小松菜など)
鮮やかな緑色が食欲をそそり、栄養バランスも整いますよ。
・花かつお(削り節)
きしめんの定番中の定番です。食べる直前にたっぷりのせると、風味が豊かに。
・わかめ
さっぱりと仕上がり、ミネラルを補給できます。
・きのこ類
しめじ、しいたけ、えのきなどは、食物繊維が豊富でヘルシー。うま味も足すことができますね。
ボリュームアップの工夫
普段、うどんの具材として用いる素材を合わせても、おいしくいただけますよ。

・天ぷら
冷たいきしめん(ころきしめん)にエビ天をのせる「天ころ」は、名古屋で人気のメニューです。
・鶏肉
鶏のうま味が溶け出し、つゆ全体のコクが深まります。味噌煮込みきしめんにもよく合います。
・卵
卵とじにすれば、とろみとやさしい口当たりで、小さなお子さんでも食べやすくなります。温かいきしめんに生のまま落とせば、黄身のコクがつゆ全体に溶け出し、濃厚な味わいに変化しますよ。
半熟のゆで卵を作ってトッピングしても。濃厚な黄身が麺に絡み、まろやかなおいしさが楽しめます。
家族で味わう、きしめん
きしめん特有の幅広の麺はつゆがよく絡み、子どもにも食べやすい形です。白だしやめんつゆを使えば味が決まりやすく、家族それぞれの好みに合わせて調整できます。
季節や気分に合わせて楽しめるのが、きしめんの魅力です。具材を工夫して、家族みんながおいしく味わえる一品になるといいですね。名古屋風の味噌煮込みうどんにも、ぜひ挑戦してみてくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)