コシのない優しいうどん⁉【伊勢うどん】のすべて|タレの作り方と、お家アレンジレシピを紹介

伊勢名物の「伊勢うどん」。その魅力と味わい方の徹底ガイドです。自宅で楽しむ基本レシピやアレンジをみていきましょう。

「このうどんじゃないと、食べた気がしない」地元ではそんな声も耳にするほど、独特な特徴をもつのが伊勢うどんです。一般的なうどんの2〜3倍はあろうかという、圧倒的に太い麺と、たまり醤油から作られたつゆ、そして口にした時の柔らかさにも驚きが。その味をぜひ一度口にして、伊勢うどんを体験してみてくださいね。

基本の伊勢うどんの調理法、具材の選び方、入手方法をご紹介します。

伊勢うどんの特徴

歌川広重「伊勢参宮・宮川の渡し」[三重大学付属図書館所蔵]  江戸時代から広く行われるようになった伊勢参りの様子が描かれる Wikimedia Commons(PD)

江戸時代から伊勢参りの参拝客にも振る舞われた伊勢うどんは、遠方までの帰路に向かう人々によって全国に知れ渡りました。長旅で疲れた体に、消化の良いうどんを振るまわれて味わった体験は、さぞかし心に残ったことでしょう。

伊勢うどんの麺は食感に特徴があり、風邪をひいたり、食欲がなかったりする時にも食べられるくらいの柔らかさ。

生麺は太さ1cmほどもあることから、茹でるのに1時間近くかかります。絶えず湯がき続けることから、参拝客に振るまいやすかったことも、重宝される要因でした。

もともとは、米作よりも小麦の生産が多かったこの土地で、生地を伸ばす手間をかけずに作った製法が広まったそうです。

昭和43年頃になると小袋の茹で麺がスーパーに並ぶようになり、現代のご家庭では、これを湯がいて口にするのが一般的です。

伊勢うどん

つゆ

各家庭で作られていた地味噌には「たまり醤油」ができます。これを自家製麺にかけ、具はネギだけ。いわば、手軽なファーストフードとして古くから暮らしを支えてきました。

つゆの見た目は真っ黒なことから、さぞかし辛いと思いきや、じつは甘みがあってまろやかな味。見ためほど濃く感じないので、不思議な味わいがあります。

現代ではさまざまなメーカーから伊勢うどん用のつゆが市販されており、1回分ずつに小分けされたつゆも手に入ります。より手軽に楽しむことができるので、常にストックを切らさないご家庭も多いんだとか。

伊勢うどんのレシピ

伊勢うどんをご家庭で楽しむ際は購入した茹で麺をお湯で茹で、つゆをかけるだけ。地元ではお子さんが自分で調理し、おやつにもするそうですよ。

タレの作り方

伊勢うどんに欠かせないのがタレ。自家製で作ることもできるので、味わってみませんか?

・材料

(10人分)

みりん 200ml
たまり醤油 200ml
砂糖 大さじ1(10g)

【だし汁】 200ml
かつお節 10〜15g
昆布 2g
水 250ml

・作り方

【1】鍋に水を入れ、昆布を加30分ほどおいておきます。

【2】【1】を火にかけ、沸騰する前に昆布を取り出してください。そのまま加熱を続け、沸騰したらかつお節を入れます。再度沸騰したら火を止めます。粗熱がとれたら、濾してください。

【3】別の鍋を用意して、みりんを火にかけます。アルコールを飛ばし、たまり醤油と砂糖を加えてひと煮立ちさせます。

【4】【2】のだしを加えて煮立たせ、火を止めます。冷めたら冷蔵庫で保存します。

伊勢うどんへの仕上げ方

ここからは市販の茹で麺を使い、仕上げるまでの工程をご覧ください。

・材料

伊勢うどん(茹で麺) 1玉
つゆ 40〜50ml
青ネギ 少々
七味唐辛子 お好み量

・作り方

【1】熱湯を用意して、伊勢うどんを湯がきます。

最初から箸でほぐすと麺が短く切れてしまうので、2分程はこのままかき混ぜません。
最初から箸でほぐすと麺が短く切れてしまうので、2分程度はこのままかき混ぜません。

【2】麺が浮いてきたところでお湯をきります。

湯で時間は商品の記載をご参考に。
湯で時間は商品の記載をご参考に。

【2】丼に麺を盛り付け、つゆをかけて全体に絡めてください。青ネギを散らし、お好みで七味唐辛子を振ってお召し上がりください。

伊勢うどんの食べ方

伊勢うどんのおすすめの食べ方や、トッピングのアイデアについて紹介します。

具材の選び方

通好みのシンプルな伊勢うどんといえば、ネギと唐辛子だけのもの。お好みで花かつお、天かす、卵黄などをのせる場合もあります。

一方で、伊勢うどんを実際に提供している店舗メニューには、さまざまな具材を合わせる工夫がみられます。

天ぷらなどはごく一般的で、エビフライや、一口カツが添えられることも。カレーうどんに仕立てても相性が良く、ご当地グルメの松阪牛を合わせた肉うどんも珍しくありません。その他にも、半熟卵を絡めたり、ヘルシーなめかぶやとろろうどんの他、卵焼き、かまぼこをのせたりと、豊富なアレンジメニューが楽しめます。

定食なら海鮮丼や手ごね寿司と合わせたメニューも人気です。
定食なら海鮮丼や手ごね寿司と合わせたメニューも人気です。

アレンジレシピ

ご家庭でも作りやすい、アレンジ方法をご覧ください。

・味噌煮込みうどん

味噌で煮込んだ麺は、お味噌のだしがよく滲みて味わいが深まります。もともと麺が柔らかいため、あまり長く煮込む必要はありません。味噌本来の味が最後まで残る点もおいしさの秘訣です。

・牛すじ煮込みうどん

八丁味噌で煮込んだ牛すじをうどんにのせて、ネギと一緒に口にするのも絶品です。たまり醤油と味噌の組み合わせは、間違いありません。

・納豆うどん

納豆を合わせるのは、伊勢のご家庭でもよくみられるメニューのひとつ。納豆とたれとの相性がよく、キムチを添えるアレンジもおいしいですよ。

購入できる伊勢うどん

現地のスーパーで販売されている麺は通販でも購入できます。贈答用ではなく、いたって飾り気のない商品は、ストック用にピッタリです。

伊勢うどん(かつおだしつゆ付)

小分けされたつゆが付いています。また、真空包装の簡易パッケージは、常温で3か月保存可能。忙しい毎日に活用しやすい伊勢うどんです。

冷やし伊勢うどん 10食分

茹でた麺を冷たい流水で冷やして食べるのが、冷やし伊勢うどん。普通の麺を冷製にしてもおいしいですが、こちらは冷やし専用麺です。一度、試してみては?

伊勢市民のソウルフード

固いものが食べられないような体調不良の時にも助けてくれる、優しい味の伊勢うどん。単純な料理ですが、その中に奥深い魅力が詰まっています。

伊勢市民のソウルフードでもあることから、各自のお好みに合わせたアレンジ方法にも注目です。ご家庭に取り入れて、伊勢うどんの魅力を再発見しましょう。

こちらの記事もおすすめ

「うどんレシピ」42選|子どもに人気!卵や納豆のアレンジメニューも満載
子どもに人気のうどんレシピ 【1】野菜たっぷりうどん 簡単にとれるだしを使ったおつゆは、少しの味付けでもしっかりとした味わいに。野菜...

構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

編集部おすすめ

関連記事