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10月28日は「パンダの日」
なぜ10月28日が「パンダの日」なのか知っていますか?
実はこの日は、日本に初めてパンダがやって来た特別な日なんです。パンダの日の由来や歴史を、親子で楽しく学びながら、「パンダが日本にやって来た理由」「その後の歩み」についても見ていきましょう。
由来は? 10/28の数字のワケ
「パンダの日」が10月28日に定められたのは、1972年(昭和47年)10月28日に、日本で初めてジャイアントパンダが上野動物園(東京)にやって来たことに由来します。
この日、中国から特別機で来日したのは、2頭のパンダ「ランラン」と「カンカン」。到着後まもなく一般公開され、その愛らしい姿に日本中が夢中になりました。上野動物園の入園者数は急増し、まさに“パンダブーム”が社会現象となったのです。
この出来事をきっかけに、日本ではパンダが「白黒ふわふわの人気者」として広く知られるようになり、飼育や保護の取り組みも本格的に進みました。以来、10月28日は「日本とパンダのご縁が始まった日」として記念されているのです。
「パンダの日」のイベントってあるの?
10月28日の「パンダの日」にあわせて、さまざまな“パンダイベント”が開催されています。ここでは、2025年に注目のイベントを3つご紹介しましょう。どれも親子で楽しく参加できる内容です。
親子でパンダの日を楽しむなら、動物園に出かけるのはもちろん、その他の場所でも、「10月28日はパンダの日だね」と家族で話すきっかけになります。
大パンダ展(東京都新宿区/行知学園)

中国の人気パンダたちが一堂に会する写真展・映像展「大パンダ展」。2025年11月8日から10日まで、東京都新宿区・JMFビル高田馬場で開催されます。
会場では、これまで日本で見られなかったパンダたちの写真や映像をはじめ、パンダグッズの販売やワークショップ(トレカケースデコなど)も実施。子どもから大人まで楽しめる“学びとかわいさ”が詰まった展示です。
参照元: PR TIMES|大パンダ展 プレスリリース
ジャイアントパンダ来日53周年記念「上野Come Come Panda Project 第3弾」

1972年10月28日のパンダ初来日から53周年を記念して、上野案内所では特別企画「上野Come Come Panda Project 第3弾」が開催中です。
2025年10月8日から順次、限定グッズやコラボアイテムが登場。パンダの手型をデザインしたバウムクーヘンや、かわいい刺繍入り手袋、ステッカーなど、おみやげにもぴったりなラインナップです。
上野の街全体が“パンダ記念月間”として盛り上がるこの時期は、散歩をしながらショップをめぐるのもおすすめ。親子でお気に入りのパンダグッズを探してみるのも楽しいですね。
参照元:PR TIMES|ジャイアントパンダ来日53周年記念 新作パンダグッズ発売
パンダはいま、日本に何頭いる?
2025年10月現在、日本で暮らしているジャイアントパンダは何頭いるのでしょうか?
「パンダといえば上野動物園」と思う方も多いかもしれませんが、かつては和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド」にもたくさんのパンダがいました。ここでは、現在の日本のパンダ事情を見ていきましょう。
上野動物園(東京)では2頭が暮らしています
2025年10月時点で、日本国内でパンダを飼育しているのは上野動物園だけになりました。
現在暮らしているのは、双子の シャオシャオ(暁暁・オス) と レイレイ(蕾蕾・メス) の2頭です。2頭は2021年6月23日に生まれた兄妹で、両親はリーリー(力力)とシンシン(真真)です。
このリーリーとシンシンは、2024年9月29日に中国へ帰還したため、現在は子どもたちのシャオシャオとレイレイのみが上野で暮らしています。毎日仲良く竹を食べたり、木登りをしたりする姿が人気で、多くの来園者が訪れています。
上野動物園は、1972年に日本で初めてパンダを迎えた「パンダの聖地」。半世紀以上にわたって繁殖や保護に取り組み、世界中から高い評価を受けています。
参照:上野動物園公式サイト
和歌山・アドベンチャーワールドのパンダたちは中国へ
かつて日本でもっとも多くのパンダを飼育していたのが、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドです。
「良浜(らうひん)」「結浜(ゆいひん)」「彩浜(さいひん)」「楓浜(ふうひん)」の4頭が暮らしていましたが、2025年6月に4頭そろって中国・成都ジャイアントパンダ繁育研究基地に帰国しました。
帰還の理由は、日中間で結ばれている「ジャイアントパンダ保護共同プロジェクト」の契約期間が満了したためです。このプロジェクトは、パンダの繁殖・研究・保護を目的とした国際的な協力事業で、日本と中国が共同で取り組んできました。

アドベンチャーワールドでは、1994年にスタートして以来、20頭以上のパンダの繁殖に成功しており、その多くが中国へ渡り、次の世代を育てています。飼育や繁殖を通じて得られたデータや経験は、世界的なパンダ保全研究にも役立てられています。
帰国は寂しいニュースでしたが、彼らが中国で新しい仲間と出会い、命をつなぐことは、パンダの未来にとって大きな意義があります。アドベンチャーワールドで生まれたパンダたちが、いまも中国の地で新しい命を育んでいることを思うと、少し誇らしい気持ちにもなりますね。
参照元:アドベンチャーワールド公式サイト|パンダファミリー
:アドベンチャーワールド公式|パンダ繁殖と保護活動
:ジャイアントパンダ保護共同プロジェクト 公式ページ
他の施設や海外ではどう?
現在、日本でパンダを見られるのは上野動物園の2頭のみですが、世界では約750頭のジャイアントパンダが飼育されています(野生では約1,800頭)。
もっとも多くのパンダが暮らすのはもちろん中国本土で、その他アメリカやフランス、韓国などにも「繁殖研究協定」に基づいて貸与されています。
パンダは中国の国宝でもあり、海外の動物園にいるパンダもすべて「中国からのレンタル」。飼育期間が終わると中国に返還されるのは、そのためです。日本のパンダたちも同じルールのもとでやって来ており、返還には国際的な約束が関わっています。
参照元:WWFジャパン|その数1,864頭 ジャイアントパンダの最新の推定個体数
:AFPBB News|飼育されているパンダの数が世界で757頭に
パンダはいつまで日本にいる?

「このパンダ、ずっと日本にいるの?」――そんな疑問に答えます。日本で飼育されているパンダたちの滞在期間と、返還に向けたスケジュールを見ていきましょう。
上野動物園との契約期間は?
上野動物園で飼育中の双子パンダ、シャオシャオ(♂)・レイレイ(♀)は、2021年6月23日生まれ。
この2頭に関して、東京都と中国野生動物保護協会(中国側)との協定では、「返還期限は令和8年(2026年)2月20日まで」と明記されています。
また、2025年5月2日の記者会見で小池百合子東京都知事は、「日中共同の繁殖研究プロジェクトをこれからも継続していきたい」と述べており、返還期限があっても交渉や契約更新の可能性があることをほのめかしています。
つまり現在のところ「2026年2月20日まで」という期限は確定ルートですが、あくまで「現協定で決まっている期限」であり、延長や新たな契約次第で変動する可能性があるという点も押さえておきましょう。
参照元:上野動物園公式サイト|パンダに関するお知らせ(2024年10月発表)
:日刊スポーツ|小池都知事「繁殖研究プロジェクトを継続したい」記者会見(2025年5月2日)
今後のパンダ来日や契約延長の可能性は?
現在、日本で飼育されているパンダは上野動物園のシャオシャオとレイレイの2頭のみです。和歌山・アドベンチャーワールドの4頭はすでに2025年6月に中国へ返還されました。
今後注目されるのは、上野動物園の双子パンダの契約更新や新たなパンダの来日があるかどうかです。前述の通り、東京都は「日中共同の繁殖研究プロジェクトを継続したい」との意向を示しており、契約延長や新たな貸与交渉が行われる可能性もあります。
パンダの滞在期間は、①協定で定められた期限、②日中双方の交渉、③個体の健康や繁殖状況など、複数の要因によって決まるため、今後の動向に注目が集まります。
もし返還されたらどうなる? 子どもと話すためのヒント
子どもに「パンダが日本からいなくなるってこと?」と聞かれたら、こんな風に説明すると理解しやすいです。
パンダたちはもともと中国の動物で、日本では“お借りしている”形で暮らしている。
お借りした期間(契約)が終わると、また中国に戻ることがある。これが「返還」。
返還されたら、中国の研究基地などで、またちがう仲間と一緒に暮らしたり、パンダの子どもを育てるお手伝いをしたりすることがある。
日本にずっといるわけではなくても、「日本で生まれたパンダ」が中国で新しい役割を果たすこともある。
「返還されたら見られなくなるの?」という不安には、「いまのところ日本で会えるのは〇〇年〇月までという目安があるけれど(例:2026年2月20日)、話し合い次第で日本にいる時間が延びる可能性もある」と伝えてあげると安心です。
見に行くならいま!「会えるうちに会っておこうね」と、親子で計画するきっかけにもなります。
パンダ返還の理由は?

では、あらためて「なんでパンダを中国に返さなきゃいけないの?」という問いの答えを整理します。その背後には、意外としっかりとした国際ルールと契約の仕組みがあります。
貸与制度とは何? パンダと“貸し出し”の始まり
ジャイアントパンダは、中国に生息する特別な動物です。海外の動物園で見られるパンダの多くは、中国から「貸し出されている」個体。これは、中国と世界各国の動物園が協力して行う「繁殖研究と保護活動」の一環です。
1970年代ごろまで、中国は友好のしるしとしてパンダを「贈る」こともありましたが、1984年以降は「貸与(リース)」という形に変わりました。この制度では、海外の動物園で一定期間パンダを飼育しながら、繁殖や健康管理の研究を行い、その成果を中国側と共有することが決められています。
つまり、パンダは「国際協力のパートナー」として世界の動物園をつなぐ存在。貸与によって多くの人がパンダに出会えるようになり、同時に「いのちを守るための研究」も進められてきました。そうした意味で、パンダは“かわいい大使”として、国や文化をこえて私たちをつなげてくれています。
なぜ返還しなければならないの? 契約の仕組み
前にも触れたように、海外の動物園で見ることができるパンダたちは、基本的に中国から「貸し出されている」動物です。この貸与は「繁殖研究と保護を目的とした国際協定」に基づいて行われており、期間や条件が明確に定められています。
一般的な契約では「10年」などの貸与期間が設けられており、期間が終わるとパンダは中国へ帰ります。また、海外で生まれた子どものパンダも、原則として中国の所有とされ、成長に合わせて母国に返還されます。こうした取り決めは、パンダという貴重な種を守り、繁殖や健康の研究成果を世界で共有するためのものです。
返還後のパンダたちと、日本の動物園のこれから
前述のとおり、貸与契約が満了すると、パンダたちは中国へ帰国します。返還されたパンダたちは、中国の保護研究施設で新しい環境に適応しながら、繁殖や保護の研究に携わっていきます。日本で生まれた個体が、今度は中国で次の世代を育てることもあり、命のバトンが国をこえて受け継がれているといえます。
日本の動物園でも、返還を「お別れ」ではなく「新しい命を育てる旅立ち」として見送り、これまでに得た繁殖や飼育の知見を、次に来る世代へと生かしています。
こうした国際的な取り組みを通じて、パンダという種の保全が世界規模で進められているのです。
参照元:京都産業大学「パンダと日中関係」
子どもと話すためのヒント
パンダの「返還」は少しさみしく感じるかもしれませんが、親子で前向きに話せるきっかけにもなります。こんなふうに伝えると、子どもにもわかりやすく、やさしい気持ちで受けとめられます。
「施設の人たちも寂しいけど、パンダがいちばん幸せに暮らせる場所に帰るんだよ」
→ 動物福祉や自然保護の視点にも自然につなげられます。
「パンダは中国の動物だから、貸してもらっているんだよ」
→ 返す=終わりではなく、「また中国で新しい役目を持つ」という前向きなニュアンスになります。
「返される日が近づいたら、会いに行くタイミングだね」
→ 来園を計画するきっかけにできます。
「日本で生まれた子どもパンダが、中国で育っているかもしれないね」
→ 「いなくなっても“おともだち”は続いているんだよ」と話すと、安心感が得られます。
親子で楽しむ「パンダの日」の過ごし方

10月28日は「パンダの日」。かわいいだけでなく、国際協力や動物保護のシンボルでもあるパンダを通して、親子で楽しく学べるチャンスです。身近な体験を通して、動物たちへの関心を深めてみましょう。
動物園でパンダを観察してみよう
上野動物園では、双子パンダのシャオシャオ(オス)とレイレイ(メス)が毎日元気に過ごしています。竹を食べる姿や木登りをするようすは、見ているだけで笑顔になる人気の光景。
観覧エリアは混雑することもあるので、朝いちばんや平日の午前中が比較的スムーズです。観察するときには、「どんな動きをしている?」「兄妹で性格はちがう?」など、子どもと一緒に気づいたことを話してみましょう。
参考:上野動物園公式サイト
図鑑や絵本で学んでみよう
おうちでもパンダの世界をのぞいてみましょう。図鑑や写真絵本を通して「どうして白と黒なの?」「どこに住んでいるの?」といった疑問を親子で話すと、自然への興味がどんどん広がります。
こんにちは! 双子のパンダ シャオシャオ&レイレイ

2021年6月23日、上野動物園で生まれた双子のパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」。甘えん坊のシャオシャオと、マイペースなレイレイの成長を、パンダウォッチャー高氏貴博さんが撮影・記録した初の写真集です。
高氏さんのエッセイや、前園長・土居利光さんの寄稿も掲載されています。上野動物園・西園での暮らしの紹介、パンダの赤ちゃんQ&A、世界の“同級生パンダ”紹介、「ありがとうシャンシャン」特集など、癒やしと学びが詰まった一冊です。
愛くるしすぎるイキモノ パンダのすべて

シリーズ累計250万部を突破する「ざんねんないきもの事典」の今泉忠明先生を監修に迎え、上野動物園の人気者「シャンシャン」、そして和歌山アドベンチャーワールドの新パンダ「彩浜(サイヒン)」の写真をふんだんに使い、愛くるしすぎるパンダの生態など、そのすべてをビジュアルたっぷりで解説します。
「パンダの日」に親子で“学んで・会いに行こう”
1972年に日本へ初めてやって来たパンダ・ランランとカンカンから、50年以上。日本の動物園ではたくさんの命が生まれ、旅立っていきました。いま、日本にいるのは上野動物園の2頭だけですが、その存在は変わらず多くの人を笑顔にしています。
「パンダの日」は、動物を通して“いのちの大切さ”を感じる記念日。実際に見に行く、調べてみる、絵本を読む――どんな形でもかまいません。親子で「パンダ」という存在をきっかけに、世界や自然、未来のことを話す一日にしてみてください。
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文・構成/HugKum編集部