定規の読みづらさは何が原因なのでしょう?
読みづらさ1:素材の関係で下の文字が透けてしまう
定規はクリア素材でできているケースが多くあります。クリア素材だからこそ、測る線に合わせやすいという部分もあるのですが、線に合わせたときに印刷物によっては説明などの文章と目盛りが重なってしまうことがあります。
そうすると、定規の目盛り・文字と透けて見えている文字が重なって、定規の目盛りが読みづらくなってしまうのです。
読みづらさ2:1mmの線が細かく、うまく数えられない
1mmの線を何本も数えて読み取るのは、とても細かい作業です。大抵は、1cm間に9本の線が書かれていますが、通常はその4本が同じ太さ・長さになっています。その1本1本に視線を合わせて数えて何本目なのかを間違えないように読み取らねばなりません。
だからこそ、読みづらさを解決する工夫をした定規があります。
読みづらさ1を解決!
読みづらさ1は「素材の関係で下の文字が透けてしまう」でした。そこで、あえて目盛りの背景色を工夫して文字を透けないようにすることで読みやすくしている商品をご紹介します。

今回は上の写真で赤く囲っている線の長さを測ることを想定します。

一般的な透明な定規で測った場合はこのようになりました。本に書かれている文字と目盛りが同化してしまいとても見づらくなってしまいます。
見やすい白黒定規/レイメイ藤井
この定規はくっきりとした黒または白で背景に色が塗られた上に、白い背景ならば黒い文字で、黒い背景ならば白い文字で目盛りがつけられています。

写真を見ていただくとわかりますが、背景と文字のコントラストが高いので数字が読みやすくなっています。
また、長さを測りたい部分の近くに図や文字があっても目盛りの背景がしっかりと色づけられているため、気が散らないという効果もあります。
筆者は黒い背景で白い文字のものがくっきりとしていて見やすく感じました。人それぞれ見え方の違いもありますので、試して選べると良いですね。
直定規のバリエーションは10cm、15cm、30cmの3種類です。
ヨクミエルーラー/レイメイ藤井

2025年10月に発売になった「ヨクミエルーラー」は、一見数字の背景が透明に見えますが、特殊な印刷が施されているため目盛りが見やすくなっています。

測ろうとするものが黒い場合では目盛りも見えなくなってしまいそうですが、色が濃いものの上に置いた場合は特殊印刷の効果で背景に色がついているように見えるため、はっきりと数字を読み取ることができます。

また、文字が多いところに用いるときにも、特殊印刷により透けて見える文字の色が柔らかくなるため、目盛りが背景と同化して読めない状態が軽減されます。

さらに定規の一部は透明になっていて、1行ずつ文章を読むための「読み取りスペース」となっています。教科書や資料の文字や数字の読み取りに便利に使えますね。
読みづらさ2を解決!
もう一つの読みづらさは「1mmの線が細かく、うまく数えられない」ことでした。そこで線を読み取りやすく工夫することで読みやすくしている商品をご紹介します。
快段目盛シリーズ 0基点定規/新潟精機

精密測定機器の製造・販売などを⼿掛ける新潟精機から発売されている快段⽬盛シリーズは1cmの間にある⽬盛りが徐々に⻑くなっていくことでミリ単位の数字が読みやすくなっています。これは「階段状⽬盛」と名付けられた目盛りの引き⽅です。

さらに、上の写真をご覧いただきたいのですが、2mmごとに黒い小さな丸が、5mmの線は階段状の線よりも少し長い上に赤い三角がついています。
これにより、例えば7mm? それとも8mm? といった読み取りづらい長さも読み取りやすく考慮されています。

その他にも今回筆者が購入した0基点定規は、0ぴったりのところから線を引くことができて便利です。持ち上げるときには、目盛りと反対側の端を少し押すと定規が持ち上がって紙の上から持ち上げやすくなっています。
23&78リバーシブル定規/川島和則さん開発
定規で特に目盛りを読み取りにくいのはどこでしょう? 少し普通の定規を見てみてください。長い線から離れている、2と3、7と8の区別がつきづらいと思いませんか?

23&78定規では、2mmと3mm、7mmと8mmの目盛りが少し太くかつ目盛りの下に数字が振ってあるのです。加えて、中心である5を目立たせることで読み間違いを防いでいるので、数字が振られていない1と4、6と9も自然と読み取れます。

上の写真の黒い線の長さも、6.7cmと簡単に読めます。
この定規を発明した川島さんは木工を趣味とされていますが、老眼のためにミリ単位の目盛りがメガネを使っても読み取れなくなってしまったそうです。そうすると作品の精度も下がってしまい、趣味を楽しめなくなってしまいました。
そこで、ミリ単位の目盛りを数えずに読み取れるこの定規を開発したのです。
実際に小学校の支援級の先生が、目盛りを読むのに苦戦しているクラスの児童に薦めたところ、スムーズに定規の目盛りを読み取れるようになったそうです。

また、表と裏に目盛りがついていて、片面は端が0からスタート、もう一面は端から少し離れたところがスタートとなっています。状況に合わせて選んで使いやすくなっていますよ。
なお、こちらの定規は日本とアメリカで特許を取得されています。
まとめ
最近、全員が同じ教材で授業を受けることに筆者は疑問を持っています。苦手なこと、練習してもできないことがあるお子さんはその子の「できた」につながる道具を渡すことが大切ではないかと考えるからです。
もしお子さんが定規の目盛りを上手に読み取れないならば、第一歩としてこのような定規をご用意いただくのも方法の1つだと思います。
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